よみがえる咆哮
ズドーン
ドッカーン
強烈な爆音と咆哮から繰り出された爆炎が、一瞬映し出された。
裕子「ぎゃーーー」
あまりの衝撃に3人ともひっくり返った。
耳をふさいでいたが、あまりの爆音に耳がキンキンする。
それから3分ほど3人は、ひっくり返って動けなかった。
裕子「いたたたた。」
裕子は、ゆっくり顔を上げ体を起こした。
映像には土煙しか映っていない。
裕子「何があったの?」
(`・ω・´)「吾輩が通れるように、鉄扉ごと外の土砂も吹き飛ばしたであります。」
裕子「こっちの事も考えて!こんな至近距離で、大砲の弾が炸裂したらビックリするでしょうが!」
拳を振り上げて抗議した。
(`・ω・´)「ふもとの村まで急ぐであります。全速前進」
裕子の抗議など聞いていなかった。
車体の後部からブシューと音を立てて大量の水蒸気が、モクモクと立ち込める。
オニ車のキャタピラが動き走りだした。
基地を出て裕子たちが転げ落ちてきた斜面を登りだす。
裕子「これだけ重いと斜面の真ん中で動かなくなるんじゃないの?」
(`・ω・´)「心配無用であります。斜面などスイスイであります。」
ゆっくり遅いが、安定した走りだった。
裕子「途中、木の枝に手提げ袋が引っかかってるから、それ回収するね。」
裕子はその手さげ袋を取ろうとして崖を転げ落ちてしまったのだ。
(`・ω・´)「了解、回収しやすい様に横づけするであります。」
裕子は外に出て、ひなみちゃんが持ってきた手提げ袋を回収した。
斜面の草や木をなぎ倒しながら、オニ車は難なく林道へ出ることができた。
林道に出てすぐに裕子が乗ってきた軽自動車が行く手をふさいでいた。
オニ車は横幅は5mもあり、林道の幅ギリギリまで空きがないと通ることができない。
軽自動車でも停まっていると、通り抜けることもできない。
裕子は手提げ袋を回収しても中に入らず様子を眺めていた。
(`・ω・´)「邪魔な車を吹き飛ばすので、裕子殿は中に入るであります。」
裕子「はあ?・・・ハッ!」
裕子は回収した手提げ袋をハッチの中に投げ入れると、オニ車から飛び降りて自分の車の前に両腕を広げて立ちはだかった。
裕子「バカー!私の車壊したら、あんたを中からぶっ壊すわよ。」
(´・ω・`)「でも吹き飛ばさないと吾輩が通れないであります。」
裕子「吹き飛ばす以外の選択考えなさいよ。単細胞なの?」
(´・ω・`)「吾輩は戦車なので、細胞は無いでありますよ。裕子殿は短気でありますな。昔から短気は損気と言うであります。」
裕子「あんたが吹き飛ばすって言うからでしょ。私が車の操作するから後ろから押しなさいよ。」
(´・ω・`)「わがままでありますな。」
裕子「ちょっと待ってなさいよ。」
ドアを開けて乗り込まずに、ギアなどを操作しハンドルを回しながら車を押す。
軽自動車を2mほど押してオニ車の真ん中辺りに移動した。
車の中にあったクッションを車の後ろにガムテープで貼り付け、なるべく傷がつかないように養生した。
裕子「はーい、ゆっくり前進ね。」
オニはゆっくり前進して軽自動車を押す。
裕子は車に乗り込みハンドルを操作する。
オニの押す車の中で5分ほど揺られていたら、やがてふもとの村が見えてきた。