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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

作者: 佐伯

いつ書いたのかも覚えてないのが途中で止まっていたから投稿

「ちゃんと御飯食べてるの?」

「うるせえ!いつまで俺の保護者気取りだよ!放っておけよ」

吐いた言葉は飲み込めない。さやが涙をぼたぼた畳に垂らす姿を見ながらも、やはり、これは自分の本心であると強く思った。

身寄りのない俺を引き取ってくれたおばさん、仲良くしてくれたさや、外山家が俺に良くしてくれた事は間違いないから、俺の態度は自分でも良くないと思う。

「……帰るね」テーブルの上に千円札が置かれた。


ぶよぶよの白目と黒目でそれを見つめた。長谷純也であった人間はこの暑さで腐敗が加速的に進んだようだと、他人事のように俺は思った。

『都内S区、のちに身元不明の腐敗した遺体が2体発見される。1人は俺、もう1人は……。

なぜ発見が遅れたのだろうか。

鍵を壊し踏み込む警察官が俺を見た時には、スープと化した肉そして人の形の骨、それに集る虫だった。』


ーー

「ただいま」

さやはリビングへと向かう。

「純也くん元気だった?」母がそう言うとさやはうつむき、少し考え。

「元気だったよ。暑くて嫌になっちゃうって言ってた。この暑いのにエアコン入れてなくって……バカだね……」


バカは私だ。さやは思う。

このままいたら涙がこぼれそうだ。

「自分の部屋に行くね」

さやは自分の部屋でPCを開きため息を吐いた。

「純也くん心配だな、すごく痩せてた……」ロックバンドをやってる事も関係しているのだろうか?それとも新しい彼女の影響かな。

どちらにしろ私には心配しかできないのかも。そう思い苦笑した。

毎日片道2時間かけて行った。滞在は10分程度、一方的に話して終わり時には居留守を使われる事もあって、あって……

あれ……

ノイズが、

右耳から異音が入って反対に抜けた。

あっ、だから合鍵を作ったんだ。

純也くん餓死しないように、そうだよ。

でも、全然食べてなくて、だからお金渡すようになって、あれ……あれ……

まばたきをするたびに画面がカラーセピア、モノクロと切り替わる。画面?


あの日彼らは交わっていた。

それが許せるのか許せないのかと言えば、許した。

それはプライベートだしそこには踏み込めない。彼は成人だし、私らには援助する権利はあるが、それを行使して束縛はできないから……。

ただね、私らが与えた部屋を勝手にあの女が掃除していたから、彼の面倒を見るのは私なのに、

音、映像が消え、暗い画面に左半分が歪んだ女がいた。


びっくりして、椅子から転げ落ち、母のいる一階に行く。

そうして、母の姿を見て、画面が一周した。


うるせえ!もう来るなって言ったろうがよ。彼の右の拳が鼻に食い込む。痛い。もう行かない方がいいんじゃないの。歪に変形した私の顔を母は撫でた。

いつしか彼を思い出に閉じ込めようと思った。



私だけの彼に……


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