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一
最終章です
もう、限界だった。
これ以上待てば、全てが手遅れになってしまう。
計算上は、あと一週間のうちにそれは起こり得るのだ。
『計画』の成功率は九二パーセントまで上昇しており、もう充分な筈である。
なのに、観察者からの報告はまだない。
この『計画』には、計算上の数値だけではなく、人の『感情』が重要な位置を占める。
それゆえに、実行の合図は観察者に任せたのだ。
計算の結果を優先するか、観察者の判断に任せるか。
いずれにせよ、自分が管理するこの国が滅びるのは、耐えられない。
完璧な計算のもと、完璧な繁栄を導くことが自分の使命だ。
使命を果たすことが、己の存在理由である。
地震計が再び微細な振動を捉える。
『ソレ』はもう一度計算結果を見直した後、行動を開始した。