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あけよんのプチユーモアエピ

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作者: あけよん

「久しぶり、、、」


今日私は三文の得をした。

しかしこんな時間でもすでに外は動き始めている。


「違う、世の中が頑張りすぎてるだけ」


言い聞かせているわけではない。本当にそう思う。だって幸せとはその時の欲望が満たされている時に感じるものだ。今頑張ればボーナスが貰える。今頑張れば後々楽になれる。こういうのは、無理やり未来に希望を抱いて今の苦しい状況を自己暗示で誤魔化そうとしているだけなのだ。私は幸せになりたい。だから自由に生きているのだ。


何年振りだろうか。まだ外がオレンジ色の中、私は外へ出た。少し散歩をしてみたくなったのだ。

途中、自転車の学生とすれ違った。立ち漕ぎして、猛スピードで通り過ぎていった。

私も学生時代の頃は部活動で朝から練習をするためによくこの時間から登校していた。考えてみれば、人生で一番頑張っていたのは部活動だったのかもしれない。まあ若かったからできる事なのだろう。

その頃と今の私を比べると、いや、考えるのはよそう。


しかし世の中を見ると、やはり焦る。だって意外にもみんな早朝から行動している。普段の自分はむしろこの時間まで趣味に費やし、その後夜食を食べて寝たりもする。比べると、いや、考えるのはよそう。


清々しい気分の反面、苦しくなっていく自分がいるのだがそれはそれで良い。こういう刺激が人を変えてくれるのだから。本当は私も世に言う「普通」に生きていきたい。「普通」として堂々としていたい。それ以上はいらない。「普通」で良い。

今の私はお世辞にも「普通」とは言えない。そんな事は自分でよく分かっている。ただ今日はいつもよりはほんの少しだけだが「普通」に近づけた気がする。だってこの時間に起きて外を歩いているのだから。


ふと気付いた。昔よく通っていたファストフード店があった。


「朝食はここにしようかな」


こんな私でも朝にオシャレなコーヒーだって頼める権利はある。どんな人間だろうと人間並みの権利はあるのだ。ただ自分を特別と自負している人間が他を見下し嘲う。見下された人間は深く傷ついてしまいその権利すらも自ら放棄してしまうほどに堕ちてしまう。これは常だ。


そいえば今はちょうどモーニングメニューの時間だ。私はモーニングの軽いのが好きだ。今日は良いな。十分三文以上得している気分となっていた。


「いらっしゃいませ」


「ええーと、、、(あれ、メニュー表がまだモーニングになってないな。あ、この時間は社員がいなくてみんなバイトか。適当だな) 、、、モーニングメニューは?」


「申し訳ございません。只今の時間はモーニングメニューは扱っておりません」


「いや、もう五時まわってるからモーニングタイムのはず、、、」


何気にふと外を見て気付いた。外はさっきより薄暗かった。


今は早朝ではなく夕方だ。


どうやら私は昼を通り過ぎてとうとう夕方に目覚めるほどになってしまったようだ。

まずは生活リズムを正そう。それから徐々に「普通」になる努力をしていこうと思う。


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