《死を防ぐ物》
リズの質問に
「我はリズに死んでほしくなかった。心苦しかったが飛ばすしかなかったのだ、本当にすまなかった。」と答える。
「嘘をつくなーー!」と言われ、また殴られた。
「いや嘘では‥」
ドカン!言い訳するよりも早く殴ってくる。
もう勇者と思って戦っていた時の力よりも強いだろう。
どうやって判断しているのかわからないが、嘘と断定しているらしい。
というか、別に2割いや3割、やっぱり5割くらいは本当なのだが。
そんなことを思っているとまた殴られる。
早く答えろということらしい。
勇者の身体だからなのだろうか、どんどん遠慮がなくなってきている。
「言わないのか、ならこれを使うか。」
そう言いながらリズは胸ポケットに手を入れ、黒くて丸いボールを取り出す。
そして、魔王はそのボールを見て反射的に本当のことを言ってしまったのだった。
「本当は勇者を迎えるためにセリフの練習をするのを見られるのが恥ずかしかっただけなのだ、本当にすまない。反省している。だから、それは止めてくれ。」
動揺を悟られないように話す。
そして、それを聞いたリズは、いつも通り、殴るのではなく、取り出したボールを身体につけた。
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そのボールは《死を防ぐ物》という魔道具である。
魔道具とは、魔力を注ぐとなにか効果を発揮するものの総称だ。
《死を防ぐ物》は自死しようとする人に与え、死の怖さを思い知らせるために作られたという魔道具らしい。
効果は、壊れるまで魔力を注いだ者の魔力を覚え続け、その魔力の持ち主が触ると文字通り死ぬギリギリの痛みを魂に与えるというのある。
しかも、魔王の力ですら壊れないし、何度使っても死ぬことは絶対にできないようになっている。(実証済み)
最大の欠点は、死ぬほどの痛みを与えられるためだけに、自分から多くの魔力を注ぐものなんているわけがないという点だけだった。
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「アアアアアアアアアーーーーーーーーーーーーー」
痛みに転げ回る姿は魔王でも勇者でもは見せられない、というか見せてはいけない姿であったらしい。
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痛みが収まったころ、やっと怒りが収まったらしいリズにちゃんとこれまでのことを話した。
勇者に殺されたと思ったら、身体に入ってしまったこと、勇者の力と魔王の力も受け継がれたが、記憶は魔王のものだけしか受け継がれていないことなど。
聞いた後、リズは、「また死ねなかったんですね」と結論だけを言い、また少し考えて言った。
「魔都へ行きましょう」と




