10話「神界vs魔界の伝説!」
ミイラじじいはおもむろに白い紙と筆を懐から取り出し、アルテシアとミナミンの前に置いた。
ミイラじじい「女神アルテシア様と勇者ミナミン様に、ずばり!ワシが書いてもらいたいのは、我が主、魔王ピイチャンに対する、『挑戦状』ですぢゃ!!」
女神「魔王宛の挑戦状というと、『今からお前を倒しに行くぞ』とか、『巨悪許すまじ!』とか、そんな感じの文書のことでしょうか?」
ミイラじじい「はい。その通りでございますじゃ。」
勇者「w( ̄△ ̄;)w 挑戦状~? なして、そげな面倒臭いものを!!」
ミイラじじい「その理由を話す前に確認しておきたいのですが、お二人は500年前に起こった、魔界と神界の大戦争のことを詳しくご存知ですかな?」
勇者「(꒪⌓꒪) いんや。すっげぇ、全く、これっぽっちも知りゃしねー。」
女神「……ミナミン…。これ、人間界では誰もが小学校で習うような、有名な伝説のはずなんですけど!」
勇者「この俺様を見くびらないでもらおう!!俺様が小学校の授業で起きていたことなど、あるわけがないっ!!(どーん)」
女神「見得をはらないでください。小学校だけじゃなく、中学校でも高校でも、起きてたことなんかないくせに。」
勇者「Σ(; ・`д・´) いきなり鋭いツッコミをかましてきやがったな!!フッ……成長したな、アル!!胸以外のところが!!」
女神「щ(゜Д゜щ) 胸のことはほっといてって、さっきから言ってるでしょうッ?」
ミイラじじい「(回想モード)……そう……今を遡ること、500年前…。先代の魔王アストロゼブブ様率いる魔界軍、ゼース王率いる神界軍が、世界の命運を賭けて激突したのじゃった…!」
勇者「:*:・( ̄∀ ̄ )。・:*:・ あっちゃ~。ミイラじじい、勝手にノリノリで話し出しやがったよ。しかもこれ、何かこの物語の背景(今更)に関わる的な話っポイしぃ。うっわ~絶対、話長くなりそーだ~。めんどウザ~い。(おもむろにピンポーン★)すっいませ~ん、焼酎と、フライドポテトと、軟骨のから揚げと、豚串追加でお願いしま~す!」
女神「ミナミンったら、また肉ばかり頼んで。あ、私、このイチゴクレープというものが食べてみたいです~!」
ミイラじじい「それはそれは激しい戦いじゃった!!勿論、その戦いには、ワシも参加しておったぞい!!両雄は一歩も引かず、魔王と大神の力がぶつかり合った影響で、海はうねり、空は荒れ狂い、火山は次々と炎を噴き上げたのぢゃ!!戦いは100日もの間続き……(以下、ミイラじじいの大活躍物語が始まるが、長いので割愛)」
勇者「Σ( ̄ロ ̄lll) げ。アル、お前、もう甘いものいくの?目の前が甘くなって気色悪くなるから、頼んじゃ、めっ。」
女神「(TεT) え~いいじゃないですか~!けち~!」
ミイラじじい「……その時、ワシは咄嗟に敵の刃を交わし、我が究極の魔術をおみまいしてやっ……(相変わらずミイラじじいの大活躍物語が続いているが、誰も聞きたくなさげなので省略)」
勇者「甘いのが欲しいなら、せめてホラ、このメニューに載ってる、梅酒サワーアイスってヤツにしろよ。こっちの方がアッサリしてそーだ。」
女神「まあ、梅酒サワーの上に、アイスクリームを乗せたオススメの一品ですって。美味しそう~。これにしよっかな~♪」
ミイラじじい「こうして、イチゴクレープと、梅酒サワーアイスの戦いは佳境を迎え、梅酒サワーアイスの勝利に終わった……って、あれ?」
勇者「お・話終わった?あ、じいさんが話している間に、じいさんの分のつくねの追加、頼んどいたぜ。」
ミイラじじい「おお、これはかたじけない。……って、お前ら!!ワシの話を聞け――――!!!(がっしゃ~ん!!)」
女神「で、まあ、おじいさんの話を要約すると、神界と魔界の大戦争が500年前にあって、必然的に二つの世界の中間に位置していた人間界が戦場になっちゃったんです。迷惑した人間は、神界側に加担することにしました。で、神界と協力して、必殺兵器・聖剣エクスカリバーを作り、人間代表の勇者は聖剣を使って魔王を倒しましたとさ。めでたしめでたしっ。」
ミイラじじい「(ノToT)ノ┫:・'.::・┻┻:・'.::・ ワシの熱弁を、あっさりまとめるな――――!!」
勇者「チッ。結局、どうして俺様達が魔王に挑戦状をしたためなきゃならんのか、全然判明しないまま、次回へ持ち越しじゃないか!!1話分、無駄にしやがって!」
ミイラじじい「щ(゜Д゜щ) それはお前らのせいじゃああああ――――!!」
そんなこんなで、だらりんちょの3人。
酔っ払いながら、世界の命運に関わるような、真面目な話をする方が間違っているのだっ!!
続くっ。