銀色の少女
29日は、あまり日中に時間がないので、29日も始まったばかりの深夜に投稿させていただきます。
俺の目の前には、銀髪美少女が顔を赤面させ立っていた。
彼女は、グランの妹であるクララだ。
なぜ彼女が顔を真っ赤にして恥ずかしがっているのか。
これを語るには、数分前に戻らなくてはならない。
ー数分前
俺が、扉を開けると、銀色の閃光と共に、体に負荷がかかった。
「おかえりなさい。お兄ちゃん。」
俺は、その銀色の塊をよく見る。
銀色の塊には、上に二つの出っ張りがある…。
これは…
耳だ。
それも、狼の。
つまり彼女が。
「クララ…さん?」
俺の声を聞いて、彼女は俺に抱きついたまま顔を上げた。
やばい、そんなに近くで見ないでくれ。
クララは、とても可愛い。
目は、少女マンガのように大きく、髪は銀色。そして、鼻と口が最適な位置に最適の大きさでついている。
まるで、人形みたいだ。
あと、数歳年上で、なおかつ服が汚れていなければ、瞬間的にプロポーズまでしてしまいそうなレベルだ。
そんな可愛い娘に、抱きつかれた状態プラス上目遣いというコンボを加えドギマギしない人がいるだろうか。
俺は、決してロリコンではないぞ。
逆にこれでドギマギしなかったら、今すぐタイに行って、去勢手術をしてきなさい。
(いや、別にそういう人たちをディスってるわけじゃないからね。)
クララは、上を見上げたあと即座に飛び退いた。
「あなた、誰?」
やめて。
そんな、変態を見るような目で見ないで。
そんなことされたら、俺はもう生きていけないかもしれない。
「クララ!」
グランが、クララに飛びつく。
「兄さん。どうしたの?いつもとなんだか違うみたい。あの人達と何か関係があるの?」
クララが、沢山のことを一息に言う。
「あの人がヘスさん。とっても優しいんだよ。しかも強い。僕が乱暴な人族の男に捕まりそうになった時助けてくれたんだ。あとついでに、あれがヒロ。」
おい。グラン。
相変わらず俺の扱いが雑だぞ。
もはや、『あれ』扱いか。
「そうだったんですか。そんなことも知らずに、いきなり飛びついてすみません。ヒロさん。」
うん。クララは素直ないい娘だ。
「全然気にしてないよ。それよりもこれを食べよう。」
俺は先ほどまでアイテムボックスにしまっていた、食べ物を出す。
あー。
クララもグランも驚いている。
「ユニークスキルですか…。」
まぁ、違うけど、そういうことでいいや。
クララはお腹が空いていたのか、沢山食べる。
もう、話しかける隙間ないほどだ。
特に、俺もオススメの肉串は好評だった。
しばらくすると、お腹がいっぱいになったようなので、少し提案してみた。
「クララもグランもお金が多分ないんだよね?じゃあ、俺とヘスと一緒に冒険者してみない?」
俺は出来る限り、優しく言った。
「一緒に来るなら、働きに見合った報酬を出すよ。」
おそらく、これは好条件だろう。
普通、獣人。それも子供を雇う人なんて少ないだろうからね。
それに実際、それでお金が無くてスリをしてしまったんだろうし。
「やらせて下さい。」
クララは乗り気のようだ。
「べ、別に俺はやりたくないし。」
うん?もしかしてグランってツンデレか?
男のツンデレキャラなんて誰にも需要ないだろうから、やめた方がいいと思うぞ。
とにかくこれで、クララとグラン。二人の獣人兄妹は、俺たちの仲間になったのだった。