傲慢な勇者
いまから五百年ほど前、魔王城に背に合わない巨斧を持った一人の女が現れた。
そして、その女は、それまで現れることのなかった魔王にダメージを与えた唯一の人間であった。
死ねるほどではないが、今までの食らってきた痛みよりも数段上の痛み食らう。
そして、魔王は気づいてしまった。
人間は、魔王を殺せる生き物だ、と
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そこからは早かった。
人間の言う未開拓領域に魔王や魔族がいるという情報や魔王は人間を滅ぼそうとしているというデマを流し続けた。
すると、二百年前、一代目の勇者が現れた。弱かった。
百五十年前、二代目勇者が現れた。弱かった。
百年前、三代目勇者が現れた。弱かった。
今までの勇者すべてがあの女よりも弱かった。
だが、二十五年前に怪物が生まれた、それが今の勇者だった。
その勇者の力は笑ってしまうほどにおかしい力だった。
その力は、自分を成長させる力であった。
それがおかしかった。
どんなに強い兵でもその兵を倒せるレベルまで急激に成長し、助けられないような人が現れても助けられる力を持つまで一瞬で成長する。
勇者は負けない、すべてを助ける、それを体現した力だった。
そして、まさしく勇者の力であり、とても傲慢な力でもあった。
魔王城に来るのは少し速かったが、勇者は、魔王の前で魔王を殺せるまで成長し、魔王を殺したのだった。
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「‥‥‥と言うわけだ。」
「そうなんですね。ていうか、大丈夫なんですか」
リズが心配したように聞いてくる。
「ん?この話か?別に秘密にしてる訳でもないぞ」
そういえば、誰にもこの話をしたことがなかった。本当に秘密にしていたわけではない。聞かれなかっただけなのだ。
「まぁ、それもそうなんですけど、勇者の力ですよ、そんな力持ってたらいつまで経っても死ねませんよ?」
「あぁ、力のことか、それは、我も心配したのだが、そういう気配はしなかった。おそらくだが、魔法ではないのだろう、我の力と同じようなものだ。」
闇を操る力というのは魂とリンクしていると考えられる。
今、勇者の身体で闇を操れていることがその証拠だ。
「あっ、魔都、少し見えてきましたよ。速かったですね。」
それはそうだろう。闇の力でサポートしているのだ。速いに決まっている。
まぁ、それはいいとして、三年ぶりの魔都どう変わっているのか気になっているのだ。
「じゃあ、降りますか。」
闇を解除して降りる。
そして、目の前に現れたのは、魔都を守る門である魔都大門であった。




