表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
後ろに残した  作者: 朝山 みどり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/15

第13話 後ろ姿

母親目線


わたしの最初の子はマリア。マリアが生まれた時、我が家は領主様の分家の分家でささやかながら貴族とのつながりがありました。


領主様はお祝いを下さいました。華やかなお仕着せを着た使いの方が届けて下さいまして、それはそれは誇らしく嬉しいものでした。



それが、時代が変わり我が家はあっという間に、庶民の暮らしになりました。二番目のメラニーが生まれた時は領主様のお祝いはなく、もらえたのは近所からのお祝いの言葉だけでした。


マリアは聞き分けのいい優しい子で、すすんで家事を手伝い、メラニーの面倒もみてくれました。


それで様子をみて女中も減らしました。


最初にメラニーを可哀想な子と思ってしまったわたしたちは、恵まれたマリアが我慢するのは当たり前と思うようになりました。


やっと工面して祭りの晴れ着を買うときにメラニーが二枚欲しがって泣き喚いた時、つい言ってしまいました。


「そうだね、姉だから妹に譲ってあげなさい」一枚しかないのを譲れはまだわかります。二枚あるのを二枚とも譲れは酷いですよね。だけどわたしはしたり顔でそう言いました。


マリアは黙ってわたしに従いました。


当日、丈の短い服を着たマリアは膝をまげて歩いていました。


「姉さんに服を貸してあげてるの」得意げに言い放つメラニーにマリアは寂しく微笑みました。


領主様が下さったお祝いの品もメラニーのものになりました。


マリアのイニシャルが刻まれたペンダントです。みなが貰ったありふれたものですが、分家の集まりに誇らしげにつけて来るものです。


マリアは一度もつけて行ったことはありません。


「次はマリアの番ね」とわたしは言いましたが、一度も実現しませんでした。


イニシャルが同じというのも皮肉な事ですね。




そして婚約者も譲りました。わたしはマリアならショーンを譲っても、もっといい人が現れる。そう思っていました。


多分、そうなっていたと思います。でもマリアは遠くに行ってしまいました。



そして全てが変わりました。小さな家をみんな売りたがりました。でもわたしはガンとして譲りませんでした。


マリアが帰って来る場所を無くしたくありませんでした。マリアが絶対に帰って来ないこともわかっていました。だけどたった一つだけ、マリアの為にしたかったのです。なにかしたと思いたかったのです。


結局これはいい判断でした。最低住むところはありますので・・・・・マリアからの最後のおもいやりと思うのは自分勝手ですね・・・・・



教会に来た人がマリアかも知れないとメラニーが、走っていきました。よたよたと太った体を揺すって・・・・


だけど自動車はあっという間に消えてしまいました。


メラニーがのそのそと戻ってきます。この子を可哀想な子にしたのは、わたしですね・・・・・



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ