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【完結】愛しのバディ~本能は仕事してた  作者: buchi


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第1話 あなたの婚約が決まりました

ジェラルドは、伯爵家の嫡男である。

本来なら、貴族のいく学校へ入り、交友を広げるはずだった。

しかし、彼には剣の腕があり、そんな野蛮なところなんて! と大反対する母を無視して騎士学校へ入学した。


騎士学校は実力本位。国を守る幹部候補がバカとか腰抜けでは困る。

身分なんて役に立たない。

とは言え、まあ、実力ある高貴な身分出身者は出世街道爆進が確約されていた。そんなお貴族様もなぎ倒して、元帥なんかになっちゃう平民も結構いたが。


それはとにかく!

ジェラルドは、背も高ければ筋肉質で、剣を取らせたら騎士学校においてすら一、二を争う腕の持ち主だった。

嫡男のケガを心配する母を尻目に彼の人気は鰻登り。

見学が許される日には、ジェラルド様ぁと嬌声が上がる始末だった。


見学というのは、見学である。


誰でも、つまり、平民娘でも貴族の令嬢でも奥方でも、未来の騎士を見学してよろしいのであった。


もちろん、入学を目指す少年も見にきてよかったし、本来、彼らのために見学日が設定されたのだ。学校側もそれしか考えていなかった。


ぬかっていた。


見学日よーっと叫びながら、目を血走らせて女子が突入してくる事態を予想しなかったのは、完全な誤算だった。しかし、騎士学校の見学は、王都中で大人気。初日からツアーが組まれる始末であった。


平民娘は結婚なんか考えていない。騎士学校の生徒はとにかくカッコイイ。

強いと言うだけで、男子として圧倒的にポイントだ。筋肉隆々も当然ポイントだし、頭だって悪くはないはず。

制服姿も、基本は軍服なわけで、もちろん、カッコいい。そのようなわけで、彼女たちはそれぞれ推しを作り、熱心なファンとして、勝手に沼っていた。


貴族の令嬢は、基本的には平民娘とほぼ同じ目線である。ただし、こちらは気に入ったら結婚できる強みがある。いささか動機が不純である。成長株には投資しておきたい。なんとなく着飾ってウロウロする。


そして最後は貴族のご婦人方。何をしに来ているのかというと、これは人によって何とも言えない。飛び散る汗の青春見学とか言う解釈に苦しむ手合いや、純粋に若い男好きとか言われると返しに苦しむ。婿を下見にという大義名分の夫人もいるし、息子を見に来た母もたまにいる。息子に嫌われそう。


そんな中、ジェラルドは大人気だった。

なんでも、黒髪に光るような薄いグレーの瞳がかっこよくて、とにかくイケメンなんだそうな。

ただし、第二位以下である。不動の第一位は、第三王子殿下が在籍していたので、王族の強みで彼がさらって行ってくれた。

ジェラルドは、強いし貴族の御曹司なので人気があったが、人の趣味はそれぞれであって、二位以下は混とんとしていた。ルイス王子殿下の他、友人のアランやケビンも人気があった。


ジェラルドは、正直、この女子の嬌声には悩まされていた。気が散る。どうしたらいいかわからない。第三王子の機嫌が悪くなる。


いつでも見られている。見学日は彼が剣をふるうと、キャーという声が響き、席に戻るとジェラルド様ぁと声をそろえて少女たちが叫ぶ。無視もしにくいので、こわばった微笑みで手を振ると、キャーと大絶叫が返ってくる。


うっかり汗を拭こうと上半身裸になったら、どえらいことが起きた。どよめきが起き、誰かが失神したらしい。大騒ぎになって、申し訳ないことであった。脱いだらアカンと教師には叱られたが、理不尽だと思う。俺のせいじゃない。どんなに暑くても脱げなくなってしまった。


どうしよう。

プレゼント攻勢は特に困る。

基本食べ物は口にしない。なぜなら、先週、うっかり食べた友人のケビンがおなかを壊したから。


お手紙も困る。

返事を書くのに難渋する。向こうはジェラルドの顔をよく知っているらしいが、ジェラルドは誰だかわからない。返事なんか書きようがない。でも、返事を書かないと、無視されたと言われそう。

ルイス王子は側近に書かせているらしいが、ジェラルドにそんな真似はできない。

先輩のアランは、花を一本返すことにしていた。持っていくのは、アランに付けられた下級生バディである。騎士学校ではバディ制と言って、上級生に下級生が付いて、雑用を下級生がこなす代わりに上級生からいろいろなことを教えてもらうと言う仕組みがあった。

アランはイケメンだが、下級生バディのマイケルはイケメンと呼ぶにはいささか問題がある。そんなわけで、大ごとにならなかったのだが、ジェラルドには下級生バディがまだいない。むしろ自分が下級生バディの身の上なのだ。もし彼が花を持参したら、相手は絶対大喜びだ。余計まずい。


手紙の量が増えた。

花をもらえると嬉しいらしい。あこがれるような熱い瞳で見つめられても、ジェラルドは困ってしまう。彼女たちは、自分のどこにそんなに熱心なんだろう。別にいいところがあるわけでもないんだけどな!


学校側に対策を取ってくれるよう要望を出したが、学校は渋い顔をしていた。どうも、令嬢軍団と貴顕のご婦人方には強く言えないらしい。


「せめて、おさわり禁止とか」


握手を求められることも多い。正直、もう嫌。鍛錬後で汗まみれである。臭い男だとか言われそう。


ジェラルドは、誠心誠意、困っていたけれど、ある日、寮に母から手紙が来た。


『あなたの婚約が決まりました』


「えっ?」


ジェラルドは、びっくり仰天した。唐突すぎる。












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