マグロを落としたシンデレラ
「2000万! 2000万でシンデレラさんお買い上げー!!!!」
なんということかしら!? 舞踏会に出掛けるはずが、何故私はマグロの競りに行ってしまったのかしら!? そして何故マグロを競り落としてしまったのかしら!?
──ゴーン……
──ゴーン……
「大変! もう十二時だわ!」
マグロを抱えて走り出すと、たちまち魔法が解けてゆく。途中でマグロの尾ビレの部分を落としてしまったけれど、拾っている時間は無い。既に後ろ姿はボロボロのシンデレラに戻っているのだから……。
「中トロ……お待ちどうさま」
勢いで始めたお寿司屋さん。もうお義母さまもお姉さまも私には関係の無い話。
──ガラッ
「あ、いらっしゃ──」
そこへ現れたのは舞踏会で一緒にに踊る筈だった王子様。こんな形で対面出来るなんて、夢にも思いませんでしたわ……。
「マグロを貰おうかな」
「へい……」
王子様に私の握ったお寿司を食べてもらえるなんて、夢のようだわ。
「へい、マグロお待ち」
──パクッ
「……旨い」
王子様の嬉しそうな顔。私はそれだけで胸が苦しくなりました。
「ところで──」
王子様が袋からマグロの尾を──それはもしかして!?
「この尾が似合う女性を探している」
そっと尾を受け取り、ポーズを決める。
「やはり……あの競りに居たのは君だったか」
「──えっ!?」
「いや、私もあの時競りに参加していてね、君の気迫溢れる競り姿に一目惚れしてしまったんだよ」
「え、あ、あの……舞踏会……は?」
「あいにく、私は踊りよりもマグロの方が好きでね。良かったら、一生私のためにマグロを握ってもらえないかな?」
「は、はい──!!」
こうして、私は王子様と二人でお寿司屋さんをやることになりました。王子様不在のお城はあっという間に財政が傾いてお取り壊しになったけれども、今は二人で幸せに暮らしてます!




