敵の本拠地へと飛ばされました
とりあえず、何故ここにいるのか落ち着いて考えてみよう。確かあの黒龍の首輪についてたボタンを押したら此処に飛ばされたんだよな、うん。
「魔王様、なんで俺ここに居るんですか?」
流石に訳が分からないので魔王に聞いた。
「別にタメ口でいいよ。それと僕のことはユグ、とでも呼んでくれ」
魔王もといユグは、苦笑いながらも俺に言った。
「それと君がここにいる理由は、その首輪についている転移魔法が、働いたからだね」
ユグの説明を聞き、俺は手に持っている首輪を見た。この首輪そんなハイテク技術を組み込まれてたのか。
「それと君の名前は?」
「すまん、まだ自己紹介してなかったな、俺はカイトだ」
「そうか、それじゃカイト君に聞きたいのだけど、ティアマトはどうした?」
「ヒェッ」
そうユグが言い放った瞬間、俺は途轍もない悪寒にさらされた。これ変な事言ったら死ぬな。
「襲われたから倒した」
アカン、俺嘘つくの苦手だったわ。俺がユグにそう言った瞬間、ユグは俺に土下座した。
「すいませんでした!僕の監督不行き届きです」
「あれ、この人魔王だよね?」
魔王とは思えないレベルの威厳のなさを発揮してきたんですが。
「確かに僕は魔王だけどね、それ以上に人様に迷惑をかけてしまったのだからそんなの謝らなくてはいけないだろう」
この魔王様、人間より人間してるんだけど。まあとりあえず、
「そろそろ頭を上げてくれ、何かこっちの方が罪悪感沸くんだけどと言うか、俺達が悪いと思うんだが」
「どうしてだい?」
ユグは、首をかしげながら言った。
「だって、ユグの飼ってる黒龍を倒しちゃった訳だし、一概にユグだけが悪いってわけじゃないだろ」
「だから俺も済まなかった」
そう言って、俺もユグに向かって土下座した。
「カイトも頭を上げてよ、今回はお互いに悪かったって事で、ね」
ユグは、少し笑いながらをれに手を出してきた。
「そうだな、それじゃ仲直りだな」
「まだ友達でもないけどね」
「そういやそうだったな」
そんな感じの軽口を言いながら俺達は握手を交わした。
「ところで一つ良いか?」
「なんだい」
「ユグって、男だよな?」
俺はユグに思ったことを聞いた。だって見た目が完璧に美少女だよあれ、しかも女子より女子らしいし。
「僕は男だよ!」
少しだけ頬を赤く染めほっぺを膨らましていった。なんだろう俺の死ってる女子よりも仕草がかわいい気がする。別に俺はホモじゃないぞ。
「そうかすまんな」
「ユグドラシル様、いきなり執務室から出てどうかなさったんですか?」
声のした方を向くと、そこには赤髪で眼鏡を掛けており、背中には蝙蝠の様な羽が生えている女性が来た。
「ごめんねドラミラ、いきなり飛び出して行って実はね、かくかくしかじか」
今時、かくかくしかじか言う奴がまだ居たのかよ。てかそれで分かるのかよ。
「成程、まるまるうまうまと言う訳ですね」
「今ので分かたんですか」
「いいえ全く」
「えぇ…」
この人多分ノリが良い人だわ、じゃなきゃこんな訳の分からん返しはしないわ。
「まあ冗談は置いといて、実は…」
そう言ってユグは、さっき起こった事を話した。
「そうですか、それとカイト様?でしたっけ。お仲間さんの元へ戻らなくてはいけないのでは?」
俺はドラミラさんに言われ、シャルロッテ達が居たのを思い出した。
「あーそう言えばそうだったわ。でもどうやって戻ればいいんだ?」
「転移魔法を使って戻ればいいよ」
「使えないんですがそれは…」
「あっ、ふーん」
おい、何か察したような返事をするのはやめろ下さい。
「そしたらここで覚えていきなよ」
「そんな簡単に魔法って覚えられんのかよ」
俺は疑問に思ったことを聞く。すると、ドラミラさんは言った。
「魔法を覚えることに関しては簡単ですよ、イメージすればいいんですから」
「つまり、その魔法がどんな物かをイメージすれば良いって事ですか?」
「簡単に言えばそうですね」
ドラミラさんが、言った後ユグも続けていった。
「因みに、転移魔法を使う時は「トリップ」て言いながら、自分の行きたい所をイメージすれば行けるよ」
大対は理解したが俺にはまだ疑問に思ったことがあったので俺は2人に聞いた。
「転移魔法でどのくらいの魔力を使うんだ?」
「あんまり使わないとは思うけど、あっちの基準だったら大体Cランクで40回くらい使える感じだね」
「成程、それともう一つ聞きたいんだけど転移魔法の対象は、場所じゃなくて人でも出来るのか?」
俺が2人にそう言うと2人は、バツの悪そうな顔をした。
「場所なら問題ないけど人は、ねぇ…」
「人のだった場合ですと、ねぇ…」
そう言って2人は目を合わせる、すると顔を真っ赤に染めてふぃっと、目線を反らした。てか何が遭ったんだよ。
「何が遭ったんだよ」
「「それは、あってからのお楽しみって訳で」」
「えぇ…」
何かあってからじゃ困るんですが、てかほんとに何があった。
「まあとりあえず、一回あそこの柱に移動してみなよ」
そう言ってユグは指を指す。大体100mほど離れた場所に白い柱が建っていた。
「えっと、トリップ」
俺がそう言った瞬間、さっきまで遠くに在った柱が目の前に現れた。
「ね、言った通りだったでしょ」
「ここまで簡単に使えるもんだとは、思わなかったけどな」
流石に俺も驚いた、意外と簡単に出来たというのもあるが、初めて覚えた魔法が転移魔法であったことにいも驚いた。
「てか、魔王様に魔法を教わるってのも凄い話だけどね」
「と言っても僕自身魔王としては、そこまで強くはないけどね」
「それでも四魔王の中では一番強いではありませんか」
てか色々突っ込みたい事があるけどとりあえず、
「魔王って4人もいるのかよ!」
「そうだね、とりあえず北の魔王の僕ユグドラシル、東の魔王ノブナガ、西の魔王ハーデス、それと南の魔王ロキの4人の総称だね」
4人の魔王だから四魔王は、安直過ぎるだろ。俺だったら方角の魔王とでも呼ぶわ。…俺も人のこと言えないわ。
「その中でお前が一番強い訳か」
俺は少し半信半疑ながら言った。すると、ドラミラさんはそのことに気付いたのか俺に言ってきた。
「カイト様、こんなこと言ってしまっていいのかは分かりませんが、確かにユグドラシル様は、四魔王の中では一番強いですが、ユグドラシル様が強い訳ではなくて幹部の方々が強すぎるのです」
「この人、さらっと自分の主の事罵ってんだけど」
無表情のままドラミラさんは言った。そのことを聞いたユグは、苦笑いをして言った。
「まあそう言われるのも仕方ないよ。実際僕が使えるのは時空操作魔法しか使えないからね」
「時空間操作魔法って聞く限りだと強い気がするんだけど」
どうせまたチートだよ。
「そんなことないよ、実際時間を戻したり進めたりする位だし空間魔法も良く分からない所に入って光が見える所に出ると魔剣とか刺さってるだけだしね」
「その刺さってる魔剣って、抜き取って使うことは出来ないのか?」
「いや使えるけど、僕自身剣を使った事ないからね、ほらこれだよ」
そう言ってユグは、何もない空間から剣を出した。その剣は、魔剣と言われるだけあって禍々しいオーラが漂っていた。
「その魔剣ってどんな能力何だ?」
俺は魔剣について聞きたいことがあったのでユグに聞いた。
「簡単に言えば何でも切れる。それだけだね」
どこぞの竜殺しが使ってそうな魔剣みたいだな。
「因みにこの魔剣はグラムだよ」
シグルドの奴やんそれ。てかガチの魔剣かよ。
「良ければこれあげるけど要る?」
この魔王様とんでもないこと言ってる気がするんだけど。
「気持ちはありがたいんだが、その魔剣を持ち歩く事が出来るような物も持って無いし収納魔法とかも使えないから遠慮させて貰うよ」
「それなら、収納魔法じゃなくて空間魔法を教えるよ」
「何故収納魔法じゃ無くて、その上位互換の魔法なんだよ」
正直言って使えるのはうれしいのだが、何故それを教えてくれるのかは分からない。正直ここまでくると疑うレベルなんだよなぁ。
「理由としては、意外と空間魔法が便利で空間内に自分の部屋が作れるからだね」
「それともう一つは、君との友好の証としてかな」
俺は、少しだけ笑いながら言った。
「別にそんなものなくても俺達はもう友達だろ」
「僕を友達としてみてくれるのかい?」
ユグは不安そうに俺に聞いてきた。
「勿論、もしかしてユグは俺と友達じゃないと思ってたのか?」
「そ、そん訳ないよ」
ユグは、少し怒りながら言った。
「つまりはそう言うことだ」
俺は、自分でも臭いと思えるセリフを吐き、ユグの目の前に手を出す。
「よろしくね、カイト」
ユグは笑顔で、俺と握手を交わした。それと、男とは思えないかわいさだった。
ホモじゃないよ?
「あっ、でも便利そうだからやっぱり、俺に空間魔法を教えてくれないか?」
「締まらないね」
「ですね」
「やめてくれ、恥ずかしいから」
今日、魔王の友達が出来ました。ついでに、転移魔法と空間魔法を覚えた。