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Tokyo Dusk  作者: 藤宮 柊
2章 『姉弟』
21/154

【Scene07.5:再起動】


沈黙の間(Grave Room)。**The Echo(記憶の残響)**の最奥。

暗い室内に、戦術マップとホログラムの薄光だけが揺れている。硬質の椅子に身を預け、グレイヴは卓上のファイルを無言で見つめていた。



________________________


任務報告:#YZ-0427

状況:不完全終了

損害:人員一名 行方不明

責任者:ウィステリア


> 「奪われた。目の前で。あの子は……生きてる」──Wisteria


_______________________


指先が音も立てずにスクロールを止める。

一瞬、沈黙が深くなった。呼吸は乱れない。表情も動かない。ただ、照明が頬を斜めに撫でたとき、眉がわずかに動いた。


「……“躊躇”か」


グレイヴは立ち上がらず、報告書を閉じ、別のホルダーを開く。



_______________________


対百目羅刹 特別行動ログ

【極秘コード:miho_Reset】

発動条件:Wisteria または Chrono の“判断不能”時


_______________________


指先が、起動アイコンの手前で数ミリ浮いた。

……そして、引いた。


「まだ早い。今は“牙”の判断に任せるべき時だ」


低く、自分に言い聞かせるように呟く。椅子に深く沈むと、静寂が戻った。

脈打つマップの光がガラスを渡り、その瞳に映る。そこには、弟を奪われた“姉”の背に揺れる炎が、確かに焼きついていた。



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