ホテルに行こう!
意味がわからない。
目の前にあるのはホテルだ。おかしな道を通るなとは思ったが、まさかまたホテルに来るとは思わなかった。
一応、前にもこんな感じのことがあったが、種族が違うと、子供はできないということを教えたら、納得したのか、連れてこなくなった。
だが、何度瞬きをしてもここはホテルだ。手を離そうとするが、力が強く離れない。
「レイ、ここホテルだぞ。」聞いてみると、
「ん!えっと、ここホテルみたいですけど、ホントは、セイの研究所なんですよ。師匠はえっちなんですからー」
「あっ、そうなのかすまない、ってなるわけないだろう」
レイの表情は嘘をついているときの顔であるし、というか看板にしっかりとhotelと書いてある。
「我は人間でないから子供はできないのだぞ、というか手を引っ張るのをやめてくれ」
だが、レイは、引っ張るのをやめない。
「知ってるんです。今、師匠、人間の身体ですよね!」
確かに、今は勇者の身体になっている
しかし、おかしいのだ。リズが言うわけもないし、口を滑らせてもいない、修行するときも最大の注意をした。わかるはずがない。
「何で知っているのだ?」
レイの顔がみるみる笑顔になる。しまった。
「やっぱりそうなんですね、じゃあ行きましょう」引っ張る力が強くなる。
レイが人間の身体だと言ったのは、ほとんど勘なのだろう。
なんたって、怪物なのだ。それぐらいできるだろう。
「その話は、後でだ。とりあえず研究所へ行こう。」話を後回しにしようとする。
「嫌です。いつ、元の姿に戻るかわかりませんよね。」
流石に頑固だ。
だが、今は勇者の身体なのだ、ということは勇者にレイを抱かせるも同様だし、こんな意味不明な状態で子供なんて作ってしまったら何が起こるかわからない。
すると、「わかりました。」
諦めるのだろうか。手も離す
「子供を作るメリットについて教えてあげましょう。」
「いや、大丈夫だ。」断るが、レイは、無視して話し始める。
「師匠にとって最大のメリット、それは、死ねます!」
少し興味が出てきた。
「ふむ、どうやって死ねるのだ?話してみなさい。」
「まず、子供作るじゃないですか。そしたら、絶対強い子供ができます。その子供に殺してもらうだけです。」
論外だ。論外すぎる。倫理観が終わっているのか。
流石に自分を殺してもらうためだけに子供を作って、育てるとか、本当に倫理観が終わっている。
流石、怪物だ
「まぁ、師匠がどうしてもって言うなら、ずっとラブラブ結婚生活しましょう。」
いつの間にか結婚もしている。
「じゃあ、セイの研究所に行くぞ。案内してくれ。」
「嫌です。ホテル入りますよ!」
また手をつかみ、頭おかしいのかと思うほど強い力で引っ張ってくる。
「どうすればいいのだ。」と
助けを求めるような声で言った。
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結論から言うと、気絶させた。
ホテル前で引っ張り合いをした後、「いきましょーーーー!」と五百年以上生きてるとは思えない駄々のこね方をしたので、闇を身体に送り込み、どうにか気絶させた。
「やっと着いたか。」気絶しているレイを運びながら、いろんな人に道を聞き、セイの研究所に到着した。
それは、研究所とは、思えないほど大きく、ホテルとは、全く違う建物であった。
おそらく入り口であろう、扉を開けると、そこには、リズがいた。
「魔王様、ようやく来ましたか。というか、こいつも連れてきたんですね。」
気絶しているレイに指差しながら言う。
遅い!と怒られるかと思ったが、そんな様子はない。
「リズは何をしているのだ?」聞いてみると、
「あいつ、忙しいらしくて三十分ぐらい待たされているんですよ。」苛ついた顔でと話してくる。
こっちに苛つかれても知らないのだが。
すると、足音が聞こえてくる。リズは殴る用意をし始めている。なかなか怒っているようだ。
「悪いな、リズ。待たせてしまったようだ」
真っ白な白衣を着た悪魔であるセイが余裕そうな表情で階段を降りてくる。
「おや?そちらのフルアーマーの方は?」
階段を降りながら、聞いてくる。
自己紹介をしようと思ったが、リズが先に口を開く。
「魔王様だ」
その瞬間、セイは階段から滑り落ちてしまった。




