影のオトシモノ
「声劇台本」兼「会話小説」です。
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私個人の規約は以上です。では、ごゆっくりお楽しみください。
上演目安時間
~30分
設定
巡査
性別:不問
派出所勤務3年目ぐらいの若手。
そこそこ田舎の勤務で都会が恋しくなっている。
今日は夜勤。
少年
性別:男性
影を落とした少年。
配役表
巡査:
少年:
巡査「ねむ…。田舎の勤務は都会より楽だと思ってたんだけど、事件が起こらない代わりに地域住民と頻繁に交流しなきゃいけないし、夜は先輩は巡回に行ったきり帰ってこないし、ひとりは暇だし。おまけに虫も多いときた。都会に帰りたいなあ…」
少年「あのー、ごめんくださーい」
巡査「はいはいー。どうされました?」
少年「落としものしたんですけど…届いてたりしませんか?」
巡査「落としものですねー。なんですか?財布?鍵?それともパスケース?」
少年「影です」
巡査「カゲね。はいは…は?なんだって?」
少年「だから、影です。自分の影」
巡査「今何時だ…夜の十一時か…。あのね君。あんまり暇そうにしてるからってお巡りさんのところまできて揶揄うんじゃないよ」
少年「揶揄ってないですよ。ほら、僕の足元見てくださいよ。影が無いでしょ?」
巡査「おー、本当だ。影さんはどう思う?」
少年「は?」
巡査「うんうん。そっかー。めっちゃ首振るね君」
少年「いや、いるじゃん!」
巡査「なにが?」
少年「影!」
巡査「あ、この子のことか」
少年「ほら、帰ってこい!」
巡査「まーまー、そう興奮しないで」
少年「すみません」
巡査「それでまあ、影を無くしたなんてそうそうあることじゃないから、たぶん君のなんだろうけど、まずは無くした経緯を聞いてもいいかな?」
少年「いいですけど…」
巡査「楽しみだなあ」
少年「なんでそうテンション高いんですか!」
巡査「ごめんごめん。なんかワクワクしちゃって。ほら、滅多にないどころかそもそも前例がないからね」
少年「僕だって初めてですよ!」
巡査「初めてなんだ。やるねえ」
少年「どういう意味で…僕の影を小突くな!」
巡査「ごめんごめん。真面目に聞くから」
少年「あれは、三日前でした。夜、街道沿いのコンビニから帰るときに、そこの田んぼでなんか見えたので近寄ってみたら、むず痒い感覚が足元を通り抜けていって、気が付いたら影が無くなってました」
巡査「……え?それだけ?」
少年「それだけですけど…」
巡査「……思ってたよりつまんないね」
少年「いやいやいや、つまらないも何も事実はそうなんですから」
巡査「影くんや、今の話は本当かい?」
少年「いや、本人がそう言ってるんだからそうに決まってるでしょ」
巡査「影くん首振ってるね」
少年「え、嘘!」
巡査「縦に」
少年「頷いてるのかよ!」
巡査「そうともういうね」
少年「そうとしか言わないのよ…」
巡査「まあまあ、そう興奮しないで」
少年「こうふ……もうそれでいいです」
巡査「さて。一応拾得物だからね。もう少し詳しい事情を聞きたいんだけども」
少年「詳しくも何も、これ以上話すことはないですけどね…」
巡査「世間一般的にはそうそうあることじゃないから、なにかきっかけがあったと思うんだよね」
少年「そうそうどころか、あったらダメな気がするんですけども」
巡査「こう、むず痒くなった時の状況をもう少し詳しく聞かせてもらえるかな?」
少年「むず痒く……。あの時はとにかく足元がむず痒くて。なにか這うような感覚がありましたけど、稲がこすってたんだと思いますよ」
巡査「じゃあ、田んぼの中で見えたものはどんなものだったのかな?」
少年「どんな…?」
巡査「例えば、キラキラ反射していたとか、そういう特徴はなかった?」
少年「いやあ、特にそういうことも…。夜で薄暗かったですし」
巡査「そうかあ」
少年「報告書かなにか作るのにいるんですか?」
巡査「それもあるんだけど、もし君以外に被害者が出た場合対処しなきゃいけないし、人為的なものであれば警察として黙っているわけにもいかないからね」
少年「まともな警察もいるんですね…」
巡査「まともな方が相対的には多いんだよ。ニュースとか動画サイトとかで取り上げられるのは、部屋の隅にある埃を顕微鏡で見ているようなものだからね」
少年「言い得て妙ですね」
巡査「そうかい?そうでもないと思うけどね」
少年「あ、顕微鏡と言えば…」
巡査「顕微鏡?」
少年「田んぼの中で見えたやつ、白くて細くて、ゆらゆら踊ってたんです。あの時、夜で薄暗かったのにはっきり色とかまで分かったんですよ」
巡査「夜目が利いていたとかではなく?」
少年「いくら夜目でも、街灯から離れたところの色なんてよくわかりませんよ」
巡査「なるほど。確かに一理あるね」
少年「なんであんな明らかに怪しいやつに近づいて行ったんだろう…」
巡査「危ないことはあまり感心しないな」
少年「すみません…」
巡査「ところで、それ顕微鏡関係なくない?」
少年「確かに」
巡査「まあいいや。続けて」
少年「それだけですけど……」
巡査「なにか、気分が悪くなったりとかは?」
少年「それは特に…。あとはさっき話した通り、近づいて、足元がむず痒くなって、気づいたら影が無くなっていた感じです」
巡査(ため息)
少年「どうかしました?」
巡査「いやね。影のほうが首を振ってるのよ」
少年「また縦にですか?」
巡査「これが縦に見えるかい?」
少年「横ですね」
巡査「何か隠していること、あるんじゃないの?」
少年「ないですよ」
巡査「首振りがより一層激しくなったぞ。首とれるんじゃないかこれ?」
少年「本当にないんですけど…なんかそれ本当に自分の影か自信無くなってきたや…」
巡査「うわあ、なんかもう首振りの速度が速すぎて首が3つに見えてきた」
少年「ええ…」
巡査「ほら、取りあえず首振るのやめなさい」
少年「触れるんですね」
巡査「そこはほら、気合?」
少年「気合でどうにかなるんだ…」
巡査「あ、これ首振ってたんじゃないのか」
少年「え?」
巡査「首が3つになってる」
少年「それ本当に僕の影なんですよね!!?」
巡査「影のほうも焦ってるみたいだね」
少年「ええ…これ仮に僕のだとして、戻った時どうなるんだ…」
巡査「これ、こう力づくで何とかならないかな」
少年「なにしてるんですか?」
巡査「いやね、こう、左右の頭を持って、真ん中にぶつけたら戻らないかなって」
少年「戻らなかったらどうするんですかそれ!」
巡査「じゃあ、引きちぎっておく?」
少年「ぶつけるほうでお願いします」
巡査「ほら、暴れない暴れない。大丈夫、たぶん痛くないから……さっ!」
少年「いった!!!」
巡査「あれ、君が痛がるんだ」
少年「てことは、本当に僕の影…。よかった、頭一つに戻ってる」
巡査「よかったねー」
少年「ところで、とりあえず僕のってわかったので、返してもらえますか?」
巡査「返したいのは山々なんだけどねー」
少年「何か困ることでも?」
巡査「仕事に興味あるのか、勝手に帳簿とか読み漁ってるから困るんだよね。仮にも秘匿情報なわけだし」
少年「ごめんなさい」
巡査「いいよいいよ」
少年「でも、なんで返してもらえないんですか?」
巡査「どうやって返そうかなって」
少年「あー、確かに。返却方法がイマイチわからないですよね」
巡査「石鹸でも塗ってみる?」
少年「彼は最終的に糸で縫い付けてませんでしたっけ?」
巡査「君、裁縫はできるかい?」
少年「かろうじて」
巡査「じゃあ、針と糸持ってくるからちょっと待ってね」
少年「あ、はい。……何考えてんだろうな、お前。何も隠してないのに原型に戻れなくなるぐらい首振るし、今はしょんぼりしてるし。そんなにここがよかったのか?」
巡査「おまたせー。はいこれ」
少年「ありがとうございます。なんかずいぶん古そうな裁縫箱ですね」
巡査「そうなんだよね。なんか先輩が赴任した時に届けられた落としものだけど、何年も取りに来てないからね」
少年「落としものなんだ…。勝手に使っても大丈夫ですか?」
巡査「大丈夫じゃないよ。遺失物横領になるよ」
少年「ダメじゃないですか!」
巡査「冗談だよ。それは先輩がここに赴任した時におばあちゃんから送られてきたものだよ。なんでも縫い付けられるから扱いには気を付けてね」
少年「へ、へぇ…」
巡査「ほら、その裁縫箱の蓋の裏にお札が滅茶苦茶貼ってあるの」
少年「うわっ…なんだかそこまでびっしりだともう禍々しいですよね」
巡査「本当にねー。これ持ってくるの結構勇気要ったんだよ。普段は奥の神棚に祀ってあってね」
少年「先輩とそのおばあさんは一体何者なんですか…」
巡査「さあ?あとで先輩が帰ってきたら聞いておくよ」
少年「怖いなあ…。見た感じ普通の裁縫道具っぽいけど…」
巡査「じゃあお巡りさんが実況してあげようか?そうすれば気がまぎれそうだけど」
少年「いや……えー、でも無言で見つめられるよりはマシか」
巡査「よし来た任せろ!」
少年「いやな張り切り方だな…」
巡査「さて、今夜実況を務めますのは、今年赴任してきたばかりの新米巡査でお送りします。さあ、早速少年、お札まみれの禍々しい裁縫箱から取り出したのは…針山!針山です!どうやら、針山に刺さっている針を使うようです!」
少年「うるさ…もうちょっとテンション下げられませんか?」
巡査「針山に刺さっている針を使うというのは、手っ取り早くていいと思いますよ。でも、私としてはあまりお勧めしないですね」
少年「なんか嫌だけど…そんな感じで大丈夫です」
巡査「おっと、紹介が遅れました。こちら解説の巡査です」
少年「一人二役!?」
巡査(実)「解説の巡査さん、先ほど針山はあまりお勧めしないと仰っていましたが、それは一体どうしてでしょうか?」
巡査(解)「はい。それはですね、やはり針山に刺さっているものは直近まで使っていたものになりますから、雑菌まみれだったりするんですね。特に古いものになってきますと、錆びついていたり、針山の中身が傷んでいたり、カビが生えていたりと、想像したくないことが起きている可能性もあります。そう言ったことを考えると、やはり使いたくない。お勧めしないというのが私の考えですね」
巡査(実)「なるほど。独特の持論をありがとうございます。決して針山の中身が傷んでいたり、カビていたり、と言ったことはございませんので、視聴されている方はくれぐれもこういった陰謀論に乗せられないようにお願いしますね。何事も、信憑性に欠けると判断した場合は、鵜呑みにするのではなく、一度自分で確かめてみるということが詐欺被害を未然に防ぐことにもつながります。そして、おっと…。これはどうしたことでしょうか。少年の手が完全に止まっています」
巡査(解)「恐らく、私の一人芝居に見惚れてしまったのではないでしょうかね」
巡査(実)「なるほど。それではここで本人にインタビューしてみましょう。なぜ手が止まってしまったのでしょうか?」
少年「あんたがうるさいからだよ!」
巡査「そんなことないと思うけどなあ」
少年「いきなり一人コント始まったかと思えば、なんか長々喋ってるし、もうわけわかんないよ!」
巡査「あははー」
少年「あははーじゃない!」
巡査「ところで、作業はどこまで進んだの?」
少年「どこまでも何も、まだ糸を通してす……ら……?へっ?」
巡査「縫い終わってるように見えるんだけど」
少年「え、なんで!?どうして!?」
巡査「怖い…呪いか何かかな?」
少年「そんな非科学的なこと言わないでくださいよ!ありえないでしょ!」
巡査「でも、影が分離してる君に言われたくないよね」
少年「急に刺すじゃん…。しかもぐうの音も出ないし…」
巡査「おああ!!」
少年「うわあ!なになに!」
巡査「なるほど、そういうことだったのか」
少年「何なんですか一体…」
巡査「影だよ。君の影が針と糸の影を利用して縫い付けたんだ」
少年「ふぁ、ファンタジー…」
巡査「とりあえず、動きとかが問題ないか確認してもらって、何かあるようだったら後日山の上の神社とかに相談お願いね」
少年「わかりました。なんか色々とありがとうございました」
巡査「いいよー。なにか他に思い出したこととかあればまたいつでも来てもらって大丈夫だからね」
少年「はい。ありがとうございました」
巡査「それじゃあ、気を付けて。ばいばい」
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巡査「それじゃあ、報告書を書いてー、の前に裁縫箱を元の場所に戻してーっと。ああ、先輩。おかえりなさい。さっきあの影を落としたって人が来て持って帰りましたよ。例の裁縫箱のやつ使って影と本人を縫い付けたんですけど、あれやっぱりすごいですよね。先輩が悪ふざけでここの派出所の影に赴任してきたばかりの本官を縫い付けたせいで、ここで暮らしてるんですけどね。解決方法見つかりましたか?そろそろここクーラー無くて暑いんですよね」
あ、どうも。作者です。
まずはここまで読んでいただきありがとうございます。
そして、初めましての人も、そうでない人もいるとは思いますが、ボチボチ帰ってきました。
約1年半ぶりの投稿で、なに書けばいいかあんまり思いついてないです。
なんとなくお盆中にはあげたかったんで、突貫で仕上げました。
私の方はと言うと、私生活が去年からえらくバタついていて、やっと腰を落ち着けることができたなというところです。
さて、今回は台本としては初のシリーズ系に挑戦してみました。
が!!相変わらず亀更新でやっていくので、ゆっくり待っておいてください。
それじゃあ、またどこかで会いましょう!