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一
数字が上がる。
五四が六二、そして七六。
これで四分の三の確率で成功が得られることになった。
しかし、その数字の上昇の代償に、残り時間は少なくなっていく。
このあたりが、見極め時か。
だが、『観察者』からの連絡は、まだない。
いったい、いつまで待てばいいのか。
いくら成功率が上がっても、手遅れになってしまっては元も子もない。
送られてくる映像の中で、娘と少女はまるで姉妹のようだ――あるいは、親子か。
以前と相変わらず、少女の表情は動かない。
だが、隔離していた時と異なり、その深紅の瞳は様々なものを映していた。
海や空、花々――そして、あの娘。
少女の視線は、常に娘を追う。まるで、親を追う子のように。
子は、親の為にどこまでするだろうか。
あの娘は、少女の世界の全てだ――そう、仕向けた。
その『世界』を護るために、少女は、どこまでするだろうか。