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後ろに残した  作者: 朝山 みどり


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第12話 後ろにおいていく

そりゃもう騒ぎになったそうだ。当たり前だけど。


シリウス家はすべてわたしの物になり、わたしからワイルド商会へ委託された。


全員がわたしに会いたがったが、わたしは故郷に戻らなかった。探しに来る気概のあるものはいない。


従業員は一度全員を退職させた。もちろん退職金を払った。


その後新しく募集して、元従業員も採用された。シリウス家の人たちは温情でそれなりの部署へ採用されたようだ。


ホワイト家の方だが、これは意外だったのが、土地がお祖父様のものになっていた。お祖父様に父は借金をしていたのだ。お祖父様は催促もなにもしてなくて、父はお祖父様が死んだから借金はちゃらになったと思っていたそうだ、馬鹿だ。


もちろんワイルド商会はしっかり取り立てた。



そして農地の外れに小さな家が残された。そこに住んでもいいし、相場より高く買い取ると通達したそうだ。


彼らはそこに住むことを選んだそうだ。そこは賢いかも知れない。



ショーンは子供が生まれると、真面目になって商店で働いたそうだ。



そうやって穏やかに時が流れたと聞いた。




わたしは、毎月入ってくるお金を投資に回した。ワイルド夫人を間近で見ていると時の流れというのが、どれだけ力を持っているか、それを味方にしたものが勝てるのだとわかったからだ。


思いついた事を確認する為に投資という手段をとっただけだが、わたしは成功した者にはいるだろう。


あの時、お祖父様が残したものを自分のものだと抱え込んで家族やシリウス一家を嘲笑い、手に入ったもの全てを自分の力だと奢っていれば、時代をみて大きな力を得たものから、食い尽くされていたと確信できる。


あの時手放したからこそ、真に自分のものに出来たと。





自分で自動車を運転して、久しぶりに故郷をおとずれた。家族に会うつもりはない。


教会が移転するというので、最後に教会と墓地を見ておきたかったのだ。



墓地は穏やかな光に満ちて、手入れが行き届いていない分、生き生きしていた。


もう、ここに眠っている人はいない。皆新しい世界に旅立っている。そう感じた。


わたしだって、重い体を脱ぎ捨てたら自由にあちこち行きたいもの。


でも墓地においてのお作法通り、お祖父様のお墓と、ショーンのお墓に花を備えた。



ショーンは商店で認められ、隣国の支店を任せられ軌道に乗ったからとメラニーと子供を迎えに来たとき、メラニーの浮気相手に殺された。


「なにやってんだか」知らせを聞いた時、わたしが呟いた言葉だ。これって誰に向けて言ったんだろう。自分でもわからない・・・・


ベッドの二人に殴りかかったショーンへ?自宅に相手を連れ込んだメラニーへ?夫だと確認できたのにナイフを持ち出した浮気相手へ?


それとも心乱れた自分へ?



全部終わった事だ。


墓の前でわたしの頬をなでた風はもしかしたら・・・・




遠くに見えた急ぎ足の人影に気づかぬふりをしたわたしは、運転席に滑り込んだ。


いつもより、乱暴にギアをあげてわたしは加速した。


後ろに置いてきたものは、もうバックミラーにも映らない。


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