完全なる冤罪
我は牢獄で一人隅で座っていた。
牢獄で一緒になった囚人たちは、顔に傷があるなどガラが悪そうだが、綺麗なオーラを放ち続けている。
囚人たちは牢屋の外にいる刑務官と何か話していてどちらもこちらを向くたび鋭い眼光を向けてきた。
こんなハブられ方をしたのは久しぶりのことだった。
そして、我は自分を保ち続けるためにこう思うしかない。
「我、魔王なのに」
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二日経った。二日経ってしまったのだ。
人間の国と同じく、この魔都にも法というものがある。我は、魔王という存在だが、法を守らないということは緊急事態を除いて許されない。
これは、我が魔都を作ったときに決めたことだ。
だから、我は正当な手続きをせず、この檻の外へは出ない。ということは、正当な手続きをすればいいのだ。
ここ二日、レイが誤解を解いてくれて、出れるのだろうと思っていたが、もう二日だ。
まぁ、レイも一応偉い立場だし、時間は掛かってしまうだろうとは思ったが、二日だぞ。二日。さすがに遅い。セイの研究所にも行くという約束も破ってしまった。
だが、よいこともあった。レイのことだ。正直、キャラクターのような扱いをされていても、人間ということで何かあるのではないかと思っていたところもあったが、違かった。
めちゃくちゃに親しまれてた。我より全然、親しまれ度が違う。
よく考えればそうだろう。何をしているのかすら分からず、数年に一度会えるか会えないかぐらいの魔王よりも可愛い見た目でありながらみんなを守るために魔都門の範囲外にいる魔物たちを駆除するという仕事をしているギャップ、これで人気が出ないわけがない。
また、ここにいる囚人たちにもみかんジュースやバナナジュースを作って出してくれるらしい。しかも、みかんジュースは白い筋も取ってなめらかにしてくれるというのだ。
レイの優しさに触れて更生したという囚人は多いらしい。
それで、レイを歓楽街に連れ込んだという冤罪をかけられている我はハブられているのだが。
すると、コツコツと足音が聞こえてくる。そろそろ、出れるかなと思い、立ち上がろうとする。
そして、そこには刑務官と一緒にリズがいた。
目が合った。仮面を被っているなど関係ない。
リズは刑務官の方を向き、質問し始める。
「あの囚人は?」
こっちを指さして言う。
「あぁ、あれですか?レイちゃ……んんっ、レイ様を誘拐した犯人ですよ。」
刑務官が嫌そうに我の紹介をするとリズは大きく目を見開く。
「まだ聞いておられないのですか?」
戸惑っているリズに気づいたのか刑務官は聞く。
「どういうことですか。」
まだこの件について聞いていないのか不思議そうに聞く。
「ここでは話せないのであちらに。」
リズと刑務官はどこかへ行ってしまう。我も知りたいので闇を操る力で闇を刑務官に取り付け、話を聞けるようにしておく。
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すると、刑務官は話を始める。
「まず、レイ様の話をしましょう」
「四日ほど前から歓楽街で多くの通報がありました。レイ様と仮面をかぶった怪しい男が一緒に歓楽街を出入りしているというものです。しかも様々な時間に何度も。レイ様に関する通報、私達はすぐに動き始めました。」
「そして、私達はすぐに捜査をし、レイ様と男が一緒にいるところを発見して、レイ様を保護することができました。」
「そして、調査の結果、レイ様が逃げるように私たちの方に向かってきたことや魔都兵が来た瞬間、歓楽街から逃げていく姿、言いたくはないですが、男がレイ様の胸を揉む姿などが目撃されたことで上の人たちは催眠魔法か何か使われていたんじゃないかという見解らしいです。」
「正直、それが正解なんじゃないかと思うんですが、レイ様が操られることなどないと考える人や魔法の痕跡が残っていないということから違うんじゃないかと思う人もいるらしく、あの男の刑罰については決まっていません。」
「………そんなことがあったんですか。話、ありがとうございます。じゃあと言ってはなんですが、ちょっとその犯人と話させてもらうことはできますか?」
「……………まぁ、魔法抑制の取調室も空いてますし、リズ様ほどのお方のお願いなら聞きましょう。」
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「おい、お前出ろ。」
刑務官が我に嫌そうに話しかける。そして、牢獄から出て、刑務官に連れられて来たのは取調室だった。
「入れ。ここじゃ魔法なんて使えないからな。」
扉を開け、入るとそこには思い通りリズがいた。
出してもらおうと頼もうもするが、先に口を開いたのはリズだった。
「では、座ってくださいロリコン様」




