一番近くて、一番遠い Ⅲ
「いってきま~す…」
ガラガラガラッ…
「!?」
「いお!昨日はマジでごめん!でも、俺のことを信じてくれ!」
「痛い…よ…」
私の肩から手を離す
「ごめん…。でもっ俺は…!」
コツコツコツ…
「い~お~ちゃんッ!おはよ!」
「一ノ瀬君…おはよう…」
「おいっ!いおに何かするんじゃなくて、直接俺に来いよ!」
「なにを?バカだな~、にりくんはぁ~。ははは。俺はいおちゃんを大切に出来るよ。だから、お前は自分の好きな女にでも構っとけ。」
「だから、俺は…!」
「いおちゃんが好きとか言うなよ?今まで、お前のせいでどれだけいおちゃんが苦しんできたか知ってるか?」
「っ…」
「にりくぅ~ん!探しちゃったぁ!」
「ルカ…」
「あ!かんたじゃん!どうしたのぉ?」
「俺?俺は、にりくんと話をつけにきた。どうやら、にりくんは、ルカのことが好きらしい。」
「えぇ~!?ホント!?」
「……あぁ…」
俺はわかっていた。もし俺がルカのことをスキって言わないと、いおに手が出ることが…
「じゃあ、早速日曜日、皆で遊園地行かないっ!?ルカぁ、行きたいなぁ~」
「4人で…?」
「いいじゃんにりくん。いおちゃんもいいよね?」
私は、我に返った
「うん…」
「じゃあ、決まり!いおちゃん学校いこ!」
一ノ瀬君が悪い人な訳ない…
「いこ…」
「今日デートしない?」
「え…でも…」
「いいじゃん!俺、いおちゃんの嫌がることはしないし!」
「…うん」
「教室まで迎えに行くね!」
「…待ってるね……」
「いお!今日の朝のことは忘れて!全部違くて!」
パシッ…―
教室中が静まり返る。
「もう…もういいから…」
「だから違くて!」
「にりは私が嫌いなんでしょ?じゃあ、もういい」
「俺はお前が…!」
「好きなんて今更、言わないでね?にりに振り回されるくらいなら死んだほうがマシ!…好きだったのに…」
「っ…」
私は全速力で教室を出た…
「おっと…」
「……ひっ…ひ…」
「いおちゃん!?」
「うん…うぅ…」
「てか、俺等まじに付き合わない?」
「え…」
「俺のこと嫌い?」
「嫌いじゃない…」
「にりくんを忘れさせてあげるよ…」
私はもう、にりを忘れると決めたんだ…
「付き合おう…―」