収納魔法って有能過ぎないですか
ユウジの押し付け合いをしていた時、ふと俺はあることを思い出した。そのため俺はシャルロッテに聞いた。
「そういえば、シャルロッテの空間魔法って何でも入るんだよな?」
「はい、何でも入るはずですけど何でそんなこと聞くんですか?」
シャルロッテは、不思議そうに首を傾げ俺に質問する。
「前にシャルロッテがそんな事言ってたから、もしかしたらアレも入れられそうだと思って」
俺がシャルロッテに言うと、シャルロッテは右手を顎に当てて言った。
「確かに持ち運ぼうとすれば行けるかもしれませんけど、あの中の構造がどうなってるか私も分かりませんからお勧めはしませんよ」
「まあ、そうだよな」
確かに魔法で出来た空間の中に入った事が無ければ中の構造が分からず、魔法を使っている本人でさえ、この空間の仕組みが分かってない。そうなればどのようなリスクがあるのかが分かっていない為、危険である事は理解した。
その上で俺は、シャルロッテにある提案をした。
「それだったら、実験的にその空間に入れとけば良いんじゃないか?」
「やってみましょう」
「即答かよ!」
何故か反射的に突っ込んでしまった。人の命がかかっているのであれば、少しぐらいは悩むものだろ普通。それを即答って一体何考えているんですかね。
「まあ知り合いとはいえ、実質赤の他人ですしね。それに実験には失敗はつきものですし、もし失敗したとしても多分アレはそう簡単には死にはしませんよ」
「人をモルモットみたいに言うなよ」
「違うんですか?」
「チガウヨ、ニンゲン、ジッケンドウブツ、チガウ」
何故かわからないが、片言で行ってしまった。てかあの子怖い事考えていたんですけど。
「まあそんなことは良いとして、とりあえずあの人達に聞いてきますね」
「俺も何か不安だから付いてくわ」
シャルロッテが、アレスさん達の元に向かって行ったので俺はその後を追う。
「お話し中すいません。実は私にいい考えがあるんですよ」
シャルロッテは、そう言ってアレスさん達の話に割って入っていく。
「どんな方法かだけ聞いてもいいか?」
シードさんは、シャルロッテの方を向き聞き返した。
「実は私、制限なしの収納魔法が使えるんです。その中に放り込んでおけばいいかなと思ったんですが、どうですか?」
「おい、リスクの話はどうした」
「あー、そんなこともありましたね」
何でこの人そんな大事な事を、言わないんですかね。てか絶対言うつもりなかったよね。
「リスクって、どういう事ですか」
ウィンデイさんが少し怯えながらも、シャルロッテに聞く。
「簡単に言えば、この魔法の仕組みについてよく分かっていないんですよ。ですからそこに倒れている丁度良いじっけn、ゲフン、生贄がいるので使わせていただけないかなっと思っただけなんですよ」
「不穏な部分隠れてないから。てか、それ以上にひどくなってるんですが」
生贄よりもまだ実験体の方がましな気がするんだけど、そう思ってんのは俺だけかな。
「流石に、仮にもパーティメンバー何だろうから断れると思うけど「それいいですね、やりましょう」あの、ウィンデイさん?」
「確かにそれなら誰にも迷惑が掛からないし、いいんじゃないか」
「魔法には犠牲がつきものだしね」
まさかの、アレスさん以外の人が賛同していた。てか本当にどうすればこんな扱いされるようになるんだよ…
「おいお前ら、少し落ち着け」
アレスさんが、3人に言った。流石にメンバーが死ぬかも知れないから、止めに入ってくれたに違いない。
「その空間にぶち込んでも、あいつが死ぬかどうか分からないんだろう?だからそんな高望みはするな」
「普通この流れなら止めるんじゃないんですかね」
俺はアレスさんに言った。てか何でこの人たち少しがっかりしてるんですかね。
「それでは、満場一致でこれを私の魔法で使ってもいいんですね」
「「「「どうぞ、どうぞ」」」」
「えぇ…」
流石に、何かユウジが不憫に思えてきた。そしてシャルロッテが、ユウジを収納しようとした時ユウジが目を覚ました。
「俺は一体、何をしt」
パチンッとシャルロッテが、指を鳴らすとユウジは目の前から消え去った。
「あいつ今、目覚めなかった?」
「気のせいですよ、多分」
多分じゃないんだよなぁ、あいつなんか言ってたし。
「そんなことは良いとして、そろそろクエストに行きましょう」
「まあそうだな」
そう言って俺達は2手に分かれた。
俺とシャルロッテ、シードさんとウィンデイさんは山の方へ、ルークとフィル、ドーラとアレスは森の方へと向かった。
「そういえば俺達は、何のクエストを受けたんだっけ?」
俺は山を登りながら、シャルロッテに聞く。シャルロッテは、その場で止まって一息ついてから言った。
「確か、ロックウルフの討伐ですよ」
「でもなんかおかしいぞ」
「おかしいって何がですか?」
俺はシードさんが言った事に対して聞いた。
「この辺りなら、いつもはモンスターが出て来る筈なんだがモンスターは出てこないだけじゃなくて、周囲にモンスターの気配すらないんだよ」
言われてみれば、何時もは俺の不運もあってモンスターが、溢れるように出て来るのだが今日はなぜか一度もモンスターと遭遇していないのだ。
「何か来るぞ!気を付けろ!」
いきなりシドーさんが大声を上げた、すると遠くから黒い何かがこちらに向かってくる。
「おい、あれって」
「はい、あれはドラゴンです。それも一番危険な黒龍です!」
そして黒龍は、俺達の目の前に降り立ち咆哮を上げた。
「ボス戦かな?」
俺は現実逃避をした。