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account trouble.

今回は主人公のルーツだけって感じです。


本編は次からです。

僕は中二だ。とてもエロい奴だ。しかし、そこそこクラスでは人気者だ、と思う。夏休みの講習会の時に内緒で見せてもらった《クラスの良い男子ランキング》でも二位だった。勉強も、まあそこそこできて、中間テストでは二年で三位を取ることができた。運動も、体育祭のラストリレーでアンカーをやらせてもらった。クラスでのグループ的にも、女子と仲が良く面白い奴が集まる華のあるグループに属している。



こう見ると僕は案外、順風満帆に中学校生活を満喫出来ているようだ。


まあ、こう見ると、だけど。



僕には、恋人が居ない。



奥手、なのだ。



小学六年生の時には居た。俺から告った。集団下校中に。何の特徴もなく、ありふれた言葉で。自分でも言った後にナイワーって、自己嫌悪に陥った。応援してくれてた女子にもナイワーって言われた。更に自己嫌悪した。自殺しようかとも思った。だけど、翌日いいよって言われた。フラれた場合どうするかしか考えていなかったから、意味が解らなかった。何がいいのだろうって。しかし、その現場を覗いていた女子A(コイツは全て知っている)が、俺が理解してないコトを察知したらしく、服部半蔵もかくやの素早さで俺に接近し耳元で《あいらぶゆーってコトだよっ♪》とかなんとか。えぇっ!!てなった俺は、今更ながらどう返事したものかとあたふた仕出した。しかし気付いたら、目の前に居た彼女は消えていた。逃げたらしかった。ニヤけた。


クラスに戻ると彼女は顔を真っ赤にして座っていた。多分、俺も赤いだろう。


そして、その日は終わった。


まあ、初めての交際だったのだからしょうがない。



俺と彼女の出会い、というほどロマンチックではないが、つまるところの出会いは同クラスになった、ということだった。俺と彼女は席が近く、授業中は絶対というほど、怒られるまで喋っていた。喋っていて、まったく退屈しなかった。くだらないコト、授業のコト、友達のコト。たくさん、たくさん喋ったのだ。そして、仲の良い男女という関係を築いた。



しかしある時、クラスの男子で珍しく恋ばなをしたのだ。皆正直に好きな子を白状していった。理由は簡単で、その男子達はお互いに親友だと思えるぐらい、絆が深かったのだ。

そしてその男子達の中に、俺も入っていた。だから俺も、コイツらには自分の好きな子を言っても大丈夫だ、と分かっていた。


そこで俺は考えた。


俺の好きな女の子は誰なんだろう、と。


他の奴はどいつもこいつも元から好きな子が居たらしく、スラスラ(大分吃っていたが)と言えていた。

しかしその時の俺は、あまり色恋沙汰に興味がなく、自分は誰かが好きだ、なんて考えた事が無かった。


そして浮かんできたのが、彼女だった。



彼女の名前を挙げると、やっぱりなぁって反応が返ってきた。なんだよぅ。


それから、俺は彼女を意識するようになった。


授業中、いつもみたいに喋れない俺を彼女は不審がった。告白のタイミングを窺っていたのだ。眼を合わせない俺を不審がった。可愛い過ぎて直視出来ないのだ。どうしたのって、心配してくれた。嬉しくて涙が出そうになった。





そしてやっと、吹っ切れた。



好きな子に心配をかけてしまったなんていうのがきっかけで。締まらないのも承知で。吹っ切ってやった。




気持ち良かった。



周りの眼も気にせず、堂々と好きな気持ちを伝えられたその瞬間、羞恥心もそりゃあったが、それ以上に、サイッッコーに気持ち良かったのだ。




しかも、結果的にも大満足だったしね。




しかし、そう、OKが貰えた次の日から僕と彼女の関係は狂いはじめた。



今までのように仲良く談笑も出来ず、二人っきりが苦痛にしか感じられず、お互い避け合うようになってしまった。



見兼ねたクラスの奴らが俺達をやたら二人っきりにしたり、同じ班にしたりもした。してくれた。



しかし、それも悪いようにしか作用しなかった。



しかし、メルアドを交換したことで、二人の関係は持ち直した。学校でも暇を見つければイチャイチャしあい、ベタベタした。それを周りは、生温い眼で見守ってくれた。



しかし、何故か同じ下校班の及川だけは生温くなかった。



彼女の誕生日に何をプレゼントすればいいか聞いた事があった。


及川は客観的にみてもかなり可愛く、いつもクラスの中心に居て、俺が彼女を意識するようになったあの恋ばなの時、他の男子の殆どかがこの及川の名前を口にしていた。


オシャレで面白くて可愛くて、なんていう完璧な女子の及川だからこそ、何か良いアドバイスをくれるだろうと期待して俺は何をプレゼントするべきか尋ねた。



しかし及川は、黙って俯き、「知らない」とだけ言って早足で帰ってしまった。未だに理由は解らない。



他の奴は頼んでもないのに、プレゼントのアドバイスをしてくるのだ。余りに反応の差があり、少し怖かった。






そして、僕達は中学生になった。


新しい環境で、新しい体験が出来るとワクワクしていた。


しかし、そんな希望は儚くも早々に散った。



彼女が、他の男子とよく話すようになったのだ。



束縛したくはないのに、どうしてもそうせずにいられなかった。





あんまり、他の男子と喋って欲しくない。





そう、メールを打ってしまった。



翌日の下校中、何故かは知らないが珍しくウキウキしている及川を見つけた。


「よっ」

話しかけてみた。

「うぃっ」

返事が返ってきた。当たり前だ。

「お前、そろそろ別れるかもよっ♪」

なんとも明るい声で、死刑宣告してきた。

「じゃっ」

颯爽と走り去る及川。

「あっ!!」

呆然としていた俺は、やっとこさ意識を取り戻し及川を引き止めようとした。

「ちょッ!!待てよ及川ッ!!どういう事だよッ!!!」

「明日になれば分かるよっ♪」

不吉な明日を予言し、及川の背中は闇夜の帳に消えていった。



翌日、別れようと言われた。



分かった、そう言い返した。




その時の僕は酷く、冷静に見えただろう。



それは、及川のせい(決しておかげではない)で覚悟が出来ていたから。昨晩、泣き明かしたから。


その結果、吃らずに返事が出来た。



及川には、心の中でだけ、礼を言った。





とまぁそんな経緯があり、親しい女子は何人かいるのだが、そして新たな好きな子もその中にいるのだが、今のこの関係を破壊して、また前の彼女のようになりたくなくて、




結果、小学生の時には出来た告白さえも、出来なくなってしまった。


恋に臆病になってしまった。






次回本筋スタート。

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