表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家の俺が、自分の書いた世界に転生したら、主人公の運命が詰んでいた件 (Ink to steel :Rebirth of the novelist)  作者: Mas amba


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/22

第13話 死亡予定の騎士を救う俺

 ヴァルデンの夕空は黄金色に染まっていた。

 レオモード、アーデリア、そして 凛は、鍛冶屋を後にして、街道を歩いていた。

 アーデリアは新しいアーマーを手に入れたことで、少しだけ表情が明るくなっている。

「剣、格好いいわね」とアーデリアがレオモードに言った。

 レオモードは静かに頷く。「そして、アーマーも…君に合っているようだ」

 凛は後ろを歩きながら、新しい手袋を眺めていた。

 しかし、ほんの一瞬の安堵は長くは続かなかった。

 ――王国の騎士が駆け寄る

 銀の鎧を纏った騎士が、街の中心から全力でやってきた。

「アーデリア クリムゾンヴェイル様!」

 騎士は三人の目の前で止まり、深々と敬礼した。

 アーデリアは背筋を伸ばす。「どうしたの?」

「王国より、今晩の出席を求められています。東の領域のモンスター動向について、緊急会議があるとのことです」

 アーデリアは小さく息を吐いた――おそらく、休暇が乱されることへの落胆だ。

「……分かったわ。行きましょう」

 凛は三人を見つめる。

 外見には何も変わった様子はない。

 だが――胸が突然、圧迫されるように重くなった。

 指先から冷たい空気が這い上がる。

 ――死の匂い

 凛は足を止めた。

 周囲の音が静まり返る。

 そして、突然――

「――死の匂いだ」

 血の匂いではない、最後の瞬間の世界の匂い。

 凛はそれを知っていた。

 ――自分が書いた『アイアンフェイトクロニクル』の匂いだ。

 凛は唾を飲み込む。

「……これは、あの場面か?」

 記憶が頭を襲う。

 アーデリア・クリムゾンヴェイル ― デスルート2

 場所:ヴァルデン市外

 実行者:ミドルクラス・ディストーション

 発生条件:王国から東方領域のパトロール要請

 発生期限:出現予兆から7日

 物語では、彼女の死は突然だった。

 英雄的でもなく、劇的でもない――ただ、死だけ。

 凛はアーデリアを見つめる。

 彼女は騎士と話している。

 腹の奥から恐怖が湧き上がる。

「……これは、グレッグとの戦いの場面じゃない。本当の運命の瞬間だ」

 ホログラム出現

 青い光が厚原凛の前に現れる。


【ホログラムクエスト】

[プロット運命通知]

 リニアデスティニー検出

 キャラクター:アーデリア・クリムゾンヴェイル

 ステータス:デスルート上

 残り時間:7日

 目的:「アイアンフェイトクロニクル版 デスルート アーデリア・クリムゾンヴェイル」を阻止

 厚原凛は顔色を失う。

「7日……?」

 レオモードが振り向く。

「どうした?顔色が悪いぞ」

 アーデリアも気付く。

「厚原、どうしたの?」

 凛は口を開くが、閉じ、また開く――

 言うべきか、どう説明すればアーデリアが死ぬ運命なのかを話せるのか迷う。

 ホログラムはまだ光を放っている。


【新目標】

「鉄の運命」からアーデリア クリムゾンヴェイルを救え

 凛は歯を食いしばる。

「……絶対に死なせない。俺がここにいる限り」

 アイアンフェイトクロニクルの記憶

 凛の部屋、レオモードの家の簡素な天井を見つめる。

 記憶が容赦なく蘇る――

 アーデリア・クリムゾンヴェイル

 ナイトヒロイン。

 レオモードが半狂乱になるほど想う少女。

 いつも明るく、頑固で、周囲を思いやる。

 そして、彼女は物語で最初に死ぬ存在だった。

 凛は歯を食いしばる。

 アーデリアがディストーションに攻撃され、レオモードを守ろうとする場面。

 体は引き裂かれ、レオモードの腕の中で倒れる。

 レオモードは声が枯れるまで呼び続ける――

 これがレオモードの悲劇の始まりだった。

 全ては――自分の手で書いた物語。

 凛は顔を覆う。

「なんで、こんな残酷な話を書いたんだ……」

 外からの剣の音

 ――チーン!チーン!

 外から剣が打ち合う音が響く。

 凛は窓から覗く。

 レオモードが、パパ・トログラムに修理してもらった新しい剣で訓練していた。

 動きは素早く、真っ直ぐで力強い。

 汗が顔を濡らしても、瞳は落ち着いている。

 凛は息を飲む。

 彼こそが、アーデリアを失ったら全てを失う“主人公”だ。

 再びホログラム出現

 青い光が凛の目の前に浮かぶ。


【新クエスト隠し】

 クエスト:「レオモードの損傷したマナ回路を修復せよ」

 説明:古傷により、レオモードのマナ回路の一部が弱まっている。

「創造者」と「システム主要ユーザー」のみが安定化可能

 報酬:+5 スキルポイント

 ボンドレベル レオモード ↑

 特殊スキル開放の可能性

 凛は長く見つめ、拳を握る。

「アーデリアを救うには…‘主人公’を最良の状態にしなければ」

 即座に外へ出る。

 レオモードは驚く。

「おお?俺の剣の振りを笑いに来たのか?」

 凛は鼻で笑う、いつもの皮肉口調。

「笑うなら、座って草に躓くお前を眺めてやる」

 レオモードは小さく笑う。

「相変わらず口が悪いな……」

 凛は横に立つ。

「レオモード…マナ回路を確認させて」

 レオモードは眉を上げる。

「急にどうした?」

 凛は答えない。

 震える手でレオモードの背中に触れる。

 マナの流れ――水のようではなく、切れた糸のように不規則。

「……ああ、やはり。回路が壊れている」凛は呟く。

 レオモードは下を向く。

「古傷だ。慣れている」

「馬鹿だな」凛は舌打ち。

「そこは重要な回路だ。無理に使えばもっと悪化する」

 レオモードはぎこちなく笑う。

「ふ……よく知っているな」

「理由なく来たと思うか?」凛はマナを流す。

 作業は簡単ではない――切れた電線を繋ぐような感覚だ。

 レオモードは少し呻く。

「うっ…熱い」

「我慢しろ。回路を繋ぎ直すだけだ」

 数分後、流れは安定する。

 ホログラム出現。


【レオモードのマナ回路:54% → 91%】

 クエスト達成!

 報酬:+5 スキルポイント

 凛は深く息を吐く。

 レオモードは長く見つめる。

 目には好奇、尊敬、困惑が混ざる。

「厚原…君は一体誰なんだ?」

 凛は振り向き、皮肉な口調で答える。

「俺か?この理不尽な世界で不細工に呪われた、美男子だ」

 レオモードは首をかしげる。

「……本気で言ってるのかと思った」

「いつも本気さ。残念ながら周りのIQが足りないだけ」

 凛は肩をすくめる。

 レオモードはますます混乱している。

「……本当に意味がわからん」

「いいさ。そのままで」

 突如、新スキルアイデア出現

 ホログラムが再び現れ、凛の思考を読み取るかのように光る。


【新機能解放】

 ボンドレベル上昇により、特殊スキル作成可能

 凛は飛び上がる。

「新スキル…?」

 想像する――

 ヒロインを救うカッコいい魔法

 アーデリアの死を防ぐスキル

 ホログラムが光を放つ。


 スキル作成を開始しますか?

 条件:

 - 使用者の想像力

 - スキルポイント2

 - 失敗しても危険なし…かもしれません

凛は深く息をつき、空を見上げる。

「……運命を変えたければ、もっと力が必要だ」

 レオモードは手を伸ばして腕を伸ばしている。

「よし。スキル作り、始めよう」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ