第三幕〜動くココロ〜
月末になり、学級委員が席替えを提案した。須木君は視力が低下しているため、前の席になっていた。
まぁ関係ないけど・・・・
順番が私にまわってきた。適当にくじを引き、番号を見た。
私は一番前の席、しかも須木君の隣になった。
「沙夜また須木の隣じゃん」
「うん、私もびっくりした」
(これって運命!?)
「また隣だね」
私は、須木君に早速話しかけた。
「うん、凄い偶然」
須木君も笑顔でかえしてくれた。
私は多分、この時から須木君が好きだったのかもしれない。
その証拠が体育大会でのこと。
最終種目、団対抗リレー。うちの団は4組中2位。須木君はアンカーで、200mをダッシュ!そして、見事1位になった。須木君はゴールすると、その場に倒れてしまった。
(須木君、かっこいいし、すごい)
おかげで、うちの団は勝つことが出来た。
それから私は、家に帰宅した。
「ただいま」
リビングに入ると、お母さんとお父さんが揃って座っていた。
「おかえり、沙夜」
「二人共一緒なんて珍しいね、どうしたの?」
私は、鞄を置きながら言った。いつもだったら、お父さんは夜遅くに帰るのだから。
「まぁな、実は俺の転勤が決まってな、来月なんだが」
「そう遠くじゃないのだけど、県外だから家族皆で行こうって、お父さんとも話し合ったの。その方が良いと思って」
正直言って驚いた。だって、好きな人が出来たと思ったら、お父さんが転勤だなんて、まるで、物語の世界みたいだ。
「私、転校しないといけないの?」
多分、半分泣いてたと思う。
「そうね。でも大丈夫よ、1年だもの」
「うん」
(1年だけど、それが今年はすごく貴重なのに・・・・・折角好きな人が出来たのに、なんで)
私の心は、不安定になっていた。
その夜私は、夜遅くまで泣いた。