21話「世界の命運を賭けた、まんじゅう座談会」
メチャクチャな諸事情により、ぽかぽか陽気のお昼の公園のど真ん中で、仲良くまんじゅうお茶タイムをすることになった、勇者ミナミン、女神アルテシア、魔王ピイチャン、そしてミナミンの母ちゃん。
これでいいのか、世界!!!
こんなんで大丈夫なのか、世界!!!
つーか、もうとっくに平和なんじゃないのか、世界!!!
女神「もぐもぐ。゜*。゜*。。゜*(*´A`*) はわわわ~。この『勇者まんじゅう』すんごい美味しいですぅ~。あんの風味が良くって、甘さ加減も絶妙!生地もしっとりもちもち~♪」
魔王「ほんとっスね~!味も最高だけど、このエクスカリバーに見立てたバナナまんじゅうみたいな形が、また愉快でいいっスよ!」
母親「そうかいそうかい!(上機嫌)ほら、まだまだあるからいっぱいお食べ!」
勇者「(`×´;) …………あのよぉ……ちょっとい~か……。(すんごい不満げ)」
女神「はい、なんでしょう?ほら、ミナミンもひとつ食べるといいですよ。」
勇者「俺様はいらん!食い飽きて、もう見たくもねぇっつーの!……じゃなくてっ!!!おかしくねぇ?この団欒の図!!勇者(俺様)と、魔王(めっちゃ敵)と、うちの母ちゃん(ラスボス)と、女神(素ボケで貧乳)で、仲良く『勇者まんじゅう』食ってる構図って、絶対変だっつの!!」
女神「(>A<)ノ 私の(素ボケで貧乳)っていう注釈は何ですかっ?私だけ、内容的に他の方と違うじゃないですかっ!」
魔王「勇者さん、俺よりも、お母さんがラスボスなんスね…。なんか忘れ去られた気分っス…。」
女神「元気を出してください、魔王さん。頑張ればきっと、いつか報われますよ。」
勇者「(┘`口´;)┘ アル、魔王を励ますなッ!だいたい報われるって何?このヘナチョコ貧弱魔王が、どんなに頑張ろうとも、うちの母ちゃん(山のフドウ)に勝てるわけがないだろうが!!うちの母ちゃんをタイマンで倒せるのは、シンジ君のお母さん(エヴァンゲリヲン初号機とも言う)ぐらいだっつーの!!あ゛―――も―――!!お前らと話してると、あまりにもズレてて、頭が変になりそーだ!!常識人、俺様だけ!!最早、この話の良心は俺様だけ!!」
女神「ミナミンに常識を説かれてしまうだなんて…!屈辱…!!(涙目)」
母親「(魔王の方を見て)おや、あんたどこの子なのかと思ったら、魔王さんちの子かい。」
魔王「魔王さんちの子というよりかは、魔王そのものっス。うち、代々魔王の家系なんス。うちの親父が糖尿病になって隠居したんっス。俺、一人息子だったんで、継ぎたくもないのに跡をつがされてしまったっス。」
勇者「俺だって勇者継ぎたくなかったよ!何だよ、母ちゃん、コイツが魔王なの知らないで、俺様ごと追いかけてたのかよ!」
母親「というか、わたしゃアンタしか追いかけてなかったけど。」
勇者「大体、何で俺様のいる場所が判ったんだよ!ストーカー?ねぇ、ストーカー?それとも、ミナミン★ナビでも搭載してんのッ?」
女神「きっと愛の力でミナミンのいる位置を探し出すことが出来たんですよ。ね、お母様。(ミナミンの母ちゃんを、すっかり尊敬モード)」
母親「いや、見舞い用のまんじゅうを取りに行って戻ってきてみたら、二人とも待たせておいた場所からいなくなっちゃってたろ。仕方なく一人で病院に行こうとしたのさ。そしたら、あんたたちが病院の敷地にいたんだよ。」
勇者「つまり、今いるココって、タダの公園じゃなくて……」
女神「つまり、さっきから気になっていた、すぐそこにある大きな白い建物って……」
魔王「あ・それ病院っス。この公園も、病院の敷地っス。俺、今朝、警察から連絡きて、ライーミの身元を病院まで引き取りに来て欲しいっていうから、人間界に来たんス。」
女神「見舞いをサボッて、お母様から逃げてきた先が、まんまと本来の目的地だったということですね。どおりで。いきなり魔王さんと出会った理由も、納得できました。」
勇者「むが。ふ……不覚…………。(うなだれ)」
魔王「あれ?もしかして、皆さん、ライーミの見舞いに来てくれたんスか?事情は警察から聞いたんスけど、なんか、年甲斐もなく、若い人たちと一緒になって飲みすぎて倒れたとか何とか…。その若い人たちってのが、勇者さんと女神さんだったんスね。いや~すいません、うちのじいやが、迷惑かけてしまったみたいで…。(ぺこぺこ)」
女神「いえいえ、こちらこそ、お年を召した方に、加減もせずに飲ませてしまって…。私たちが悪いのです。申し訳ございません。(こちらも、ぺこぺこ)」
勇者「(┘`口´;)┘ だ~か~ら~!!!!敵同士で、謝り合戦すんなっつーの!!てか、敵同士っていうので思い出したぞ!!ピイチャン!!てめぇのしっぽさえ斬りおとせば、魔王は魔力を失い、世界は平和になって、このくだらねー話も天晴れ最終回っつー寸法じゃ!!そこになおれぃ!!(ヌカミソードの柄に手をかける)」
魔王「(:.;゜;Д;゜;.:) いやいやいやいや、ちょっと待ってくださいッス!多分、俺を倒しても、エンディングロールは流れてこないっス!!」
勇者「( ̄д ̄╬) 何でじゃいッ?」
魔王「勇者さんと女神さんの目的って、正確に言うと、俺を倒すことじゃなくて、世界を平和に導くことでしょ?」
女神「ええ、まあ、言われてみればその通りですわね。」
勇者「フッ……違うな!俺様の目的は、働きもせず、毎日ダラダラと面白楽しく過ごすために、どうでもいいから、さっさとこの話を終わらせ…………げふゥッ!!!(母ちゃんの強烈な一撃を後頭部にくらい、地面にめりこむ)」
魔王「だったら、やっぱり俺のしっぽを斬りおとしても、最終回にはならないっス。」
女神「まあ、どうしてですの?」
魔王「俺を倒しても世界は平和にならないからっス。何故なのかは、これから説明するっス。」
なんだか、いきなり最終回が遠のいてしまったっぽい!
魔王本人が語る、魔王を倒しても世界が平和にならない理由とは、一体何なのか?
まんじゅう座談会は、まだまだ終わらない!
続くっ。