家族小景「年末のスーパー」
年末のスーパーに、ショウはお母さん、そして、年末になってようやく休みが訪れたお父さんと一緒に来ていた。
入り口近くにキラキラと輝くような、門松やしめ縄や、おもちやミカンが並んでいる。
お父さんとお母さんは、この正月に必要なものを選んで、そっとカートに入れていく。
あるコーナーが近づくと、ショウはニコニコとうれしそうな顔をした。
お菓子コーナーだ。
「好きなもの、ひとつだけよ」
お母さんがそう言うと、ショウは「ええー」と不満そうな顔をした。
「どうしたんだ、ショウ。いつもなら好きなものをひとつだけ選んで喜んでるだろうに」と、お父さんが不思議そうに聞く。
「クリスマスもお正月も、ぼく、もらってばかりでしょう。だからお父さんとお母さん、じいじとばあばにお菓子をあげたかったの」
「なんだ、そうだったの! ショウ、えらいね」
お母さんがショウの頭を撫でた。
「今日は特別」
お母さんは微笑んで、最近流行っているチョコ菓子の袋入りをカートに入れた。
「ありがとう、お母さん!」
ショウは笑ってお母さんとお父さんの後をついて行った。