番外編④ 農民上がりのギルド長。その名もパーシヴァル。〜僕、ソロで冒険するつもりです。〜
「いらっしゃい。注文は?」
女性にしては珍しく、腹に響いてくるような太い声でカウンター席に座った僕に店長であろうガッチリとした体格のおばさんが声をかけてきた。
「注文…」メニューがわからないけれど…「じゃあ、これ下さい。」
隣に座っていた青年が食べていたスープのようなものを指す。
「わかった。ポチョフだね。他には何か食べるかい?」
「じゃあ、パンを下さい。」
「ポチョフにはパンも付いているよ。」
「じゃあ、ポチョフだけでいいです。」
「わかった。」
そう言ったあとすぐに、近くにおいてあった鍋からポチョフをよそい、パンを皿に乗せて渡してくれた。
「はいよ。」そして、思い出したように手を叩き言った。「そういえば、自己紹介がまだだったね。私はメーテル。この店の店主をしてるよ。この店にはあんたみたいに冒険者も多いからかなりの情報を持っているよ。何か困ったら私にききな。まぁ、そのかわりメシは食ってもらうけどね。」
そう言ってガハハハとメーテルさんは豪快に笑った。
「僕は、パーシヴァル です。今日ラーマの街にやってきたばかりで…。」
「そうなのかい。」そういって、一度考えるそぶりを見せ、再びこちらを見た。「てことは…、この街に知り合いもいないし、一人で冒険者をやろうってかい?」
何かを言いたそうにしながら、先ほどまでより強い口調で尋ねてきた。
「はい。そのつもりです。」
「やめときな。一人で冒険者なんて無謀にもほどがある。」
「いえ。そういうわけにもいきません。」
「だ・か・ら、やめときな!あんたは、自殺志願者かい⁉︎」
すごい剣幕だった。店中の人がこっちを見た。僕も今までの雰囲気との差に面食らってしまった。
「でも…。知り合いもいないし…。覚悟はできています。」
「ハッ…。覚悟⁉︎そんなのが何の役にたつっていうんだい⁉︎」
「でも、一大決心をして家を出てきたんです!こんなすぐに帰るわけにはいきません!」
自分でも驚くくらいの声が出た。あったばかりの人に…。
「…。あんたみたいなのにも一応男の意地ってもんがあんのかね…。」僕の声に驚いたのか、再び落ち着いた声になり、「だからといって、一人で冒険者をするのはダメだね…。命を粗末にすることは論外だ。しかもあんたみたいな、若い命をね。さて…どうしたもんか…。」
…。真剣に僕のことを心配してくれている。こんな出会ったばかりで、何処の馬の骨かもわからないような俺を…。こんな人の言うことに反発したらばちが当たりそうだ…。
「いきなり悪いんだけどさぁ。俺も冒険者になろうと考えてるんだよねぇ。だからぁ。君とパーティーを組んでもいいかなぁ、って思うんだよねぇ。」
隣の席でポチョフを食べていた青年だった。なんかのんびりした感じの人だ。
「おぉ〜。ちょうどいいねぇ〜。あんた…パーシヴァル だっけ?…この子とパーティー組んじゃいなっ!」
「えっ!」
「なんだい?何か問題でもあんのかい?」
いきなりのことで声をあげてしまったが、悪い話ではないのかもしれない。僕みたいな、知り合いのいない新米冒険者がこんな早くからパーティーを組める機会なんてそうそうない。でも…ある青年と気が合わなかったらどうしようかな…。
「パーティーを組むこと自体はとても嬉しいです…。しかし…ずっとそのパーティーのまま続けられる保証は…。」
「うーん。だったら…、とにかく二ヶ月パーティーを組むってのはどうだい?それで気が合わなければ解散すればいい。」
「それなら…。」
「俺もオッケーで〜す。」
「これで安心だよ。頑張りな。」
「じゃあ〜。パーシヴァルく〜ん。俺は〜、グリーズマンですぅ。これからぁ、あと…あれ?何ヶ月だっけ?まぁいっか…とにかくぅ、しばらくよろしくねぇ。」




