妹の可愛いさは異常
次の日、今日は珍しく茜と一緒に登校です。
昨日、映画を見終わった後に起きたことを話したから心配させちゃったのかな?
生徒会の仕事は大丈夫なのでしょうか?
「ねぇ、ねえ茜」
私は茜にすり寄る。
「何?お姉ちゃん?頼みたいこと有るの?」
「さすが茜、言わなくても私のこと分かってる」
ごますりは肝心です。
「16年一緒にいればそりゃ分かるよ。今お姉ちゃんが頑張って私にごますろうとしてることも」
……えっ。
ばれた。
同じだけいるのに、私は茜の考えていること何も分かんないんだけどな。
「たいていのことは頼まれてあげるから大丈夫だよ」
「新しい同好会を作ろうかと思うんだけどね。それの人数集めを茜にお願いしたいんだ」
「どんな同好会?」
「アイドル同好会」
「えーと、お姉ちゃんアイドルやるの?」
茜が言葉を一言一言慎重にいう。
これは私も茜の考えていることわかります。
きっとお姉ちゃんはアイドル向いていないからどうやって止めさせようか考えているんです。
茜もまだまだ甘いな。
「……」
「あっ、ひなこさんを愛でるサークルか」
茜はほっとするように呟く。
「先に答えられた」
「けど、お姉ちゃんってアイドル全般に興味有るわけじゃないよね?」
「そうだよ。ひなこたんとわかばちゃんしか興味ない」
「じゃあ、そもそもアイドル同好会じゃないよね? ひなこたん?同好会だよね」
「そうだけど、それだと同好会として認められないかなーと」
一様、同好会の設立条件が、学生の成長を促す活動をするものなので、ひなこたん同好会にすると設立出来ないと思われます。
どう考えても学生の成長を促さず、どちらかと言えば脳の退化を促してそうです。
「確かに無理そうだね。けど、アイドル同好会でもそんなに変わんないと思うよ」
「それを言われちゃおしまいだよ」
生徒会役員の茜に言われたら出来る気がしないんだよね。
「一応、友達に少し聞いてみるね」
「ありがとう茜、天使!」
交遊関係の広い茜が誘えば一人位見つかるはず。
見つかるよね……
その後わかばちゃんと合流して学校にいったが今日も見つかりませんでした。
「ただいまー」
………
返事が無い。
これは……
「お帰りー」
誰からも返事がないと自分で挨拶を返したくなるのはなぜなのでしょうか?
家には誰もいないみたいです。
そして、私は学校の宿題が無く暇です。
ではやることとしたら妹の部屋あさりしか無いと思うのですけどどうでしょうか?
「あ、お姉ちゃん。ただいまー」
ちぇ。
後ろを振り向くと、私と違って品行方正な妹様のお帰りです。
「お帰りー」
今日のところは諦めましょう。
機会は諦めなければ何度だってあります。Never give upです。
「お姉ちゃん、私の部屋を漁ろうとするの止めてよ」
茜は靴を脱ぎながら当然の如く言います。
何でばれた。やはり妹って超能力組織の一員なのですかね。茜ってそういう設定似合いそうなんですよ。
「なんで驚いてるの?お姉ちゃん、私が家にいない時いつも漁ってるじゃん」
茜は大きなため息つきます。
「………ため息つくと幸せが逃げるよ」
「………」
「誠に申し訳ございません」
まあ、漁りますけど!!
なんたって、"お姉ちゃん"なのですから!妹の性教育には興味あります。
妹が変な道に行かないようにするのも姉の役目です。
「はあ、言っても聞かないんでしょ」
その通りでございます。
「お姉ちゃんごめんね。アイドル研究会のメンバーだけど見つからなかった」
茜は申し訳なさそうに言うと、自分の部屋に入っていく。
茜の交遊関係でも無理なのですか。
これは、同好会結成するのはほぼ無理ですかね。
高校でキャッキャウフフしながらひなこたんの話し少ししてみたかったです。
ちゃんと男も誘っていますからね。
妹によって用意されたワイシャツを着てリビングに戻ると、妹は制服からワイシャツに着替えてエプロンを着て夕食の調理をてきぱきとおこなっています。
私はリビングのふかふかのソファーに寝そべりながらテレビをつけ、妹の調理を見守ります。
なんで妹に任せて調理しないかって?
私だって調理位できるよ!カップラーメンとかレトルトカレーとか、凄いでしょ。
だけど、お姉ちゃんはちょくちょく抜けてるから危ないって茜に止められるのです。私も妹のために料理してあげたいですけど。
茜にはお姉ちゃんの笑顔で十分だからって言われます。
そうだ、私はソファーから立ち上がり鼻歌を歌いながら鍋の中身をお玉でかき混ぜている茜にスマホのカメラを向けます。
茜は使っていないお玉を取り出しお玉を口にあててウインクしながら首を傾け、仁王立ちしたポーズを決める。
可愛いー。
「はいチーズ」
妹は品行方正といっても私みたいな不純物まじりじゃなくて正真正銘の最近の女の子なのです。こうやってカメラを向ければスーパーモデルに早変わりです。
「うん、可愛い。ありがとね」
どこも修正する必要無いね。
「良いよー」
妹は何事も無かったように夕食の準備を続けます。
私はその写真をりかさんとかなさんとのチャットルームに送ります。
"私の妹、可愛いでしょ"
"可愛い!私の家に出張希望"
りかさんから光の早さで返信がきます。
多分、時間的に今仕事中ですよね…。
"可愛らしいかたですぅ。今度、私の家にも来て欲しいですぅ"
"うー良いな、良いな。私も可愛い妹に朝から晩までお世話して欲しいな"
"あなたの場合はお世話じゃなくて介護ですぅ"
かなさんとりかさんって凄い仲良いです。どんな関係なんだろう。もしかして、付き合ってる!!
"妹がいれば頑張れる………かな?"
"無理ですぅ"
ばっさり。かなさん、血も涙もないです。
"そんなことより。次の同人誌の題材はゆかちゃんとゆか妹のカップリング書いていい"
切り替え速いです。
ちょっと、その同人誌はほんのちょっと見たいです。
「お姉ちゃん、夕飯出来たよー」
茜がパタパタとこちらに来ます。
うん。茜となら私が攻めだね。
「何ニマニマしてるの?」
茜が私の肩越しに画面を覗きこんできます。
ふと、カーネーションの匂いが鼻腔をくすぐります。
茜の顔が真っ赤になる。茜の肌は元々白いので本当に鮮やかな赤色になっています。
「お姉ちゃん」
「ん、何」
私はなるべく平静に言葉を紡ぐ。
「何でもないよ」
茜はキッチンの方に隠れてしまいます。
普通のJKの茜にはちょっと刺激が強すぎたかな。
フォローしないと私が妹を狙っているやばい姉になって、頼りになるお姉ちゃんの印象が崩れてしまいます。
けど、もうすでに茜に嫌われてはいないですよね?ね?
"夕食出来たので退出します"
私はさっさと打ち込みます。
「茜、一緒に夕飯食べよー」
茜はキッチンの隅で体操ずわりになって顔を隠しています。
「うん」
茜はこちらにほんのり赤みががった顔向けて、満面の笑みを浮かべながら頷いてくれます。
最悪の事態にはなってないかな。
弁明頑張るぞー。
失敗したらりかさん、かなり恨みますから。
"わかりましたですぅ"
"拒否が無いってことは描いて良いってこと?"
"いいの?"
"いいの?"
…
チャットルームのコメント数が一秒間に100増えました。
今日の夕飯はペペロンチーノです。
私の好物であります。
基本的に茜が作った料理はどれも美味しくて好きなので、茜の料理が好物と言っても過言じゃないです。
「お姉ちゃん…、あんまりえっちーいの…。良くないと思うの」
妹がもじもじしながら言います。
可愛い。私の妹可愛いです。そんじょそこらのアイドルじゃ太刀打ち出来ないほど可愛い。
見ていたいけど弁明しないと。
「大丈夫、多分描かないから。あれは言葉の綾だからね」
りかさんもその位の常識あるよね?あるのか?凄い心配です。
「そうなんだ。わかったよ」
妹のまゆがちょっと下がった。
これなら大丈夫かな。
「そうだよ。今日もおいしいね。ありがとね、茜」
「ありがとうお姉ちゃん」
とりあえず妹のおいしい手料理でも食べて今日のことは忘れましょう。