ハンナ誕生
私の名前はハンナ・レイン・グレース。
グレース公爵家の四番目に生まれた女の子。
私は魔法騎士団で隊長を務める父ロイ・デオ・グレースと元騎士団の救護部隊で活躍していた母ナターリア・メイ・グレースの次女として生まれ何不自由なく幸せに暮らせる家庭環境のはずだった。
しかし私には辛くて苦しい地獄のような日々が待っていたのだ。
「ロイ様!生まれましたよ!」
雪が降り積もった寒い日にグレース公爵家に待望の第四子が誕生した。
「ロイ様、お部屋に入る前に一言だけ。取り上げたのは間違えなくロイ様とナターリア様のお子様だということだけお伝えしておきます」
「何を言っている?そんな当たり前の事何故伝える必要があるのだ?」
「実際にご自身の目でお確かめになったうえでご理解していただけたらと」
意味深な一言を私に告げた侍女は部屋のドアを開けナターリアの元へと案内する。
「ナターリアお疲れ様。本当によく頑張ったな」
「ロイありがとう。可愛い女の子よ、あなたも抱いてあげて」
愛おしそうな表情をしたナターリアの腕に抱かれた我が子を見て私は驚きで声が出なかった。
「この子は何なんだ…。」
生まれた子は白髪で目の色は全体的に赤く所々に少し金色が散りばめられたような瞳をしていた。白髪に赤い瞳といえば吸血鬼や悪魔といった魔族の持つ見た目だと言われている。この子は本当に私の子なのか?金髪に青い瞳を持った私と、薄い緑色の髪に髪色と似たような色の瞳を持っている妻の要素がどこにもない。まさか妻が別の男と関係を持ったのか!?考えたくもない疑惑が頭を過ぎったが普段私に対する溺愛ぶりを見るからにそれはありえないだろう。
じゃあ一体何故この子はこんな見た目をしている…。
「髪の色も瞳の色も私達と違うぞ!それにこの色は…。 何がどうなっている!?」
「ロイ様落ち着いてください!」
「うるさい!これが落ち着いていられるか!」
私が酷く困惑し取乱している中ナターリアは恐ろしいぐらいに落ち着いていた。
「ロイよく顔を見て?この子とても可愛いらしい顔立ちをしているのよ。目の形もあなたに似て綺麗な目なの。それに髪や瞳の色が違くても確かにあなたと私の子だわ。だから大丈夫、きっと素敵な子に育ってくれる」
嬉しそうに呟くナターリアとは裏腹に私はいまだに自分の子として認識出来ない目の前の赤子にどう接していいのかわからなかった。
「失礼します。母上お身体の調子は大丈夫ですか?」
「お母様!無事に生まれたのね!!」
「こら、ソフィア。母上は出産を終えたばかりで疲れているのだ。もう少し静かにしなさい」
「アデル兄様、今はおめでたいのよ?もっと喜んでもいいじゃない!」
「まあまあ、こういう時ぐらい多目に見てあげなよ兄さん。僕も待ち遠しかったし!」
自分の部屋で待たされていたはずの子供達が嬉しそうな声を上げながら部屋に入ってくる。
「アデルもセイもソフィアもありがとう。あなた達の妹のハンナよ。仲良くしてあげてね」
ナターリアは部屋に入ってきた三人の子供達に生まれたばかりのハンナを見せる。しかしこの日をずっと待ち望んでいた三人の顔は喜びではなく驚きと困惑の表情をしていた。
「父上!この子は本当にグレース家の子なのですか!?」声を荒らげるアデル。
「お母様この子は何故白髪なの?瞳の色も私達と違う…。」悲しそうな声で問いかけるソフィア。
「えっ?この子が僕の妹だって?嘘だ…。僕は認めない」ハンナに対して拒絶を示すセイ。
我が子達の発言にナターリアはものすごくショックを受けた。ナターリア自身も生まれたばかりのハンナを目にした時はものすごく驚いた。でもハンナの可愛いらしい顔と元気いっぱいに泣く姿を見て容姿の事なんてどうでもいいこの子が元気に育っててくれるならそれだけで充分だという気持ちでいっぱいになったのだ。
「この子は確かに容姿は誰にも似てないかもしれない。でも私がお腹を痛めて生んだ可愛い我が子です!あなた達の大事な家族です!それだけは変わらない事実なの。だからハンナの事拒絶しないであげてお願い…。」
ナターリアは涙を流しながらハンナをギュッと抱きしめる。重たい空気に支配された空気感を感じ取ったのかハンナが大声で泣き始めた。
「よしよし、良い子ね。大丈夫よ、怖くない怖くない」
受け入れ難い見た目の赤子を懸命にあやす母親の姿を何とも言えない複雑な気持ちで見つめ立ち尽くす三人。
「お前達は部屋に戻りなさい。母さんも疲れているし休ませてあげてくれないか」
私は子供達を部屋へと帰しナターリアのベッドに腰をかける。
「なぁ、ナターリア、、、本当にその子を育てる気か?」
「なんでそんな酷い事を言うの!?見た目が変わっているのがそんなにいけない事!?」
「私だってこんな事言いたくないさ!!でもその子は生きていくうえで確実に苦労する。それに、、グレース家だって冷たい目で見られる可能性も高い。上の子達は魔法の才能にも恵まれている。期待されて頑張ってるあの子達を不安にさせたくないんだ」
「ハンナはまだ生まれたばかりでこれからどうなるかなんて誰にもわからないじゃない!!この子だって三人に負けないぐらい魔法の才能があるかもしれないのよ?三人と同じように私達が愛情を注いであげれば絶対に大丈夫だから。お願いロイ、ハンナを見捨てないで。この子を手放すなんて私絶対に嫌よ…。」
懇願するナターリアの姿を見て胸が苦しなる。何故こんな事になってしまったのだ。時間が経てばこの子に愛情は湧くのか?父親としてこの子を育てていけるのか?まだ受け入れられない状況に答えが見つからず私はナターリアを抱きしめる事しか出来なかった。
とりあえずハンナの誕生した話は書き終えましたが、文章下手くそなので伝わりにくかったらごめんなさい。
続きは意欲がある今のうち書けるだけ書きたいし、投げ出さずに頑張りたいので応援してもらえると助かります…。笑






