ナルシストは、転生勇者だったらしいです
「あっ、貴様ら昨日の!」
「誰だお前」
翌日、俺達は昨日のナンパ野郎のいる、パーティと遭遇した。だからあれほどフラグを建てるなといったのに。まあ言ってないがな。
「貴様、俺の名も知らんのか」
「ルーク知ってるか?」
昨日、殴られた方の男から聞かれたので、俺はルークにその話を流す。
「知らね」
予想通りの、返しをしたルーク。すると男は、何故か分からないが偉そうにして言った。
「仕方ないな、俺の名は頓田勇次この世界の、魔王を倒すために転生してきた勇者だ」
「お前も、転生者かよ」
なんかくっそ痛い自己紹介してんなと思ったら、まさかの中二病の転生者でした。
「お前もと言う事は、まさか貴様も転生者か」
ユウジは、驚いたらしい。まあそりゃ自分以外にも転生者がいれば驚くだろう。昨日の俺がそうだったし。
「ところでお前は、どこ出身だ?」
「なぜそんなことを聞くのだ?」
「いや何となく」
いきなり自分の出身地を聞かれたのだ、それは誰だって疑問に思うだろう。少し考えてからユウジは答えた。
「関西の方に住んでたとだけ言っておこう」
本当こいつ偉そうだな。そう思って少しイラついたが、関西の方に住んでたと聞いたのでもう一つだけ俺はユウジに質問した。
「お前が転生した時に会った神様ってどんな奴だったんだ?」
「お前そんなの、お前そんなの大阪とかにいるおばちゃんみたいな人だろ」
同意を求める様な目で俺を見ていった。こっち見んな。
「そうか、関西はおばちゃんか」
「何言ってんだお前」
頭のおかしい奴を見る目で見るな。俺はそう言いたかったが言わなかった。だって言ったら絶対面倒臭いもんこいつ。
「ところでお前チートとか貰ったのか?」
もう一つだけユウジに聞いた。まあ貰ってないと思うけどな。
「貰ったぞ」
「は?」
さすがの俺も素っ頓狂な声が出てしまった。てか、関西担当の人はチート渡すのかよ。
「まさかチート貰えなかったのか貴様」
笑いながら、ユウジは俺に言った。だから俺は、ユウジにけたぐりをした。
けたぐりって、重い奴には良く効くからなぁ。
「ああああ、ああああ、てめえぇぇな何してんだぁ!!」
ユウジは足を抑えていった。
「むしゃくしゃしてやった、反省も後悔もしていない」
だって、あんな顔して笑いながら言われてみろよ、イラつかない奴はいないと思う。多分。
「まあ、落ち着け。イラついたのは分かる、でも押さえろ」
俺はルークにそう言われた。まあ俺も悪いが、あのルークをイラつかせるのは中々だぞ。
「コヒュー、コヒュー、まあいい貴様らに教えてやろうれが選んだのはこの聖剣「カリバーン」だ。
自信満々に腰からカリバーンを抜き出した。まあ俺から言える事は、
「なんでそれ選んだんだよ」
「王選定の剣だぞ、俺が持つに相応しい聖剣だからだ」
いきなりユウジは、訳の分からないことを口走った。本当、こいつ頭おかしいんじゃねえの。
「あいつ何言ってんだ」
「やめろルーク、それ言ったら面倒臭い事になる」
ルークがユウジに言おうとしたことを止めさせる。面倒ごとは嫌だからな。
「……カリバーンて何?」
フィルは俺に聞いた。
「大雑把に言えば、王選定の為だけに使われた剣だ」
まあ実際は、エクスカリバーと同じ物だったなど色々諸説あるが、あいつの説明からだったら多分この説明であったいるだろう。
「どうだ、うらやましいだろ。ほれほれ」
カリバーンを俺達の見せてきた。-殴り殺したいこの笑顔。そう思っていると4人程後ろから現れた。
「またお前は勝手に行きやがって探すこっちの身にもなれよって、昨日の」
後ろから話しかけてきたのは、昨日男と一緒にいた人だった。
「あ、どうも」
「どうも、昨日ぶりです。俺はこいつの一応パーティーメンバーのアレスだ。昨日は本当に申し訳ない」
そう言ってアレスは、俺達に頭を下げた。
「貴方達が、昨日ユウジさんが迷惑をかけた方々ですか。私からもパーティーメンバーが迷惑をかけました。申し訳ありません」
「俺からも、パーティメンバーの落ち度は俺達の落ち度でもある。済まなかった」
「私からも、すいませんでした」
ユウジのパーティメンバーから謝罪を俺達は受けた。なんで、当の本人は知らん顔してるのかは謎です。
「頭を上げてください。貴方達が悪い訳ではないんですから」
俺は4人にそう言う。しかしパーティーメンバーのうちの1人は、
「俺達の監督不行き届きだ、こんな奴でも一応パーティーメンバーだ。本当に申し訳ない」
そう言って俺達にもう一度頭を下げた。このパーティーメンバー大変そうだなと思った。
「てか一応って何だよ。俺らパーティーメンバーだろ。それに、こんな奴らに頭下げなくてもいいだろう」
ユウジは、メンバーに言った。流石にこいつを殴りそうになったその時、今までいたことすら忘れていたシャルロッテが動いた。
シャルロッテは、空間からハリセンを出しフルスイングでユウジの頭を叩く。その反動でユウジは飛んで行った。そして飛んで行ったユウジの元へと向かいユウジにエリクサーを身体中に掛けた。
「あああああ!!!体があぁぁ!!痛い痛い痛い!!」
ユウジは悲鳴を上げる。するとシャルロッテは、またユウジをハリセンで殴りエリクサーを掛けた。
これを何度の繰り返していた。ちなみに、俺らは皆震えていた。だってごみを見るような眼をして笑いながら、あれやってるんだぜ。ルークでさえ震えてたよ。
しばらくしてユウジはピクリとも動かなくなった。多分きっと死んではいないはずだと思う。
そしてシャルロッテは、俺達の方を向き笑顔で言った。
「さあ、冒険に行きましょうか」
『はい』
俺達(ユウジを除く)は、返事をした。そして逆らったら殺されると俺は再度認識した。
とりあえずユウジ、自業自得だ。