5話
カイ「バインゴートの角が30本に毛皮が13枚。2枚はちょっと失敗しちゃったからなぁ…もうちょっと上手くならないとな…」
それにしても異様な切れ味である。刃こぼれ一つせず、血も吸うのか、血抜きも必要としない。
カイ「ちょっとした国宝級だよな…それに…」
ある程度離れると自動で戻ってくる。
カイ「盗まれる心配もなし、それに自分は切れない。なんとも優れた性能をした剣だな…」
すでに16匹分の血抜きされたヤギ肉を入れても全く重たくならない。
カイ「このリュックという鞄も自分の元から離れることもない。切れる事もない」
多分…他の人間も開けることはできないだろう…。
カイ「あ…生肉を食べるわけにもいかないな…火を起こす必要があるんだけど…」
確か…レイが木と木を擦り合わせると発熱して火が起こると言っていたが…。
カイ「無理だったしなぁ…どうするか…。あ、そういえば石と石を擦り合わせても火をつけられると言っていた気がするが…」
―
カイ「ダメだこりゃ。もう寝よう」
枝の上で眠りこける。
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何やら音が聞こえる。
カイ「車輪の音か」
体を起こし、音源を見る。
そこにはバインゴートに追われている馬車が2台。
カイ「違う魔物は出てこないのか…」
枝から降りて馬車の方に歩み寄る。
馬車2台が隣を過ぎていく。
何か言っていた気がするが…。それを気にしている暇はない。
剣を取り出し、構える。
バインゴートは2体。昨日に比べれば余裕であろう。腹減りがなければ…。
カイ「食べ物があれば恵んでもらおう…」
通りすがりに体を捻り、首を切り落とす。
ゴトゴトと音をたてバインゴートは倒れる。
カイ「あ、大丈夫…ってもういないか」
馬車の見る影もない。
とりあえず…素材を剥ぎ取り、魔核を取り除き、肉を切り分ける。
カイ「腹減ったぁ…」
道端で倒れる、生肉を食べるしかないのだろうか…。意識が遠のいていく。