18話「まんじゅう怖い。母ちゃんはもっと怖い。」
ミナミンの母ちゃん(似てる有名人:山のフドウ★)の脅迫……じゃなかった、協力により、無事留置場を脱出し、聖剣ヌカミソード……じゃなかった、エクスカリバーも取り戻せた、勇者ミナミンと女神アルテシア。
彼らの次なる旅の目的地はどこだっ?
それはさておき、勇者ミナミンは母ちゃんの息子矯正必殺拳の超大技をくらい、気絶中である。
母ちゃんは軽々とミナミンを肩にかつぎ、悠然と街をゆくのだった。
その後ろを、チョコチョコと小走りで、女神アルテシアが続く。
母親「いや~、今日もいい天気だねぇ。街のみんなも親切に、か弱い私が息子をかついでいるのに気をつかって、道をあけてくれているよ。」
女神「'`,、(T∀T)'`,、 はううう~。て、いうか、なんとなくみんな怖がって目を逸らして避けていっているような~。モーゼになった気分ですぅ~。」
母親「ところで、アルテシアちゃんだっけ?うちのバカ息子がすっかりお世話になっちゃったみたいだねぇ。」
女神「いえいえ、とんでもありません!ミナミンには、こちらこそお世話になっております。魔王を倒し、世界を平和に導くために、協力してもらっておりますので。」
母親「へぇ、この子がそんな立派なことを!ミナミンは一体、あんたに何の協力をしたんだい?」
女神「ええと……とりあえず初日の昨日は、ミナミンが失くした聖剣エクスカリバーを一緒に探して~、それから見つけたエクスカリバーはすでにヌカミソ漬けになってたので一緒に洗って~、魔界の四大公爵であるミイラじじいさんと三人で飲み会をやって~、で、最後には乱闘騒ぎとなりまして、全員仲良く警察にしょっぴかれました……。」
母親「(溜息)協力はしているけど、役にはたってないみたいだね…。」
女神「はい……。今、昨日の出来事を口に出してみて、お母様とまったく同じツッコミで、最後を締めようとしていました…。ううう。(涙目でうなだれ)」
母親「(;´Д`) すまないねぇ。ホント、うちの息子ときたら、出来が悪くって。ヘタレなところなんか、父ちゃんにそっくりでさぁ。」
女神「そういえば、ミナミンのお父様はどうなさっているのですか?」
母親「ああ、今、まんじゅう屋の店番やってるよ。」
女神「あら、ミナミンのご実家はまんじゅう屋さんなんですね。」
母親「勇者の家系がまんじゅう屋っていうのも変な話なんだけどさ。でも勇者だけでは平時に食べていけないからね。」
女神「(*´ω`*) いいえ、立派なお仕事だと思います!私、おまんじゅう大好きです!」
母親「そうかいそうかい。(上機嫌)あんた、いい娘だねぇ。今度、うちに来た時にたらふく食べさせてあげるよ。」
女神「。.゜+:ヾ(*'▽')シ.:゜+。 ほんとですかっ?」
母親「一番人気は、『勇者まんじゅう』さ!伝説の勇者の血筋をひいた父ちゃんが作る、勇者まんじゅうっていう触れ込みなんだ。」
女神「(*´ω`*) まあ、抜け目なく、勇者家系であることをおおいに利用されているのですね。お見事ですわ。」
母親「本当はまんじゅう焼いてるのが私で、店番はうちの人なんだけどね。ほんっと、うちの人ときたらミナミンと一緒でヘタレなもんだから、満足にまんじゅうひとつ焼けやしない!ところで見たところ、さっき魔界の誰かと、三人で飲んだって言ってなかったかい?警察にはあんたたち2人しかいなかったみたいだけど?」
女神「あ、ミイラじじいさんは留置場に入った後、急性アルコール中毒になって救急車で病院へ運ばれてしまったのです。」
母親「Σ(; ・`д・´) 何だってッ?そいつはいけない!お見舞いに行って、母親としてうちの息子の非礼を詫びないと!」
女神「Σ(・□・;) はっ。そうですよねっ。私もミイラじじいさんに、謝りたいですっ!」
母親「多分、警察署から一番近い総合病院に運ばれたのだろうから、そこに行ってみようか。けど、手ぶらってのも何だね。うちのまんじゅうでも持っていってあげようか。」
女神「それは素晴らしい考えです!勇者まんじゅうなんて、きっと魔界では手に入らないだろうから、ミイラじじいさんもきっと喜んでくださいますわ!」
思わずぼそりと呟く勇者「…………何で魔界の四大伯爵に見舞いに行った挙句、よりにもよって『勇者まんじゅう』持ってくんだよ、お前らオカシイっつ~の……つーか意気投合してんじゃねぇよ……。」
母親「……ん?アルテシアちゃん、今、何か言ったかい?」
女神「いいえ、私は何も。(ふるふると首を横に振る)」
母親「おかしいねぇ。確かに何か、聞こえた気がしたんだけど。」
女神「ミナミンも相変わらず、ぐったり気絶したまんまですしねぇ。」
母親「お、公園があるね。ミナミンを担いだままじゃ重たいから、私だけ、ひとっ走り店に戻って、まんじゅうを取ってくるよ。アルテシアちゃん、ミナミンとエクスカリバーを公園においてゆくから、ちょっと見ててもらえるかい?」
女神「(*^▽^)/ はいっ。わかりましたぁ。」
母親「アルテシアちゃんの分の、まんじゅうも持ってきてあげるからね!」
女神「ヽ(>∀<)ノ わぁ、ホントですかっ?わざわざ有難うございますっ!」
母ちゃんは、肩に担いでいたミナミンを公園のベンチの上に降ろすと、凄い振動と爆煙をあげながら、自宅に向かって走り出したのであった。
その後ろ姿は、まるで怒りに我を忘れて突撃する、王蟲のようであったという……。
勇者「(突然ガバッと起き上がる)ヨッシャアアアアア!!今だ――――!!逃げるぞ、アル――――!!!!(叫ぶや否や、ヌカミソードをひっ掴み、脱兎の如く走り出す)」
女神「Σ( ̄ロ ̄lll) ええええええッ?起きてたんですか、ミナミン――――?!逃げるってどこへー?っていうか、私のおまんじゅうはぁぁぁぁぁ????」
母ちゃんの隙をついて、脱出に成功した勇者ミナミン!
だがしかし、一体どこへ逃げるつもりなのであろうかっ?
母の魔の手は、世界の裏側まで追いかけてくるに違いない!!
どうする、ミナミン!逃げ切れるのか、ミナミン!
そして女神アルテシアは『勇者まんじゅう』を食べられるのかっ?
続くっ。