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修羅場・胸糞・人生シリーズ

娘は俺の子じゃない? 妻はポーカーフェイスに離婚を突き付けてきた。

作者: 家紋 武範

 耳を疑う話。しかし妻の話は真実なのだろう。

 結婚して25年。一人娘がもうすぐ結婚というときの話だった。


 私と妻は同じ会社で働いていた同僚だった。妻から言い寄られて付き合い出し結婚。

 だが彼女は当時の上司とデキており、娘はその上司との逢瀬で出来たものだったらしい。


 最近になり上司の奥さまが亡くなり、俺と別れてそちらと結婚するとのことだ。


 しかも娘には何度も彼に顔合わせしていたという。

 だったら今までの25年はなんだったんだ? このローンで建てた家は。娘が帰るべき実家はどこなのだ?


「家も財産分与も要りません。離婚届に判を押して貰うだけで結構です」


 無表情でいい放つ妻。突然のことで思考がまとまらない。吐き気がする。今までのことが全て幻影だ。





「お父さん。徒競走で一位だったよ」


「はい父の日の似顔絵」


「相手はお父さんみたいな人。幸せになるよ」





 娘の言葉。あの「お父さん」は誰に宛てて言っていたんだ?


「娘にはもう会わないでください。元々あなたの子じゃないし、あちらでは財産を相続させる意思ですから。結婚式にも私たちで出ますので」


 息を飲む。やりきれない思いを。暴れだして全員地獄へ送りたい。

 俺の人生を返して欲しい──。





 それから数日後。妻は出ていった。そしてすぐに娘から電話がきた。


「ちょっとお父さん!」


 怒気を含んでの言葉。しかし父との呼びかたにうろたえた。すぐウチに来るとのことだった。


 来るなり娘は泣いて俺に抱き付いてきた。

 聞くと本当の父親を紹介する母親には当時から愛想が尽きていた。それを俺に言えるはずがなかったとのことだった。


「私の親はお父さんだけ! 負けちゃダメだよ! ちゃんと戦って!」


 娘は俺の味方だったのだ。戦う活力が沸いてきた。俺はすぐさま弁護士を雇った。




 最初、二人はしらばっくれていた。証拠を出せと言ってきたのだ。

 証拠は簡単だった。娘とのDNA検査結果だ。父親の可能性がほぼ0という悲しい結果だったが、それが証拠となった。


 二人には悪質ということでかなりの額の慰謝料と、今までの養育費を弁済させた。男は職も財産も失い、借金が残るほどだった。

 娘と、この勝利に喜んだ。


「しかしちょっと可哀相かな?」

「優しすぎるよお父さんは」


「実の母親に対して残酷だなあ」


 すると娘は微笑んだ。


「残酷なのは遺伝子のせい。でもお父さんに似て真っ直ぐに育ったでしょ?」

「違いないな。はっはっは」


 さて人生はまだ長い。簡単には死ねないな。

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― 新着の感想 ―
[一言] なんとも簡単なインスタント・ザマァであらマァ。(´д`)(実際庭、ここまでのマヌケ・ハニーはそうはおらんかと。幻術はもっと下高なはずで)
[気になる点] 結婚して25年ってことは普通に考えたら50代だよね 不倫やら托卵やら抜きにしても単純に気持ち悪いわ そんなクズの血しか引いてないにも関わらず娘が真っ当に育ってくれてよかったね [一言]…
[良い点] 娘が強くて素敵ですね。ざまぁが秀逸です。 [一言] 読ませて頂き有難うございました。
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