一番近くて、一番遠い Ⅳ
「いってきま~す…」
ガチャッ…―
「いおちゃんおはよ!」
「一ノ瀬君…おはよ……!」
「手。」
「ん?」
「手、繋ぎたい…」
「…」
一ノ瀬君が唖然としている
「あ…あははっ、キモいよね!ごめんごめん!」
死にたい…
「いや、そうじゃなくて、俺から言おうと思ってたから…」
一ノ瀬君が照れてる…
「ん。」
手を差しのべてくれた…
「いおちゃん…」
「んー?」
「俺のことは名前で呼ばない?」
「えっ…」
「かんちゃんって呼んでほしんだけど…」
「おっけー!かんちゃんね!」
「予想以上に嬉しい…。てか、はずかしいな。あはは!」
「わざわざ教室までごめんね。」
「彼氏だもん。当たり前だよ。いおちゃんは何も気にしないでいいからね」
「ありがと…一ノ……んっ」
優しく、クラスメイト全員の前でキスをした。
「かんちゃんだろ!じゃあ、放課後迎えにくっから!」
「ありがとっかんちゃん!」
私をフワッと抱きしめた…―
「な…なに!?」
「パワーちょうだい!んー」
「…恥ずかしい…」
「……よしっ!」
「じゃあ、ばいばい!」
私は、クラスの女子と挨拶を交わし、
静かに席に着いた…
バンッ…―
「!?」
にりが、机を蹴り倒した。
「…にり!高橋くん!けがは?してない?大丈夫?」
「青山さん…ありがと…」
「ううん!」
「いお。話しあるから顔貸せ」
ビクッ…―
「う…うん…」
「呼び出しちまってごめん… 俺の話を聞いてくれるか?」
「うん」
「俺は、チビの頃からお前のことが好きだったんだ。」
「!」
「…」
「冗談は顔だけにしてよ!あはは」
「本気だって事くらいはわかるだろ?」
「…ごめん…」
「俺と付き合って!」
「え… 朝見てたでしょ!?一ノ瀬君と付き合ってんの!」
「知ってるよ。俺お前守る為に何回忠告した?お前は俺のこと信用してないってことだ。」
「でも…自分だって、ルカ…ちゃんをスキって言ったじゃない!」
「あれは!お前のこと好きだとでも行ったら、一ノ瀬がお前を食うと思ったからに決まってんだろ!」
「…う……言ってくれなきゃ分かんないよぅ…うぅ…」
「今は信じてくれ!頼む!」
私の肩に手を置いて、必死に頼む姿…
こんな姿見たこと無い…
「わ…」
「あー!いおちゃーん!それににりくんも居んじゃん!何々!?何の話ー?俺も混ぜてー!」
「お前どこにでも出てくんなぁ。俺らを付けてんのか?」
「にりくんは面白いなー!あはっ。いおちゃんが居るから愛のテレパシーってやつ?あはは」
「ふざけんな!」
「にり!やめて!」
ゴツッ…―
「あ…ごめ…ん…」
「にりくんひっどー!いおちゃん大丈夫ぅ?」
「う……」
「いお!」
パチッ…
ここどこ?
「あ!いおちゃん目覚めたぁ?ここは俺んち!」
「!?」
「手荒な真似してごめんね…」
「?」
「いおちゃんは俺の物なんだよね?」
「え…っ」
「俺と付き合うって言ったもんねー」
「それは…」
「にりくんを忘れるため。なーんて言わないよね?…ざけんな。」
ビクッ…
「かんちゃ…ん…?」
「どうしてもにりからお前を奪いたい理由があんだよ…」
「かんちゃん?どうしっ…んっ」
痛い…痛いよ…どうしてキスがこんなに痛いんだろ…
「教えてほしいか?理由を。」
「……」
「お前、返事しろよ!」
「…ひっ…うぅ…」
パッ…
かんちゃん?
「まぁ、お前はそこで寝とけ。言っとくが、俺はお前を好きでも何でも無かった。」
「わたしは…」
「あぁ?」
「わたしは、ちゃんとかんちゃんが好きだったよ…」
「黙れ!」
「うん…ごめん……」
ドアが開いた…
「いおーーーーーー!」