1話
生まれ持ったギフト。
それは全員に配られる物ではない。
もちろんいいギフトもあれば、悪いギフトもある。
人を助けるギフトもあれば、人を殺めるギフトもある。
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「なんだギフターじゃないのか…」
「いいの。生まれてきてくれるだけで幸せ」
「そうだな…そうだな!」
「可愛い可愛い坊や…私の元に生まれてきてくれてありがとう」
「名前は…カイブン…カイブン・クロインだ」
「カイブン…私の可愛い可愛いカイブン…」
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僕の名前はカイブン・クロイン。
クロイン家の長男だ。
そしてここはクロイン家の別邸。またの名を馬小屋という。
次男のレイブン・クロインが生まれた。
次期当主は長男であることが原則である。
しかし、一つだけ覆されることがある。
それは、下の子が長男より優れたギフター。つまり生まれ持ってギフトを持っていることだ。
そこまでは良かった。
次に母が死んだ。
そして父、ジョウブン・クロインは次男のレイブンを育てることに決めた。
僕、カイブンは家から追い出された。
時々、レイブンが様子見に来る。
レイ「兄さん…ごめん。僕がギフトを持っていたばかりに…」
カイ「いいんだ。意外と寝心地いいんだ。臭いのが玉に瑕だけど…慣れればそんなに問題はないさ」
レイ「僕が大きくなったら兄さんも一緒に住めるように父さんを説得するから」
カイ「そうか…早く大きくなれよ」
レイ「頑張るよ。それじゃ戻るね」
カイ「体に気をつけてな」
レイ「兄さんこそ」
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レイブン・クロイン:ギフト“描く者”
ジョウブン・クロイン:ギフトなし
リバシー・クロイン:ギフト“治す者”