第3話 魔族のルーフェ
第3話 魔族のルーフェ
「俺が見えるのか?」
そうルーフェは尋ねた。
「見えるよ。君が幻かもしれないけど」
と要は答えた。見えないはずのものが見える要にとってはいつもの幻視である。
「人間に見えるとは不思議なものだ」
「どういう意味?」
「人間は見たいものしか見えないように脳を変えてしまったのさ」
「???」
「人に言ってもわからんよな」
「わかることは3つあるよ。1つはもしかしたらこれが幻視じゃないかもしれないこと。1つは君が人じゃないこと。1つはやはりよくわからないこと」
「面白いやつだな。わからないことがわかるか...」
「これ幻視じゃないの?」
「どう思う?」
「わからない」
「どっちでもいいのではないか?」
「そうだよね。問題はこの出会いから何が生まれるかだよね」
要はこれが幻視じゃないかもしれないと言いながら、半分以上は幻視だろうと思っていた。しかし要が以前と違うところは幻視なら幻視で自分が何を感じるのかが大事かと思っている点であった。
「ではこの出会いを祝して何か望みを1つ叶えてやろう」
「じゃあ僕が会いたいときいつでも君と会える事」
「な、何?それでいいのか?」
「いいよ、だってまた会えば望みをまた1つ叶えてくれるかもしれないじゃない」
「そんな都合よくはいかん」
「そうだよね。ところで君は誰?」
「今更だが、わしは魔族のルーフェだ。銀河パトロール隊の職員をやっておる」
「魔族?魔族って悪役じゃないの?」
「その認識は無理もないか。この星では随分魔族が暴れたようじゃからの。人にも良い人と悪い人がいるじゃろ。魔族も同じじゃ」
「なるほど。じゃあパトロールって何を取り締まっているの?」
「天の川銀河公法の違反行為をじゃな」
「この星の人間も処罰されるの?」
「いやこの星の人間は保護対象じゃから処罰はされん」
「じゃあ誰を処罰するの?」
「この星に住む犯罪者となる魔族や妖じゃの」
要は気が付いていないが、このルーフェの前ではまるで幼児のようであった。何故かはわからないが、要はこのルーフェに温かいものを感じている。すさみ果て枯れ果てた心を癒すような温もりを感じるのであった。
「ねぇ、ルーフェと友達になれるかな?」
「わしは幻の友を持つ趣味はない」