第4話 お祖父様とのお別れ
今日はわたしの当番なので、お祖父様の所へ行く。ドアを開ける前からお祖父様の状態がわかった。
部屋にはいるとすぐに浄化をかけ、部屋にもかけておいた。これで匂いが消えると思う。
しばらくするとお祖父様が目を覚ました。そばにいるわたしを見て
「当番であいつら一回り顔を出したから、またしばらく、マリアに押し付けるだろうけど、あと少しだ。そんな顔はなし。厄介者とお別れなだけさ。・・・・もう一度マリアの顔を見てからと思っていた。あいつら家中をあさっているよ。身内を信用できないなんて情けないけど、マリアがいて良かった。マリア、あいつらに情けをかけたらダメだぞ。渡したもので復讐してよい」
「復讐って・・・・・確かに身体を壊したけど・・・」
「もうすぐ終わりになるから。それからゆっくり身体を治して・・・新しい人生を始めるんだ。明日の引き潮に乗って逝く・・・・いろいろ疑うようなやつらだ。あと少ししたら家族の誰かと医者を呼んでくれ・・・・そして帰るんだ」
「お祖父様・・・」
「最後はマリアのおかげで幸せだし・・・・あいつらを困らせると思えば・・・・死ぬのも楽しみだ
マリア・・・・・わたしの為に・・・幸せになってくれ」
そういうとお祖父様は眠った。
わたしは母屋に行った。お義母さまを見つけたわたしは医者を呼ぶように頼み、すぐお祖父様の所に引き返した。
しばらくするとマギーとお義母さまが医者と一緒に、やってきた。
「後は家族で看るわ」とわたしは追い出された。
普段より早く目が覚めた。お祖父様が逝った。
知らせを受けてわたしたち一家もシリウス家に行ったが、驚いたことに両親もメラニーも新調の喪服を持っていた。
「おや、お前喪服は?」と母が言うと
「お姉さまは嫁としてちゃんとしてないから喪服を作って貰えないんですよ。マギーが言ってました。だからと言ってうちで作るのも変ですよね・・・まぁ下働きしか出来ないから喪服がなくてもいいでしょ」とメラニーが馬鹿にした口調で言うと父が
「まぁいい」と言って母も
「そうだわね」と言った。
わたしが隅で立っていると肩を叩かれた。お向かいのターナー夫人だ。
「ついておいで」と家に案内されると喪服が椅子にかけてあった。
「昔のものだけど、一応手入れをしてあるよ。あんたによさそうだから、着ておくれ」
「あの・・・・」
「遠慮はいらないよ・・・・どうせわたしには無理だから・・・・あんたには大きそうだけど・・・細いね」
わたしはお礼を言うと喪服を着た。
「似合うねぇって言うのも変だけど・・・・似合っているよ・・・・それ貰っておくれね・・・・・おばさんはお節介が好きなのさ」わたしは少し涙が出た。
わたしは夫人と一緒に戻った。両家の女性陣は声を揃えて泣いていた。
「お祖父様、もう一度目を開けて」「愛するお祖父様、もう一度笑って」とか聞こえた。
今度目を開けたお祖父様の面倒はたっぷりみさせてあげるよわたしは罰当たりなことを考えながら彼女たちを見た。
やがて埋葬の時間になり、馬車が到着した。
お祖父様を乗せた馬車を先頭にわたしたちは墓地まで歩いた。
わたしはショーンと並んで無言で歩いた。
後ろにメラニーが続いていたが
「尊敬するお祖父様」「愛するお祖父様」と言う言葉を繰り返しながらハンカチを目に当てていた。
するとショーンは後ろにずれてメラニーと並び、肩を抱いた。