37話「ご都合主義でムシのいい悪魔撃退法!!」
ついに出てきた、聖剣エクスカリバーに宿る、職人の幽霊!!
彼の口から、500年前の伝説っぽいものが語られる……のか?
腰をヤラれたおトメばあさんこと、イタコババア(職業:詐欺師)は看護師さんに拉致られた。
外から鍵がかけられていて、窓に鉄格子のはまっている部屋とかに連れていかれたらしい。
さらば、詐欺イタコババア!!
君のことは、覚えていたら忘れない!!!(でも多分ムリ★)
そして、勇者ミナミンたちもデブで年配の看護師長さんに「他の患者さんに迷惑ですッ!」と、がっつりもっちゃりねっちょり怒られ~の。
……で。
二日酔いで入院していたミイラじじいの具合も、すっかりよくなっていたようなので、退院の手続きとをすることにした。
入院費を清算するため、ミナミンの母ちゃんとミイラじじいは受付に向かう。
いつの間にか陽はとっぷりと暮れていた。
外来時間もとっくに過ぎており、電灯を消されて暗くなってしまった病院のロビー。
そこに寂しげに佇む、勇者ミナミン、女神アルテシア、魔王ピイチャン、そして聖剣エクスカリバーの職人の幽霊。
職人の幽霊は、白髪混じりの短髪ごま塩頭にねじりハチマキをキリリと締め、作業しやすいにように袖を切り落とした年代モノの着物姿である。
頭髪と同じく白いものが混じった凛々しい太い眉毛の間には縦皺がよっている。
特に不機嫌というわけでもないようなのだが、常に口はへの字に結ばれている。
10人が見たら、10人が頑固職人だと言いそうな風貌だ。
職人幽霊は聖剣本体からあまり離れることが出来ないらしい。
実に幽霊っぽくプカプカと聖剣の真上の空中に浮かびながら、ババアのおいていった水ヨーカンと、ミイラじじいの見舞いの残りである勇者まんじゅうを、もぐもぐ食っている。
聖剣「ぷはー!うまかったうまかったぜィ!あんこはいいねィ!……ぢゃっ。俺っち、これで戻るんだぜィ!てやんでぃ、べらぼうめっ!」
勇者「Σ( ̄Д ̄;) いやいやいや!!!待てよ、ヌカミソ職人!!俺様たちにツッコミ入れて、アンコ菓子食っただけで帰る気かッ!!何のために出てきたんだッ!!」
聖剣「ヌカミソ職人じゃねぇよッ!それじゃ、漬物専門業者さんみたいなんだぜィ!!……それから俺っちは、ツッコミ入れて、アンコ菓子食うためだけに出てきたんだぜィ!!目的は達したんだぜィ!」
勇者「(┘`口´;)┘ 意味ねー!!!この役立たずめ!!ヌカミソ混ぜてた時代の方が、あんた圧倒的に役にたってたぞ!!」
聖剣「ヽ(#゜Д゜)ノ ヌカミソ?何の話なんだぜィ!!さっきから聞き捨てならないんだぜィ!!」
女神「ヾ(^o^; ) まあまあまあ、二人とも。騒ぐと、また看護師長さんに怒られちゃいますよ…。」
魔王「(涙目ですみっこでプルプルと震えつつ)……そ~っスよ…。また来るっスよ、あのデブった。年配の。看護師長さんが…!!」
勇者「(思い出し涙)ああ……怖かったな……あれは怖かった……。ブルドックに噛み殺されるような気分だったな…。」
聖剣「(一緒に男泣き)どうして久々に娑婆に出てきたってェのに、土佐犬みたいなオバサン吼えられなきゃならないんだぜィ…。」
勇者「(T皿T) せめて美人ナースになら、ケチョンケチョンに怒られようとも、むしろ本望だったものを…!!そうだ!!今からでも遅くはない、これからナースセンターに行って、俺様を厳しく叱ってくれる美人ナースを探してこよう!!気付いたんだ……俺様は、美人ナースに叱られる宿命のもとに産まれてきたのだということに!!(決意)」
女神「( *`ω´) どんな宿命ですかっ。またエロ方面へ脱線しようったってダメですよ、ミナミン!あなたが今、真っ先にすべきことは、聖剣職人さんを引き止めて、小便金魚さんたち悪くて強い悪魔を倒す方法を聞きだすことでしょっ。最終的には世界を平和に導かなきゃいけないんですっ。」
聖剣「悪くて強い悪魔を倒す方法……?何の話なんだぜィ?」
魔王「あれ?聖剣職人さんって、聖剣の中に籠もっている間のことは、知らないんスか?」
聖剣「基本的にぐっすり寝ているような状態なんだぜィ。今回のように耳元で大騒ぎされたりすると、たまに目が醒める時があるんだぜィ。」
勇者「やはり役立たずだな…。ヌカミソ混ぜておくぐらいで、ちょうどいいんだ…。」
聖剣「さっきから気になっていたんだが、そのヌカミソってのも何のことなんだぜィ?そういえば、何となく体がヌカミソ臭いんだぜィ?」
女神「(小声で)しっ。ミナミン、それは言っちゃだめっ。(職人の方をくるりと向き直り)ええとですね……じゃあ、私の方から今までのことを説明しますねっ。かくかくしかじか。」
魔王「便利っスね…かくかくしかじかって言葉。何か今回、話をはしょり気味じゃないですか?」
勇者「ギャグっパナに説明ネーム入れようってんだから、はしょっといて正解だろう。この話にストーリー性とか、ゲーム目的とか、別に誰も期待してないと思うぞ。かくいう俺様も期待してないけどな!むしろ、とっととウチに帰って、メシ食って、うんこして、寝てぇんだっつーの。」
聖剣「ふむふむ、なるほど。つまりおめェさんたちは、小便金魚とかいう強くて悪い悪魔を、世界の平和のために倒したいってことか……話は大体判ったんだぜィ。今時の若者にしちゃあ、世界の平和のためにだなんて、なかなか見上げた根性なんだぜィ。」
女神「正直な話、今のミナミンや私、魔王ピイチャンでは、小便金魚さんたちと実力の差がありすぎます。特にぐうたらニートのミナミンは、これっぽっちも役にもたちません。このまま再び挑んだところで、倒すどころか、一方的にやられておしまいなのは目に見えています。」
勇者「( ̄д ̄╬) 何だとぅ?俺様だって役にたつぞ!!例えば、うちに帰って、ごろごろしながらお前らの大活躍を応援するとか!!」
魔王「ごろごろしながらと宣言している時点で、その応援すらちゃんとやってくれるかどうか怪しいっス…。」
女神「500年前の戦いのことを、ミイラじじいさんに教えてもらいました。当時の勇者さんは別に剣の達人というわけでもなかったのに、先代魔王アストロゼブブと一騎打ちで勝負をして、見事勝利したというじゃありませんか…!聖剣職人さん、その時のことを詳しく教えていただけませんかっ?」
勇者「そんなわけなのだ、ヌカミソ職人よ!!俺様的に何の努力もせず、一銭の金もかからず、ウチでゲームしながらオナラをしていても、小便金魚どもを抹殺できるような、ご都合主義でムシのいい方法を、今すぐ伝授するがよいわ!!」
魔王「自分至上ぐうたら主義もそこまで言い切ると、むしろ気分がいいっス…。しかも教えてもらう身で、すんげぇ偉そうっス。」
女神「щ(゜Д゜щ) いくら何でも、あるわけないでしょっ、そんな方法ッ!!」
聖剣「……いや。勇者ミナミンの言う方法は、あるんだぜィ。」
勇者「(`・д´・ ;) えっ?マヂでっ?言ってみるもんだ!」
聖剣「世界の平和のため……そして、水ヨーカンと勇者まんじゅうの礼だぜィ。その方法を今から教えるんだぜィ。てやんでぃ、べらぼーめィ!!」
職人の宿る聖剣の語ろうとしている、勇者ミナミンにとって、ご都合主義でムシのいい方法とは一体何なのかっ?
ぐうたら勇者ミナミンに、果たして勝機はあるのだろうかっ?
続くっ。