鯖を読む
''占い''という文字が目に入る。
その二文字にカラダが引き寄せられてゆく。
立て看板に大きく書かれた''占い''に近づく。
そして、その文字の横を見る。
そこには、''サバ持参''という初見の四文字がいた。
その言葉に、占いを諦めて家路に就く。
「占いますね。まずは例のものを。」
「はい。大きいものを持ってきました。」
「おお、立派なサバですね。」
「これで良い結果が出ると良いんですけど。」
「では、占います。はいっ。見えました。」
「もう見えたんですか?」
「はい。尾びれに近い部分に×の文字が。そして頭に近い部分には卍の文字が見えます」
「それは、どういうことなんですか?」
「尾は過去、頭は未来の運勢を表しますので、これから良くなると思います。」
サバの模様に隠れた文字を読んで占う。
それがこの占い師のスタイル。
この占い師は、お客さんが占いのために持参したサバを持ち帰る。
そして、その日の夕食のメインとして使う。