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若隠居のススメ~ペットと家庭菜園で気ままなのんびり生活。の、はず  作者: JUN


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若隠居、守り人を知る(3)

 少女の遺体を簡単にではあるが埋めて墓標代わりの石を載せ、町に戻った。

 ノーマローマはパトロールを続けると言って先に戻って行ったが、ふぁんとむは護衛だと言って付いていてくれ、色々と話をしてくれた。

 吸血鬼に噛まれると、その場で死んでしまうか、その場で吸血鬼化する場合が多いらしい。

 しかし稀に、そのまま人間のままで生き残る人がいるそうだ。そういう人のほとんどは三日ほど熱を出して寝込み、それから死ぬか吸血鬼化するか、そのまま回復して人間のままでいられるそうだ。

 しかし人間のまま生き残っても、周囲の人間に恐れられ、疑われ、迫害を受けたり襲われたりすることがほとんどらしく、教会に保護されて生きていくことになるという。

 その中で素質のある者はハンターになり、そうでない人はそれ以外の業務をになっているそうだ。

「噛まれれば、たとえ生き残っても大変なんだなあ」

 幹彦がしみじみと言うと、ふぁんとむはこっくりと頷いた。

「教会に保護されるだけまだましということもある。

 例えば、少し前まではよく判定裁判というものが横行していた。吸血鬼は水が苦手だから、両手を後ろ手に縛って池に突き落として、浮いてきたら吸血鬼。沈んだら人間」

 僕たちは目を見開いてふぁんとむの顔を見た。

「どっちにしても死ぬじゃねえか!」

「魔女裁判! 理不尽だよ!」

「そう。理不尽。ノーマローマが嫌うバカな迷信の極み。

 今では禁止しているけど、田舎の方では、まだやっているところもある」

 それで揃って溜息をついた。

「どこまでも災難を振りまくやつらだぜ、吸血鬼ってやつは」

「あれ。その内全部が吸血鬼になって吸血鬼も困らないんですか?」

 そう言うと、ふぁんとむは頷いた。

「だから、吸血鬼も片っ端から人間を襲っていると食料がなくなるからか、人間をさらって閉じ込めて、食料の安定供給をしている。彼らは養殖場って呼んでいる。

 そこの人間は、順番に注射器で血を抜かれて血を提供しているって」

 僕や幹彦は、それを聞いて顔を歪めた。

「まさに養殖場ってわけか」

「いや、人間も魚とかを養殖している以上自分勝手かもしれないけど、何だかなあ」

 ふぁんとむは頷き、続けた。

「それはともかく、だから本当は、吸血鬼も自由勝手に人を襲うことは禁止していると、聞いた事がある。さっきのやつらみたいなのは規則違反の言わば跳ねっ返り。

 そういう跳ねっ返りを排除しても、しばらくしたら別のやつがまた来るから、いたちごっこ」

 僕たちはそろって嘆息した。

「ハンターって、町を巡り歩いてそういうのを排除するんですか」

「大変な仕事だな」

「全くその通り」

 そうして後は黙りこくって、町へと歩いて戻った。








お読みいただきありがとうございました。御感想、評価などいただければ幸いです。おかげさまで4巻、9月10日にTOブックスより発売しました。よろしくお願いします。

挿絵(By みてみん)

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