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03 パーティーの崩壊(勇者視点)

「クソッ!」


 サラが抜けて一週間が経ったけれど、僕たちの依頼達成率はドンドン下がっていっている。

 最初こそ、心機一転で笑顔も増えていたパーティーメンバーだが、昨日の依頼の際には全員がお互いの目すら見られないほどにまでなってしまった。


「今回の依頼の失敗は、マリア! 君の回復が遅いせいじゃないか?」


 僕は依頼の失敗の原因はマリアにあると思っている。だって、マリアが来る前は簡単にこなせていた依頼だったのに、今では失敗しているのだから。

 それに期待していた回復だって遅すぎる! サラがいた時は常に体力は万全で、回復待ちで攻撃できないなんてことはなかった。


「聞き捨てなりませんね。わたくしは聖女として、きちんと回復をしております。そもそも、作戦もなしに突っ込んでいって、敵わなかったら即座に回復しろだなんて無茶です」


「なっ!? これまで僕らはこうやって依頼を達成してきた! それを疑うっていうのか?」


「当たり前でしょう! どこの世界に接敵前に作戦も立てずに突っ込んでいく冒険者がいるのですかっ! しかもタンクのマイクさんはともかく、アタッカーのジョーさんまで魔物の前に立つし!」


「一撃必殺が僕たちパーティーの信条なんだ! それにこれまでは問題なかったんだ!」


「だとしたら、前の回復役の方はさぞや大変だったでしょうね。前衛が二人して、ケガばかりしているのですから……それに、スーザンさん、貴女も魔法をむやみやたらと放ちすぎですわ」


「はぁ!?」


 マリアは僕に的確に言い返せたと思ったのか、責任の矛先をスーザンへと向けてきた。


「魔力量が少ない癖に、効果のない魔法や無駄に高威力な魔法を使っているせいで、戦闘の後半は立ち尽くしていたじゃないですか」


「なっ! 魔女は先制の一撃を与えるのが役目よ! 私がいなかったら、もっと被害は出ていたわ!」


「これまでも、そうだったのですか? 最初の一撃を放った後は棒立ちに?」


「……これまでは、MPポーションがあったから」


 スーザンの言っていることは正しい。これまでは、潤沢なMPポーションがあったから、スーザンは高威力の魔法を放ち続けられていたんだ。


「そもそも、マイク! マリアは君が連れてきたんだろう? その時の言葉は覚えているかい?」


「はあっ!?」


「マイク、君はサラの代わりになる人物を探してきた、そう言ったんだよ? なのに、ふたを開けてみれば、回復は遅いわ、僕たちの戦力は下がるわ」


「おいおい、待てよ。サラの追放には全員が賛成していたじゃねえか! 金食い虫のくせに役立たずだってよ」


「確かにサラには不満がたまっていたよ。だけどね、回復もろくにできない回復役を連れてこられても困るんだよ。……サラはお金がかかっても回復だけはキッチリやっていたからね」


 そう。僕たちの共通認識として、薬草師であるサラは役目を全うするためと言って、パーティー資金の大部分を使っていた。

 それに関して不満は持っていたが、回復役としてのサラには文句はなかった。戦闘中に回復が切れることはなく、スーザンも万全の状態で魔法が使えていたからね。


「マリアの回復が、あの役立たずに劣るって言いたいのか!?」


「事実そうだろう? 僕もマイクも回復のために後ろに下がって、貴重な攻撃の機会を失っている」


 聖女であるマリアの回復は至近距離でなければかけられないらしく、回復するためには後方に下がる必要がある。

 その点、サラの回復はポーションだったから、戦いながらでも回復できたし、ポーションが無くなったら、サラ自身が補充に動いていた。


「はあ。勇者パーティーだというから、期待していたのですが、わたくしの居場所はここにはなさそうですね」


「マ、マリア!」


「まともに攻撃もできない勇者に、まともに魔法も使えない魔女のお世話なんて、ごめんですわ。急ですが、本日限りでこのパーティーから抜けさせていただきますわ」


「なっ! そんな自分勝手な!」


「そうよ! 聖女だっていうなら、最後まで勇者の役に立ちなさいよ!」


 身勝手なマリアに対して僕とスーザンが正当な抗議をするも、マリアはそれ以上は何も言わずに去っていった。

 マイクもマリアを追いかけていってしまい、パーティー用にとっていた宿の部屋に残ったのは僕とスーザンだけ。

 どうしてこうなってしまったんだ。このままじゃ、勇者として魔王を倒すなんて、とてもじゃないが出来るわけがない。


 とはいえ、酒場でサラに追放を宣言していたのは多くの冒険者が見ていて、新しい仲間を見つけるのも簡単じゃない。

 何がいけなかったんだ? マイクを信じてマリアをパーティーに入れたこと? それともサラを追放したこと?

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