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ひとりぼっち



ハンナが生まれてから3年が経った。


ナターリアはこの3年間ハンナに沢山の愛情を注いだ。

父親のロイはハンナが生まれたばかりの頃ナターリアの為だと言い聞かせハンナの世話をしていたが、結局愛情が湧かず「私にはその子を育てられない」とナターリアに告げハンナには一切関わらないようになる。

それをきっかけに兄姉達もハンナとは関わらないように生活をし、グレース家の中でハンナは存在しない者として扱われた。ナターリアはハンナへの酷い扱いに自分自身が悪いんだと落ち込み涙を流す日々。それでもいつか必ずハンナを愛してくれる人が現れると信じていた。




3歳になり物心がついてきたハンナは自分がグレース家で嫌われている事を理解していた。そしてその理由が容姿が原因である事も。


「ねぇ、ママ。ハンナのかみとめのいろ、みんなとちがうから、みんなハンナきらい?みんなとおなじいろなれる?」


ある日私はママに質問してみた。パパやお兄ちゃん達と仲良くなれるならそうしたかったから。でも私が質問するとママの顔がくしゃって歪んで泣きそうな顔になりながら沢山謝られたの。


「ハンナごめんね、、ママがちゃんと生んであげられなかったから…。本当にごめんね…。」

「ママなんでないてるの?ハンナわがままいった?もういわないから、ないちゃいやだ!うっ、、ごめん、なさい、、ごめんなさい!」


ママが泣いてるのが嫌で私は必死に泣いて謝った。


「ハンナ、あなたは優しくてとても可愛い私の大切な娘。大好きよ、ハンナ。大好き。愛してる。大丈夫、いつか必ずあなたを認めてくれる人がいるから。ひとりぼっちじゃないからね」


それからママは毎日のように私に大好きと愛しているを伝えてくれた。そして必ずひとりぼっちじゃないよって言ってくれた。私にはママがいる。大好きなママが側に居てくれるそれだけで充分。本当にそれだけで良かったんだ。ママが居なくなっちゃうまでは。







私を生んでからママの身体は日に日に弱くなっていた事を私は知らなかった。もちろん家族や使用人さえも。ママはずっと平気なフリをしてみんなを騙してたんだ。

ある朝ママがものすごく苦しそうに唸っていて身体もガタガタ震えてた。どうしていいのかわからなくて泣きながらママの手を握る事しか私には出来なかった。


「ママ!ママ!からだいたいの?くるしいの?ママ!」

「うっ、、はぁ、はぁ、。ハン、ナ。おねがい、が、あるの。きいて、くれ、る?」

「うんっ!ハンナなんでもする!がんばる!だからママもがんばって!」

「いいこ。じゃあ、パパ、よん、で、きて、くれるかな?できる?」

「わかった!パパよんでくる!まってて!」


私はパパの部屋まで我武者羅に走った。今まで一度もパパと呼んだことの無い人の部屋のドアを必死に叩いた。泣きながらパパって叫び続けた。今だけは無視されないように。


「ちっ…。あのな、お前と話す用はな」

「ママが!ママがしんじゃう!たすけて!ママをたすけて!おねがいします!」


どこで得た知識なのかもわからないけど私はパパに土下座をした。3歳の娘が実の父親に向かって土下座をしママを助けて欲しいと懇願する。その姿を見て本当にママが危ないと理解したのかパパは走り出した。私もパパの後を追うようにママのいる部屋へと戻った。


ママの様子を見ると先程よりも明らかに呼吸が弱くなっている。


「おい!ナターリア!しっかりしろ!!おい!!」


パパがママの名前を必死に呼ぶけどママは答えてくれない。



そして私は悟ってしまった。



ママしんじゃうんだ…。



私ひとりぼっちになるんだ…。



「ロ、イ?いるの?」

「あぁ!ここだ!ここにいるぞ!今医者を呼んでいるからもう少しの辛抱だ!!」

「ごめ、んね。わたし、もう…。」

「まだダメだ!ナターリア!頼むから!逝かないでくれ!!!!」

「ハン、ナ。ハンナ…。」

「ママ!わたし、いるよ!パパ、よんできたよ!おねがい、できたよ!だから、しんじゃ、やだっ、、!!」

「ハンナ、だい、す、き。パパと、おにい、ちゃんと、おねえ、ちゃんのいうこと、よくきいてね。ひとり、ぼっちじゃ、ないから、ね…。あいしてる。かわい、い、わた、しの、ハン…ナ。」




大好きなママは私を置いて天国に逝ってしまった。


もう私の事をギュッて抱きしめてくれるママは居ない。


夜寝る時も一人で寝なきゃいけない。


まだたった3歳の私にはあまりにも過酷な現実だった。



ママのお葬式には沢山の人が来てた。みんな泣いてた。パパもお兄ちゃん達も使用人の人達もみんな声をあげて泣いてた。ママはみんなの事大好きって言ってたけど、みんなもママの事が大好きだったんだ。大好きだったけど私がみんなからママを奪っちゃったんだ。だから私は嫌われているんだ…。


ママのお葬式が終わり私は行く場所など無くママの部屋に閉じこもっていた。ベッドに潜り込むとママの匂いがして涙が溢れてくる。


「まっま…。ひとりに、しないで…。ひとりぼっちはいやだよっ…。」


ママの匂いがする枕を抱きしめながら一人でグズグズ泣いていると部屋のドアが開いた。パパだ。


「私はお前の事を家族だとは認めていない。でも愛するナターリアの願いは叶えてやらないといけない。今日から5歳になる日までとりあえず面倒は見る。ただし私の言うことは絶対だ。そしてお前に魔法の才能が無いとわかった場合は問答無用でこの家から追い出す。わかったか?」


冷たい口調で淡々と話すパパに私は頷く事しか出来なかった。


「じゃあ侍女に着替えさせてもらったらすぐに食堂に来い。飯だ」


そう言ってパパは部屋を出ていった。

そして侍女が一人私の部屋に残る。


「はじめましてハンナ様。私の名前はサーシャと申します。今後ハンナ様のお世話係をさせていただきますので以後お見知りおきを」


私専属の侍女が与えられ私の生活は以前とは全くの別物へと変わっていったのだった。






自分で書いておいてなんですが、書きながら泣くぐらいにはしんどかったです。こんなのもう書きたくない…。でも多分またシリアス展開書くかもです。笑

百合要素出てくるまでに少し時間かかるので早く百合にしたい!!お姉さんとイチャイチャさせたい!!

その為にも頑張って書きます。

駄文ですが応援してくれると嬉しいです。

今後もよろしくお願いします。

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