第十六話:敵その2
大学が始まって忙しく、更新が遅れました。そして、短くてすみません。
土蜘蛛鎮静から一週間、霊界からの指令は無く、戦いは無かった。
千絵さん殺害の依頼主は結局見つけることが出来ないままである。自首した安藤も、龍弥達に話した以上のことを語ってはいない。
しかし、龍弥に平穏は訪れなかった。
***
ある晴れた日の夕方。剣道部の練習を終え、家に帰る途中に龍弥は一匹の猫に出会った。龍弥は猫に近づいて、しゃがみこんで手を差し出す。
かぷっ
噛まれた。
「痛っ」
猫はどこかに行ってしまう。
『ぷっ、そりゃ狐宮君無理だって!』
九尾が大笑いしながら、茶々を入れる。
『何でだよ?』
龍弥は歩きながら問う。
『だって、私達が憑いてるんだもの』
九尾の態度は尊大だった。
『自慢げに言うことか!?』
『だって自慢だもん!私達は偉いのだ』
『全く・・・』
「わっ!」
「ふお!」
急に声をかけられて、びくっとして龍弥が振り向くと、葎花がいた。
「おどかすなよ」
「ボーっとしてたから、つい・・・」
「てか、何度も言うけど、俺の死角に気配を絶って立たないでくれ。怖いから」
葎花は感心したような顔になる。
「ふーん、ここが龍弥の死角なんだ」
龍弥は顔を引きつらせる。葎花は不思議そうな顔をして、一言。
「どうかしたの?」
「ああ、もういいよ。そこがお前の良さだもんな」
思わず涙する龍弥。それを心配して顔を近づける葎花。
「大丈夫?」
「ああ、大丈夫だから」
「そ、そう。ところでさ」
「何?」
「来週は来れそう?」
「大丈夫。行けるよ」
葎花は満面の笑みになり、ほっとした様に言った。
「良かった」
***
龍弥に噛みついた猫が、暗い路地を歩いている。猫は何かを感じ取ったのか、立ち止まる。
前方には男が倒れていた。夥しい量の血が流れている。
猫はしばらく警戒していたが、再び歩き出した。男の横を通り過ぎようとしたとき、男の中から黒い球体のような物が出てきて、猫にぶつかった。
猫は少しよろめいたが、再び歩き出した。
二股に分かれた尻尾を振りながら・・・。