思ったことは、すぐに言ってはいけない
「さっきのは、夢だったのか?」
そう呟いて、辺りを見渡す為立ち上がろうとする。しかし、立ち上がることは出来なかった。
俺の体は、縄によって木へ縛りつけられていた。そして目の前にはメモが置いてあった。
「私達は先に帰ります。とりあえず、生きていたらギルドで会いましょう。p,s,体に香水を撒いておきました」
アレは夢じゃなかったのか…てかガチで殺しに来てますやん。
「てか、クッサ!こんな臭いじゃギルドに入ったら色んな人から絶対、色々言われんだろ」
俺が溜息交じりに呟くと、草叢がガサガサと揺れた。
「だ、誰だ!」
驚き交じりで声を出す。
「にゃ~」
「何だ猫か…あれ、これって死亡フラグじゃね?」
死亡フラグを建てたと気付いた時には、もう手遅れだった。草叢からライオンの様なモンスターが現れる。俺の目の前にいるモンスターが群れのボスなのか、その後ろからモンスターが続々と現れた。
とりあえず、一つだけ言わせて欲しい。
「お前はネコ科であって猫ではねぇだろ!」
おかしいやん、ライオンみたいな風貌してんのに子猫みたいな鳴き声出すんだぜ。てかヤバイ。
「これさ、絶体絶命やん。誰か助けて」
目の前にいるライオンの様なモンスターは、獲物を見つけたかの様に目を細める。口元には、涎が垂れていた。
「俺はエサになってんのか今。もう死にますねぇ」
自分でさえ何を言ってるのか理解する事は出来なかった。戻って来い俺の語彙力。
そんなくだらない事を考えていると、ボスらしきモンスターが俺に襲い掛かってきた。
「もういいや、転移魔法使うわ」
そして、半ば諦めつつ俺は転移魔法を使った。すると、俺はギルドの中へと転移した。モンスターと共に。
「うっそだろお前、ここまで付いてくんのかよ」
俺は、今度こそ死を覚悟した。しかし、このモンスターが俺の元へと飛び掛かってくることは無かった。簡潔に言えば、モンスターは倒された。
ハリセンを持ったシャルロッテによって。
「まだ、くたばって無かったんですねカイトさん」
「助けてもらった俺が言うのも何だけど、第一声がそれですか」
「女子押し倒しておいて何言ってるんですか?」
あー、怒ってますねーこれ。謝った方が良いのは分かってますよ。でも一言だけ言わせて下さい。
「じょ、女子?」
「地獄でくたばれ」
シャルロッテが、ハリセンを振り下ろしながら俺に言った。
「戻ってくんの早くね?」
「俺が、変な事言ってたのは分かりました」
俺はまた、神様の元にいた。
__________
「…あれは、カイトが悪い」
「女子に向かってそれは言っちゃいけない奴だろ」
ルークは、フィルを背負いながら2人は言った。結論から言えば2人はあの場面を見ていた。しかし理解は出来ていてなかった。簡単に言えば、いきなりカイトが現れたと思ったらモンスターい襲われているし、襲ってるモンスターはシャルロッテに倒されたかと思ったら、カイトまでやられていた。
唯一聞こえたのは、カイトがシャルロッテに対しての「お前女だったのか」的な発言だけだった。
「まず何があったのか、シャルロッテに聞きにいかないか?」
ルークはフィルに問いかける。
「…今のシャルに聞く事、つまり相応の覚悟が無いといけない」
フィルは、ルークの背中で小刻みに震えながら言った。
「よしじゃあ行くか」
「…私の話聞いてた?」
ルークは、フィルを背負ってシャルロッテの元へと向かった。
「なんでシャルロッテは、そんなにイライラしてんだ?」
ルークはシャルロッテに聞いた。
「実はですね……」
シャルロッテは、少し落ち着いた感じで今日起こった事を話した。そして話し終えた時に、フィルとルークは若干青ざめていた。
「色々あったのは分かるんだけどさ、やりすぎじゃね?」
「…確かにカイトも悪い、でもシャルもやり過ぎ」
2人は、シャルロッテの話を聞いて素直な感想を述べた。
「そんな事無いですよ。死にそうになったら、エリクサーを使えばいいだけですし、死ぬまでいたぶれますから問題ないですよ」
「「うわぁ…サイコパス」」
流石の2人も、シャルロッテの発言にドン引きしてた。
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「で、今度は何やったんだ?」
「答えるのも面倒くさいので、それで視て下さい」
神様は、俺に聞いてきたが答えるのが面倒くさかったので俺は、神様に言った。
「そうか、そんじゃVTRスタート」
神様は、何かおかしなテンションになっているが、俺のさっきの出来事を映し出して再生する。すると神様が、いきなり笑いだした。
「お前、そんなに付いて無いとか流石に笑える」
「笑えないから、あんな目に合ってみればわかるから」
正直言って、命の危機に瀕してたのに笑われるのは流石にイラついた。
「でもお前、デビルライガーの群れと遭遇するとか逆に運が良いな」
「デビルライガーって何ですか?」
「簡単に言えば、黒いライオンと黒い虎の良い所を足した奴」
簡単過ぎて分かり難いやつだこれ。
「強さとしてはどれ位なんですか?」
「正直言って、単体でも強いが群れになると竜族の中堅ぐらいの奴と互角だな」
「あのモンスターもそんなに強かったんですか」
「何言ってんだよ、一番やばいのはあの女だ」
凄く真剣な表情で言ってきた。
「とりあえず、一つだけアドバイスしてやる」
神様は、俺にそう言うと息を吸う。
「死ぬ気で土下座しろ、以上」
「それだけかよ!」
「いいか、男っていうのは、時には自分から折れなきゃならん。てか今回に関してはお前が悪いんだから、仕方ないだろ。ほら、さっさと戻れ」
神様からそう言われると、また自分の目の前が暗転した。
その後、目の覚めた俺はシャルロッテに全力で土下座した。許しては貰えたが、なぜか後日買い物に付き合わされる羽目になった。
それと、なぜかは分からないが、ルークとフィルがシャルロッテに対して少し壁があるように感じた。