きらきら星のみずいろ王子
地球から見たずっとずっと遠いところ。
宇宙の片隅にあるキラキラ星。
そこにはキラキラと輝くものしかありません。
街の至る所にビー玉が落ちていて、お家も全部ガラスで出来ています。
街の一番奥にある大きなガラスの塔、そこに住んでいる王子様を知っていますか?
水色が大好きで毎日海を眺めて暮らしています。
今日も王子様は海辺に座って海の向こうから太陽が昇ってくるのを眺めていました。太陽が反射してキラキラと輝いています。今日もいい1日が始められそうです。
「…おや?」
さぁ、塔に戻って仕事を始めようかと立ち上がった時、細かいラメで覆われた砂浜のずっと先の方になにやら黒い丸いものが落ちているのが見えました。
ビー玉でも宝石でもありません。
王子様はその見たことのない黒い丸いものを塔まで持ち帰りました。
「これはなんだろう。」
キラキラの世界にはないキラキラがない丸いもの。
「そうだ。磨いてみよう。」
王子様は思いつきで黒い丸いものを磨いてみることにしました。
毎日、毎日…。
来る日も来る日も…。
磨いて、磨いて、磨きました。
それでも黒さは増すばかりでキラキラしてくれません。
王子様はある日、おばあちゃんが語ってくれた一つの物語を思い出しました。
『この街はもともと真っ黒でいっぱいの世界だったんだよ。それはそれは綺麗で美しかったんだ。
だけど、ある時街にいる若者がね、たまにはキラキラしたものが見たい。漆黒のキラキラじゃぁなくて、透き通ったキラキラが。
その子はね、街で拾った真っ黒なビー玉のような石を拾って家に持ち帰った。そして、次の日もそのまた次の日も磨いてあげたんだよ。何回磨いても全然透明にならなくて最後に少し磨き方を変えることにしたんだ。
優しく柔らかい布で磨いてもダメなら黒い石同士ぶつけ合わせて磨いてみよう。ガサガサになるかもしれない、欠けるかもしれない。それでも全くダメで真っ黒のままなら諦めよう。
そうして別の黒い石を拾ってきたんだ。今度は少し尖ってるやつをね。そうして優しく優しく黒い石同士を擦り合わせた。
毎晩擦り合わせ続けて7日間が経った頃、少しずつ色が落ち始めていることに気づいたんだ。初めはネイビー、次はダークブルー、ブルーを経由してそうして30日経ってなんと両方の石が綺麗な透明になった。若者が悲願を達成したのを見て街の人も透明なキラキラをたくさん見たくなってどんどん磨き始めた。
石が最後の一つになったとき、今まであった黒いキラキラがなくなってしまったことにようやく気づいた。最後の一つを誰が持っているか論争になったとき、王はその全てのキラキラを透明に変えてしまうように指令を出した。
誰も傷つかないように、みんなで悲しみを共有できるように。いつ現れるかわからない真っ黒のキラキラをみんなで楽しみにできるように。王は最後の真っ黒なキラキラを塔の壁に擦り合わせて透明に変えた。こうして街は透明なキラキラになったんだよ。』
王子様は物語を思い出して透明なキラキラにするかそれともこのまま真っ黒に染めておくか、心の底から悩みました。
そしてとうとう決めたのです。
「新しい石を探そう!!」
真っ黒な丸いものはその日を境に少しずつ少しずつ増えていきました。
海辺を歩くと海に押されてコロッと出てくるのです。王子様はそれを拾っては集め、部屋の中にしまっていきました。
何年も何年もかかってようやく一つの花壇が作れるようになったのです。
王子様は黒い石たちを丸く削って形を整えました。塔の前には透明な大きい箱を用意しています。
削った石をどんどん入れて満杯にしたら、上から水色の花を差し込みます。
こうして綺麗な真っ黒なキラキラ花壇は花火を散らしたようにとっても綺麗になりました。
「…綺麗だなぁ。」
王子様はいつしか真っ黒なキラキラを大好きになっていたのでした。
「これからは、真っ黒なキラキラもその他の色のキラキラも全部全部僕が守っていこう。」
世界がキラキラで包まれたままでいられるように。




