不運と脳筋では、脳筋が勝つようです
「どうしてこうなった」
落ち着け。まずは、今陥っている状況を確認しよう。
俺達は、ゴブリン討伐のクエストを受けている。そのため、ゴブリンが生息しているといわれる森へと足を運んだ。しばらく森を歩いているとゴブリンと遭遇した。
「ギャアアアッ!!」
そうゴブリンが叫んだ途端、周りからゴブリン達が現れた。5、6体程増えただけならば、問題はなかったのだ。
まさか、30体も出て来るとは正直予想外でした。さらに追い打ちをかけるかの様に4体のオークが出現した。
そして今俺たちは、モンスターに囲まれていた。
「モンスターの数に囲まれる事は何回かあったけど、この数に囲まれるとか今日は付いてないな」
(すまんそれ多分俺の運のせいだわ)
「てか、なんでこんな大変な時に落ち着いていられんだよ!」
「だって、囲まれた所で倒せば問題ないだろ」
「確かに5、6体ぐらいなら問題ないよ。でもさ、35体に対して俺達は2人。しかも俺、モンスターと戦った事無いんだけど」
「大丈夫だって殴れば倒せるから」
「今はそんな脳筋みたいな事言ってる場合じゃ「ゴッ!」…は?」
「な、だから言ったろ。殴れば倒せるって」
そう言うと彼は、ハンマーを振り回す。するとハンマーに当たったゴブリンやオークは、断末魔を上げることなく倒され、魔石や素材になっていた。
3分ほどたっただろう。モンスター達は、ルークによって魔石や素材にされ俺たちの周りに散らばっていた。
「いやー今日はいつもより時間かかったな」
「いつもより早いって、普段はどんだけ早えんだよ」
流石におかしなことを言っていたので、俺はルークに聞いた。
「大体一撃だからな、すぐ終わるんだよ」
「ワンパンかよ!いったいどんなステータスしてんだよ」
「こんな感じだぞ」
そう言うとルークは、俺にギルドカードを見せる。
【ルーク・ロードス】
【攻撃力】S 【耐久】B
【魔力】C 【筋力】S
【知力】D 【運】C
【スキル】随時発動スキル・鋼の肉体 ・筋力強化
任意発動スキル・ベルセルク
何だこのチートステータス。てかステータスまで脳筋とかもうやべえなコイツ
「このベルセルクっていうスキルてなんだ?」
「使ったことないから知らね」
「……そうか」
使った事ないっていうか使う事が無いんだろうな。多分。
「てかお前のも見せてくれよ。俺の見せたんだからな」
「そういやそうだったな。ほらよ」
そういって俺はギルドカードを渡す。
「どれどれって、運がEでそれ以外はCてお前なかなか凄いな!」
「何がすごいのか俺にもわかりやすく言ってみろ」
「能力値が平均で付いてない」
こいつ良い笑顔で俺の傷を抉ってきやがった。
「もうヤダ、ギルド帰る」
「そうだな、依頼終わったし戻るか」
「そういう意味で言ったんじゃないんだけどなぁ」
といった感じの他愛のない話をしながらを俺たち2人はギルドへと戻り受付へと向かった。
「すいません。依頼を終えたので確認をお願いしたいのですが」
俺は受付にいるディーゼさんに言った。
「分かりました。それでは、魔石をこちらに置いてもらってもよろしいですか」
「あと他のモンスターの魔石や素材があるんですが一緒にしても大丈夫ですか」
「問題ありませんよ。どうぞこちらに」
そういわれ、俺とルークは台の上に素材と魔石を置いた。するとディーゼさんは、あんぐりと口を開けあっけにとられたかのように机を見た。
「あの、受けたクエストって何でしたっけ」
「ゴブリンの討伐だったよな?」
「そうだぜ」
「ゴブリンの討伐なのは分てるんですよ。ですが、ゴブリンの魔石だけでなくオークやゴブリンリーダーの魔石も混ざって数も40ほどあったのでつい」
「ゴブリンリーダーやオークってそんなに強そうには見えなかったんですが」
まあ全部一発だったしな。ルークが。
「確かにある程度経験のあるパーティでしたらそうでもないですが、ゴブリンリーダーは集団で襲ってくるのでDランク相当、オークはCランクのモンスターなので、初心者にとっては相当厳しいですよ。いったい何があったんですか」
俺は、今まであったことを説明した。
「ほんとついてませんでしたね」
「もうやめてください。本当に泣きますよ俺」
「まあそんなこともあったが、報酬が増えたんだから別にいいじゃないか」
ルーク、それは結果論だからな。実際俺だけなら、多分20秒もしないでやられていたに違いない。
「そういえばそうでしたね。それでは報酬の金貨5万枚と追加でゴブリンが17体、ゴブリンリーダー3体、オーク3体分の料金を上乗せして、合計金貨21万枚ですね」
「結構な額ですね」
俺は、こんなに貰える多は思ってなかったので、驚いた。
「今回は数が数でしたのでなかなか大変でした。しかし初めてなのに凄いですね」
「まあほとんどがコイツのおかげですけどね」
そういって俺は、ルークを指差した。
「でも楽しかったぜ」
「それでは報酬の21万コインです。これからも頑張て下さいね」
そう言うと彼女は仕事に戻っていった。
「今日は、ありがとうな。。色々と助かった」
「気にすんなって、これからも一緒にやっていくんだから」
「それってどういうことだ?」
俺はルークの言った意味が分からなかった。するとルークは一息置いて言った。
「つまりは俺とパーティを組んで欲しいんだ」
「こんな運のない平凡ステータスの俺でよければ」
「あんまり自分を、卑下にすんなよ。そのステータスは良いモンスター寄せになんだからさ」
ルークの言った事を聞いて、少し苦笑いながらに俺は言った。
「それは褒め言葉としてはどうかと思うが、これからよろしくなルーク」
「おう!こちらこそよろしくな、カイト」
そういって俺と、ルークはお互いに握手をした。
こうして俺は、転生して1日で良い奴だがとてつもない脳筋とパーティを組んだ。
余談だが、運が悪くても脳筋だったら、モンスターに囲まれても何とかなるんだな…と俺は一瞬思ってしまった。
解せぬ。