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世界で一番の本能

魔法とは、魔力を使うことで火や水などを顕現させる力である。 

だが、顕現させるためには、必ずそれを想像することが必要になる。想像というのは、希望を持っていなければならない。


だから、死の希望という絶望と同義の感情を持ち続ける限り、魔王が魔法を使うことはできない、はずだった。


==============


久しぶりの感覚だ。それは、闇を操る力(ブラックボックス)とは違う、死への嫉妬に駆られ始めた何千年前のあの日から味わえなかった魔力を燃やす感覚だった。


何千年前にあった魔法を操る感覚など覚えているわけがない。だが、後ろから化け物に追われている現状、どうにか水の流れを早くしなければならない。


だが、こんな窮地でも思ってしまう。

楽しいと、友が化け物になり、身体はボロボロだ。だが、楽しい。魔法を使うことが楽しい。すると、水の流れが速くなる。


だんだんと化け物との距離が離れていく。すると、化け物の姿が見えなくなる。


一瞬、外へ逃げたのかとも思ったが、自分を唯一殺せる怪物を放っておくわけがない。また追ってくるだろう。


だが、これはチャンスだ。そして、魔王は、闇を操る力をまた使えるまで回復し、あの化け物を殺すための作戦を考え始めるのだった。


===============


リジェの回復魔法には、主に半永久的に自身を回復し続ける「自動回復」(オートヒール)という能力と回復魔法を使うリジェが回復龍(リカバリードラゴン)排除龍(リジェクトドラゴン)と呼ばれる原因となった力である。周りを限界以上まで回復させ、身体が破裂させる「強制的な回復」の二つの能力がある。

 

だが、それは、大事ではない。戦いの中で一つおかしい所があった。


それは、痛みで気が狂ったことによる動きではないということだ。

前の死んだふりもそうだが、戦い方も考えながら動いているとしか思えない。確かに意思がある。


魔法の効果が上がっていることも魔王という最後の障害を殺そうとしていることも醜くても最後まで生きようとする意思がそうさせているのならば合点がいく。


あの化け物の評価を改めていると、翼を羽ばたかせる音が聞こえる。


おかしい、水の魔法に慣れ、前よりも速いスピードで流れているのだ追いつかれるわけがない。だが、その化け物は、グズグズになった姿で目の前に現れる。


この化け物が!頭おかしいだろこいつ。


おそらくだが、身体を自ら壊し、軽量化して飛んできたのだろう。それなら確かに追いつく。だが、やるのはおかしいだろ。


まだ、作戦も決まっていないし、多少回復した程度なのだが、そんなことは言ってられない。


どうにかできないか考えていると、「縺、縺ヲ縺ェ縺励d縺ィ縺九o縺九o縺ェ縺ィ縺」とよくわからん鳴き声を出してくる。

剣道の発声のようなものだろう。あっちもやる気らしい。


龍爪で攻撃してくるが、闇も満足には使えず、まだ回復していない身体では、受け止めきれないので、水を使ってとりあえず避ける。


というかどうする?水で攻撃を避けながら考え続ける。今は、魔法で避けられてはいるが、連続で使い続けているためいつ魔力が切れてもおかしくない。

しかも、魔法でも闇でもこの化け物を一撃で殺せる火力は出ない。


生命本能によって全てのリミッターを外した化け物をどう殺す?答えは、もう出ている。毒だ。

水魔法の応用である水の性質変化で毒にした水は、どこまでいっても想像した毒のため回復魔法でも解毒はできない。


あまりやりたくない方法だが、仕方がない。攻撃を避けながら、勘で作り出した毒を闇につけ、今出る最高スピードで化け物に突撃させようとする。


いや、いいのか?魔王が、化け物になった友を殺すための方法が毒が効くまで耐久?ダメだろ。


そんなバカみたいなことを考えていると、「あっ!」つい声が出る。


思いついた、思いついてしまった。今ならできるかもしれない。


魔王らしいかは知らんが、バカみたいでリスキーなカッコいい最高の作戦が。


この時、魔王はハイだった。死にたくないという感覚と魔法が使えることの喜び、窮地という状況が魔王の戦いへの欲求を加速させていた。


だからなのか、魔王は顕現させた毒を自分の身体に入れた。

龍を殺そうと作った毒、そして今のボロボロの身体である今、いつもなら効かないだろうが、その毒は、魔王に効いた。 


今の魔王は死にたい、など思っていない。むしろ、誰よりも死にたくない、生きたいと思っている。それが鍵だった。


その毒は、勇者の身体を壊し続け、今この世で一番強い生命本能が、発動する。

体内の毒が自身の能力を上げ、疑似的な崩化を再現する。死ぬ確率のほうが高い賭けに魔王は勝ったのだ。


一瞬だった。魔王は、リミッターを外し、水の性質を乗せた闇を化け物の周りに発現させ、手足、頭を切り離す。


しかし、相手もリミッターを外しているのだ。無理矢理、切られた部分を回復させる。だが、所詮その程度だった。


切られた腕は、毒によってグズグズに、足は、突如燃えだし、頭は、くっつかない。そして化け物は、そのまま倒れるしかなかった。





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