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機動悪役令嬢フォルフィズフィーナ  作者: えがおをみせて


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第30話 養子会議開催




 さて、養子会議は辺境大公国の男爵以上全員が集合して行われる。通達を出してから集合まで10日間。


 そしてさらに、その場には殆どが貴族兼務だが、一部例外も見学という形で参加することになる。例えば、フォートラント王国421中隊長。要は中央からのお目付け役だ。ついでに言えば、領都フィヨルタの老舗旅館から『金の渦巻き団』第2班長アレッタ。なぜかその家系からは『フサフキ』がポンポン出てくるのだ。しかも全員女性。昇爵の話も何度も出たが、当人たちは全て拒否した。今を以て子爵よりも格上の平民などと呼ばれている。


 余談はさておき、その10日間をフミネとフォルテは忙しく過ごした。


 まずは、ソゥドの訓練。これはフミネにとって急務と言える。持ち前の総量が少ないため、どれだけ効率的に、そしてトリッキーに使いこなして見せるかなのだが、こういうのはフミネのお得意技であった。引き出しどころか、やたら階層の深いディレクトリが増えていくがごとく、妙なワザだけは増えていった。


 次に、甲殻騎操作。こちらはフォルテが頑張るしかない。ソゥドの操作に優れるフミネは、フォルテの荒ぶる力を容易く受け止め、オゥラくんに伝達する。後はもうフォルテのイメージだ。どれだけ動けるのか、どれだけ動いてもいいのか、どれだけフサフキを再現できるのか、それを追求していく。


 最後は、食材の調達だ。ファノト・フィンラントを目指す者が、列席者に甲殻獣の肉を振舞うのが伝統とされているわけだ。実力誇示というか、大物を提供するのはどの世界であっても定番なのだろう。実はこの件で色々あったのだが、それについては後述だ。


 実はもう一つやるべきことがあったのだが、それはぶっつけ本番の方が良いと大公とお妃が言い張ったので、練習は無しになった。



 そして当日である。



 ◇◇◇



「諸卿におかれては、多忙の中、よくぞ参集してくれた。辺境大公国を治める者として感謝している」


 会場はヴォルト=フィヨルタ大会議室。まずは大公の言葉から、会議は始まった。


 伯爵5名、子爵18名、男爵53名、これが会議に参加する、すなわちフィヨルトの貴族全員となる。その他24名は決定権を持たないが、列席を許された有力者たちだ。


「この度、新たなファノト・フィンラントとして推挙したいと考える者が現れた。知っているものもいるだろうが、正式にここで紹介しよう」


 大公の座る椅子の左にはお妃が、そして右側は空席となっていた。


 そして、フミネが壇上に上がる。


「紹介しよう。異界たるニホンより顕現し者。名をフミネ・フサフキと言う」


 おおおおおお……。


 知らない者、知っていても顔を知らない者たちがどよめく。


「お初にお目にかかる方々も多くいらっしゃいましょう。初めまして。フミネ・フサフキと申します」 


 『ニホン』、黒目、黒髪、先代聖女の肖像画に似た容姿。そしてなにより、『フサフキ』。


「聖女様、ということでしょうか」


 皆を代表し、国務卿が問いかけた。


「まだ、わからない。というのが私から言えることだ。聖女とは何を為したかで決まる。彼女はまだ何もしていない。だが、私個人の考えとしては、彼女をファノト・フィンラントとすることで、聖女に恥じない羽ばたきを見せてくれると、信じている。だからこそのこの場である」


 ざわざわと会場に音のさざ波が広がる。


「よろしいでしょうか」


 一人の子爵が立ち上がった。


「うむ」


「ファノト・フィンラントを得るという事は、それなり以上のお力をお持ちということでしょうか」


「その通りだよ。第2騎士団長。なぜこの壇上がこれほど広いのか、わかっているのだろう」


「はい。そして、私がライド様を信奉していることも」


「ああ、わかっているさ。それで良い。では、フミネ殿」



「第2騎士団長様を沈めてしまっても、よろしいのですか?」


 フミネが悪役の笑顔で問うた。


「ああ、存分にやってくれて構わない。ただし、今後の軍務に支障がないように手心を」



 あまりの屈辱的会話に、第2騎士団長の顔が歪んだ。



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