表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Tokyo Dusk  作者: 藤宮 柊
3章 『解体』
50/154

【Scene15:Jealousy Protocol】



柔らかなランプの下、低いテーブルに湯気の立つポット。

クロノ、レイン、ヨル、そして“新顔”のアリステアが輪になって座っていた。


棚のマグは相変わらずバラバラで、クッキーはもう半分がヨルの口に消えている。


「──あのさ」レインが淡々と言った。

「“姫扱いムーブ”、完全に落としにきてたよな。あの騎士の口づけ、反則」


クロノは茶を置き、眼鏡の奥で肩だけ笑う。

「俺も思った。演出値が高すぎる。俺たちの積み上げ、どこいった」


「ねえ聞いてアリステア!」ヨルが両手をぶんぶん振る。

「あれズルい!心が『うわぁぁぁ』って爆発した!」


アリステアは頬をほんのり染めたまま、静かに紅茶を口に運んだ。

「……心からの誓いでした」


「それがズルいんだって!」ヨルが机に突っ伏す。

「俺も“姫君”って呼べばよかったか?」とレイン。

「似合わねぇよ」クロノが即答する。

「それはそれで傷つく」とレインが顔をしかめた。

「じゃあさ、俺も忠誠のキスとか──」とヨルが言いかけ、


「ヨル、黙れ」クロノとレインが同時に制した。


一拍の沈黙。次の瞬間、全員がふっと笑う。


アリステアも肩をわずかに揺らした。からかわれるという感覚が、彼には新しかった。


「……ありがとう」アリステアがぽつりと言う。

ヨルは親指を立ててにっと笑った。


「うぇるかむ・とぅ・ふぁんぐす!」


レインは無言でアリステアのカップに注ぎ足し、クロノはテーブルの端を整える。


湯気が上がる。笑いが残る。

新しい“家族の温度”が、ゆっくりと部屋に満ちていった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ