第二話 家に打ちのめされる少女
続けて第二話です。
梓は武の家の何に打ちのめされるのでしょうか……。
どうぞお楽しみください。
あぁ、お兄ちゃんの家ってどんな感じかなぁ。
できればあんまり広くなくて、何かとお兄ちゃんを近くに感じられたらいいなぁ。
それで大学が終わったらすぐ家に帰って、お夕飯の支度して、帰ってきたお兄ちゃんに「お帰り」って言って。
そうしたらお兄ちゃんが私の頭を撫でながら、「帰ってきた時に家が明るいのっていいな」って微笑んでくれて……!
きゃー! 素敵すぎる!
「梓、着いたよ」
「え? あ、うん!」
いけないいけない。
素敵な未来に浸っちゃってた!
さて、お兄ちゃんのお家は……。
……?
「お兄ちゃん、お家って……?」
「だからここだよ」
「……?」
目の前には山の崖を思い出す大きな建物しか見えない。
え? お家は?
「びっくりしたか? 俺、大学時代に友達と一緒に企業立ち上げたら大当たりしてさ、せっかくだから家買ったんだ」
「……家……?」
「と言ってもこれ全部じゃないぞ? 二部屋だけだ」
「……部屋……?」
こんなすごいところに住んでるのお兄ちゃん!?
上の方見えないけど!
「さ、じゃあ入るぞ」
「う、うん……」
お兄ちゃんが車を建物の横の大きな入口から車を入れていく。
地下の駐車場は、公民館が四つか五つは入りそうな大きさだった。
「? どうした? 顔色悪いぞ? 酔ったか?」
「……ううん、大丈夫……」
ま、負けない!
こんなお城みたいなお家だって、いや、だからこそ一人でいるのは寂しいはず!
お兄ちゃんに「お帰り」を言えるのは私だけなんだから!
読了ありがとうございます。
盛大にフラグを立てた梓の明日はどっちだ。
次話もよろしくお願いいたします。