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突撃!オニの戦車(`・ω・´)ゞヒノヤマノボレ  作者: つばき☆テルゾー
第1章 よみがえる咆哮
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新しき友との出会い

何時間寝ていたのだろう。目を覚ますと辺りは真っ暗、よほど疲れていたのか熟睡してしまった様だ。

時計を見ると夜の7時半

裕子「・・・」

裕子「きゃー」悲鳴を上げた。

「寝るにも程があるじゃない。ゴンゾさんまだなの?勘弁してよ。まったく、明日仕事なのよ。」

「草刈りの仕事が終らない。てな事はいくら何でも無いでしょうよ。」

「ガソリンスタンドまで、遠いの?いくら何でも夜の7時までかからないでしょ。」

肩を落とし、ため息をつきながら言う。

「忘れられている。」

グローブボックスから、非常用の懐中電灯を取り出し車を降りて、ゴンゾが車で走り去った方向へ歩きだした。

1分も歩いたところで、遠くから車がこちらにやって来るのが見えた。

軽トラックは、ゆっくり停車して窓を開けた。

ゴンゾが顔を出す。

ゴンゾ「すまん、すまん、忘れていた訳じゃないんだわ」

裕子「待ちくたびれたわよ。」

寝ていた事は内緒

ゴンゾ「だけどな、まだガソリンスタンド行けんのだわ」

裕子「えーそんな」

ゴンゾ「小さい子が2人行方不明でな。捜索に出とるんだわ。すまんが、まだ時間がかかるから、どうしようもないんや。」

裕子は、それを聞くと体中の力が抜けて、懐中電灯を落とした。

ゴンゾ「ほな、また来るでよ。寝すぎんなよ~!」

落胆した裕子を尻目に軽トラックを走らせて行ってしまった。

裕子「こんな田舎じゃガソリンスタンドそろそろ閉まる頃じゃないの?」

裕子は落としてしまった懐中電灯を拾って車に戻った。

シートに寝そべると、「はー」っとため息をついて考え事をしだした。

(あの時ガソリン何で入れなかったのかな・・・)

(明日までどうしようか・・・)

(仕事休むしかないよね・・)

(連絡取らないと無断欠勤だけは・・・)

(電話借りられるかな?ふもとの村まであんまり遠くないんだよね。子供が通って行ったし・・・)

裕子はハッと気づく

裕子「ゴンゾさんが捜索してるのって、あの子供達だ!夕方ごろ車の横を通ったじゃない。斜面を下って行ったよね。きっと怪我をして登れなくなったんだ!」

懐中電灯を手に取ると、裕子は子供達が川へ下って行った斜面を懐中電灯で照らした。

ガードレールの切れ目へ行き、草が覆い茂る中に足を踏み入れる。

かすかに人が通れる真っ暗なケモノ道

裕子「うわっ・・ここを降りるの?」

日のあるうちなら、楽に降りられただろうが、この真っ暗だとさすがに危険だ。

だけどこの道の先に子供がいるはず。

行かないわけにはいかない。

細くどこで途切れるか分からない道をゆっくりと進む。

顔の前で飛び回る虫を手で振り払いながら必死で、懐中電灯の小さな光を追う。

一歩一歩足元を確かめながら、慎重に進んだ。

しばらく進むと何かがある。

目の前の木の枝に何かが風に揺られてユラユラと、たなびいていた。

懐中電灯で照らすとそれは、青い手さげ袋だった。

たしか女の子が手に持っていた袋だ。

手さげ袋を取ろうと手を伸ばし、1歩踏み出した・・・が足元に地面が無かった。

裕子「あれ?」

そのままバランスを崩し斜面を転げ落ちた。

裕子「いーやー」

草をつかんで勢いを止めようとするが、草が簡単に千切れてしまう。

何度も草や木の根を掴んで必死に態勢を直す。

そのうち束になった丈夫な草を掴めたので、一瞬勢いが止まったが、プチプチと音を立てて草が切れてまた滑りだした。

足を下にする事ができたので、これなら頭から落ちる事だけは避けられる。

地面が迫ってくる。

そのまま斜面を滑り落ち最後に尻に衝撃を受けた。

だが、尻の下のやわらかい物が衝撃を和らげた。

裕子「あいたたた。」

裕子が顔を上げるとすぐ横に女の子がいた。

女の子「お兄ちゃん!」

両手を地面に広げてかなり驚いた様子。

裕子「へっ?」

裕子は尻の下に男の子の顔を敷いている事に気づいた。

裕子「ひっ!」

飛び跳ねるように男の子の上から退いたが、男の子は伸びていた。

裕子は男の子の両肩を抱き起こし慌てて声を掛けた。「うわ、あ・や・え・・大丈夫!」

男の子は気を失っていたが、苦悶の表情を浮かべ呻き声と共に目を覚ました。

軽い脳しんとうを起こしていたようだ。

男の子「いってえな!おばちゃん!」

裕子「えっ!おばちゃん!!お姉さんだよ!おねえさん!!」

男の子「わかったよ。どっちでもええわい。暗えんだから分からんわ。」

裕子「まったくもう。」

男の子「それは、こっちのセリフや。」

裕子が手を離すと男の子は立ち上がり、体に異常はないか確かめる様に軽く体を動かした。

裕子「ケガは無い?」

男の子「ケガは、ねえよ」

首と頭に手を当てながら言う。

男の子「あ~ 痛えわ。」

男の子「おねえちゃんの方こそケガはないんか?」

裕子「うん、ちょっと擦りむいただけ」

女の子「私、お腹すいた。」

裕子「あいにく何も持ってないな~・・・」

そう言ったとたん。”グ~”っと裕子のお腹が鳴った。

裕子は朝から何も食べてない事を思い出した。

男の子「アハハ、腹鳴らして。俺も腹減ったわ」

3人で笑った。

裕子「えっと自己紹介しようか。私は古賀裕子、ゆうこって呼んで」

男の子「俺、ひろきや。よろしくな、ゆうこ姉ちゃん。」

女の子「私、ひなみです。」そういいながらペコリと頭を下げた。

裕子は辺りを懐中電灯で照らして見渡した。

斜面の底の川まで滑り落ちてしまった様だ。

目の前には山間を縫って浅い川が流れ、その川幅は4mぐらい。

うっそうと茂る草や木

この辺りの地面だけは、なぜかコンクリートが敷かれている。

かなり古いコンクリートで何十年前の物か見当がつかない。

裕子「ところで何でこんな所に?」

ひろき「俺、今朝ここらへん歩いてたら、人の声が聞こえたんや。」

裕子「どんな?」

ひろき「ここから出して欲しいって、この草むらん中から聞こえたんや」

今、裕子が落ちてきた斜面を指さしながら言う。

裕子「人が生き埋めになってる?隠れた洞くつがあるとか?どちらにしても嫌な話ね。」

どこからどう見ても、ただの草むら

洞窟か何かが、ある様には見えない。

裕子「長い棒を持ってきて、地面に刺して何か無いか探ってみようか。」

ひろき「信じてくれるんか。ふもとの村の大人、誰も聞いてくれんくて困ってたんや。」

裕子「何もしないで、このまま帰ったら目覚めが悪いじゃない。さっさと探そう!」

ひろき「うん、棒探しに行ってくる。そこで待っといて」

ひろきは一人で行ってしまったが、3分ぐらいで地面に落ちてた2mぐらいの木の枝を拾ってきた。

ひろき「これでいい?」

ゆうこ「十分!ありがとね。」

裕子は木の枝を受け取ると、2~3歩づつ歩きながら何度も斜面に木の枝を突き立てた。

ドスッ、ドスッ、ドスッ

何度も場所を変えて木の枝を突き立てる。

謎の声「そこ・誰か・・で・り・・か?」

地面の中から叫んでいる様な声が、かすかに聞こえた。

謎の声「入り・・・・・右で・・・・。」

裕子「え!人がいる。」

謎の声「とに・・右であ・・・。」

裕子「ええっと右ね!」

くぐもった声で聞き取りにくいが、とにかく今の位置より右に何かがある事は分かった。

引き続き右に2~3歩づつ歩きながら、繰り返し棒を突き立てる。

ドスッ、ドスッ、バーン

何かに当たった。

裕子は木の枝をその場に置き、音が変わった所を懐中電灯で照らし草をかき分ける。

そこには、アルミドアが出てきた。

そのドアは、そこそこ古く設置されてから30年ぐらいは、経過している様に見える。

アルミドアの前には草が生え、何年も開閉していない様子で綺麗に隠れてしまっていたのだった。

邪魔な草を適当にむしり取り、ドアノブに手をかけた。

ドアノブを回したがとても重い、さらに手に力を入れた瞬間ある考えがよぎった。

(何年も開けてなさそうな扉)

(どうやって中に入ったの?)

(幽霊なんじゃ?)

背筋に悪寒が走った。

手が震えてきた。

裕子「怖い・・・」

心臓が大きく鼓動を打った。

ひろき「どうしたの?」

ひなみちゃんも怖いようだ。ひろきの背中にすがる様に隠れていた。

謎の声は、やさしく語り掛けてくる。「怖くないでありますよ。鍵は開いているであります。」

先ほどのくぐもった声がはっきり聞こえた。

裕子「うーん、行ったれ!!!」

ドアを思いっきり開けた。

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